異世界転移でのちに大陸最強の1人となった魔剣士 ~歌姫の剣と呼ばれし男~

ひぃ~ろ

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第二章 小話

第2章閑話④ とある冒険者パーティーの災難

 英雄と歌姫のパレードから早2週間がたった頃、リネア王国の首都リストニアに1組の冒険者パーティーがやってきた。

 「やっとついたな!」

 「あぁ、意外とかかっちまったな」

 王都の入口、セナ達のおかげで来訪者が増え、街に入るための門の前には人々が列をなし、そこに並んだ小汚い格好をした冒険者の4人が、大きめの声で話していた。

 「しかしよ?ほんとにスタンピードを一人で止めたのかねぇ?」

 「あぁ?んなもん、嘘にきまってんだろ?地味なリネアが他の国にアピールするためだろ」

 その男たちは、周りに聞こえるのもかまわず、大きい声で話していた。

 「次の者」

 門番をしている騎士が声をかけると、先ほど話をしていた男たちが門番へギルドカードを提示した。

 「ふむ、C級冒険者のオルティムか、わざわざムイからリストニアまで?」

 「あぁ、ちょっと王都で稼ぎたいってのと、に会ってみたくてな」

 門番の騎士の言葉に、嫌みをふくんだかのようにオルティムが答えた。

 「そうか、くれぐれも問題をおこすなよ?」

 「あぁ、わかってるよ」

 騎士の注意に興味なさそうに答え、オルティムたちは王都の中へと進んでいった。

 「さて、とりあえず飯でも食ってからギルドに顔を出すか」

 オルティムの言葉に他の3名も同意し、街の食堂へと入った。

 「いらっしゃいませ!4名様ですか?」

 「あ、あぁ」

 声をかけたウェイトレスの可愛さに、オルティムたちは少し驚きながらも答えると、4人が座れるテーブルへと案内された。

 「ご注文がお決まりになりましたらお呼びください」

 ウェイトレスがそういいながら、礼をして席を離れようとしたとき。

 「あぁ、ここのおすすめを4つとエールをつけてくれ」

 「はい。それでは日替わり定食4つにエール4つでよろしいですか?」

 「あぁ、それでたのむ」

 注文をすませ、ウェイトレスが離れるのを見送った4人が、あいかわらず大きい声で話し始めた。

 「噂の英雄様はギルドにいますかね?」

 「どうだかな」

 「いたらどうするよ?」

 オルティムたちがセナの話をし始めると、店内の客たちは地味に聞き耳をたてはじめた。

 「あぁ?んなもん、模擬戦挑んでぶっとばすにきまってんだろ?」

 「噂のS級冒険者様をぶっとばしたら俺らが英雄でS級だな!」

 「がっはっはっはっは!ちがいねぇ!!」

 そんなことをいうオルティムたちを客たちは、だんだん白けた目で見始めていたが、4人は気づいていなかった。

 「んじゃよ?噂の歌姫様も俺らのもんになるんじゃね?」

 「あぁ!そうだな!まぁ噂ってのは尾ひれがつくもんだからよ?言うほどの女でもねぇとは思うがな!」

 オルティムたちは、とうとうアリアのことまで言い始めると、客たちの目は冷酷な物へと変わっていった。

 「だいたい、スタンピードを一人で止めたって話だってよ?せいぜい20~30の魔物を倒しただけだろうぜ」

 「ゴブリンの20~30で英雄様になれんだったら楽でいいぜ」

 オルティムたちがそういい、下衆い笑いをうかべていた。

 「お客様…大変申し訳ありませんが、シェフが調になってしまい料理をつくれなくなり、本日は店じまいになってしまいました…」

 先ほどのウェイトレスが、一応の申し訳なさそうにいってきた。

 「はぁ?なんだよそれ!ふざけてんのか?」

 「いえ、大変申し訳ありません」

 オルティムが怒鳴りながら立ち上がってもウェイトレスは、動じることもなく頭をさげた。

 「セイラちゃん!お勘定!」

 「あ、はい!少々おまちください!…それでは、申し訳ありませんが、ほかのお店に移動をお願いいたします」

 セイラと呼ばれたウェイトレスが一礼をして、ほかの客へと向かった。その後も、文句をいおうとしたオルティムたちは、次々と帰っていく客の対応をするセイラに声をかけるタイミングをつかめず、結局悪態をついて店を出ていった。

 それをみて、代金を支払いながら客の一人がつぶやいた

 「セナ様とアリア様のことを悪く言うやつがどこで飯なんて食えんだよ」

 「さぁ?」

 セイラが興味なさそうに答えた。


 「ちっ!こんだけ店があって飯が食えねぇなんてどうなってんだよ!」

 「しょうがねぇ、ギルドに行って喰おうぜ」

 オルティムたちは、結局数店の店を回ったがすべてに断られ、しまいには屋台にまで、予約の分で終わってしまったと口をそろえたように断られ、渋々ギルドへと向かった。

 「そういや、ギルドの場所ってこっちだったか?」

 「あ?道わかって歩いてたんじゃねぇのかよ?」

 「ちっ!しかたねぇ、誰かに聞くか」

 はじめてきた王都で、ギルドまでの道がわからず気づけば人もまばらな地区へと来ていたオルティムたちは、脇を走る用水路を掃除している男に声をかけた。

 「おい!わりぃが冒険者ギルドまでの道をおしえてくれ」

 「え?あ、はい。いいですよ、この道をまっすぐ行くと赤い屋根の家があるので、そこを左に曲がってまっすぐ行くと、王都のメインのとおりにでます。そこまでいくと、王城がみえますので、王城のほうへ進むと左手にみえますよ」

 「おう!丁寧にわりぃな!」

 「いえいえ、王都は初めてですか?いい所なので楽しんでいってくださいね」

 「あぁ!ありがとよ。ところでよ?この国の英雄様ってのはどんなやつだ?」

 「へっ?英雄ですか?どうって言われても…器じゃないというかガラじゃないというか…」

 「ははっ!そうか!そうか!んで?つえぇのか?」

 「んー強いかって言われると…まだまだだと思ってますが…」

 「やっぱりな!よし!わかった!!あんちゃん、サンキューな!!」

 「い、いえ」

 「どぶさらい頑張れよ!」

 用水路を掃除する男の回答に、満足したオルティムたちは、意気揚々と教えられた道を歩き、見えなくなった。

 「いやぁ、いつも安い金で依頼して申し訳ありません」

 「いえいえ!これも立派な依頼ですよ」

 オルティムたちが見えなくなった頃、用水路に農夫が一人、申し訳なさそうに、掃除をしている男に声をかけて、振り返った男の顔を見て、盛大に驚いて尻もちをついた。

 「えっ!?セ、セナ様!?なにやってんですかっ!?」

 「え?ギルドの依頼で用水路の清掃ですが?」

 「いやいや!そりゃぁ見ればわかりますって!!セナ様にそんなことやらせたらバチがあたっちまう!もう終了でいいんでやめてください!」

 「え?でも、もうすぐ終わりますよ?ほら!あとは水で押し流すだけですから!」

 焦る農夫に、笑顔で答えながらセナが右手をかざし勢いよく水を撃ちだした。

 「うん、詰まりはないみたいですね!」

 「え、えぇ…ありがとうございます」

 満足げに頷くセナに、申し訳なさそうに農夫が答えた。

 「やっぱり金銭的な負担は増えますが、定期的に掃除をしたほうがよさそうですねぇ」

 「えぇ、それでも昔に比べたら、冒険者の方々が進んでうけてくれるようになったんで」

 セナと農夫がそんな話をしていた。


 そのころ、オルティムたちは、セナに教えられた道を歩きながら、高揚した気分のまま、好き勝手大声で話していた。

 「やっぱり噂は噂じゃねぇか!英雄だなんて大したことねぇんだよ!」

 オルティムたちが、そんなことを言いながら歩くと、すれ違う人、すれ違う人が冷たい目線を送った。

 そして、ギルドにつき、そのまま受付の元まで言ったオルティムが、カンターに肘をかけ馴れ馴れしく受付嬢に声をかけた

 「よぉ~嬢ちゃん!俺らはムイからきたC級パーティー 煉獄の山嵐 なんだがよ?」

 「はい、随分暑苦しい名前をお付けで」

 「あ゛ぁ?、まぁいい…なんでも王都には英雄様が居られるそうだが?」

 「はい。すばらしい方ですよ?現在も依頼をこなしているはずですが?」

 「ちっ!なんだいねぇのかよ!」

 「おられたらどうなさるおつもりだったんですか?」

 「あ?んなもん!ぶっ飛ばして俺がS級で英雄になるにきまってんだろ!?」

 「ぷっ!…あぁ~申し訳ありません。最近は収まってきてたのに、また来たかと思ってしまい…つい」

 胸を張り威張り散らすかのように言ったオルティムに、受付嬢が吹き出してしまった。

 「てめぇ!さっきから喧嘩うってんのかぁ?あぁ?」

 「オリファさん?どうなさったんですか?」

 「え?あぁ、エリスさん、こんにちわ…いえ、だいぶ数が減ったとはいえ、礼のアレですよ」

 オルティムがカウンター越しに怒鳴っているとエリスが声をかけオリファが、めんどくさそうに答えた。

 「は?まだそんなことをいう馬鹿がいるんですか?」

 「あぁ?馬鹿とはなんだ馬鹿とは!って、ねぇちゃん、いい女じゃねぇか。俺の女にしてやろうか?俺は噂の英雄様よりずっとつえぇぜ?」

 「はぁ~…。今までで一番じゃないですか?」

 「そうかもしれませんね」

 「ん?あたりまえだ!俺が一番に決まってる!なんてったって冒険者になって1年半でC級だからな!」

 「セナ様は1か月少々でS級ですが?」

 「は?…王都じゃそんなに楽にランクがあげれるのかよ!」

 エリスとオリファが呆れていたのを理解できず、オルティムは喜んだが、オリファの言葉で言ってはならないことを言ってしまった。

 「ふむ…。では、あなたは王都の冒険者はムイの街の冒険者よりレベルが低いと?」

 「ん?あぁ!だってそうだろ?入って1か月でS級になれるやつまでいんだからよ!」

 オリファが確認をすると、オルティムが見下したように両腕を広げながらいった。

 ガタっ!
 ガタッ!
 ガタッ!

 その言葉を聞き、数名の王都所属の冒険者が立ち上がったが、オリファが首を横に振り制止した。

 「ふむ、では、ムイの冒険者の実力とやらを私に見せてはくれまいか?」

 「あぁ?なんでてめぇと…まぁ、負けたら1晩付き合うならやってやってもいいぜ?」

 「ふむ、よかろう。では私が勝ったらどうする?」

 「あぁ?なんでも言うことをきいてやるよ!なぁ?」

 「あぁ!なんだったら真っ裸で逆立ちして、英雄様を馬鹿にしてすいませんでしたって3周してやるよ!」

 「そりゃいいぜ!がっはっはっはっは!」

 「では、エリスさんが負けたら一晩、オル…さんが負けたら逆立ち3周でよろしいですね?」

 「はい」

 「オルティムだ!失礼なやつだぜ!あぁ、それでいい」

 「では、修練場へ移動してください」

 エリスとオルティムの決闘がきまり、その場にいた冒険者たちが次々に賭けをはじめたが、全員がエリスにかけたので成立しなかった。

 そして、修練場にいどうしたエリス達は対峙してオリファからルールの説明をうけた

 「ルールは簡単です、1対1でどちらかが気絶、もしくはギブアップをするまで、殺すのは原則反則といたします。武器と魔法の使用も自由です。ご質問がなければ始めます」

 二人が頷くの見て、オリファがその場から外れ、開始の合図をした。

 「それでは…はじめ!」

 「ぐっへっへっへへ!夜のために、軽めにしてやるよ…っ!っふんぐ!!」

 開始早々、下衆なことを言っていたオルティムは、エリスの動きが全く見えず、鳩尾にこぶしを喰らい、壁まで吹っ飛ばされ気絶した。

 「オル…バカ?の気絶により、勝者エリス!」

 「なっ!?話してる最中に卑怯だぞ!」

 「え?ムイの冒険者は始めの合図と同時に戦うのではなく、おしゃべりをするのか?」

 オルティムのパーティーメンバーの一人がいうと、エリスが驚いたように答えた。

 「くっ!お、覚えてろよ!?」

 「いえ?まだ終わっておりませんが?」

 「ちっ!あんな不意打ち!無効だ!無効!」

 意識を取り戻し逃げ出そうとしたオルティムたちを、オリファが引き留めると、難癖をつけはじめた。

 「おい?てめぇら…いい加減にしねぇと…殺すぞ?」

 そこに、先ほどから見ていた冒険者の一人が怒りをあらわにしながら闘技場の中へと降り、オルティムたちの前まで歩いてきた。

 「あぁ?てめぇには関係ねぇだろうが!」

 「お手をわずらわせ申し訳ありません。カイン様」

 「はぁ?カインだぁ?…カ、カイン?それって閃光の?」

 「ん?ご存知ですか?そうですよ?この方が王都のもう一人のS級冒険者カイン様ですが?」

 「え…」

 「王都の冒険者レベルが低いんだろ?だったら俺が全員まとめて相手してやるから、試してみろよ?」

 オリファの言葉にオルティムたちが絶句するなか、カインが獰猛な笑みを浮かべながら挑発した。

 「あぁ?全員だぁ!?なめんなよこら!やるぞ!!」

 「おぉ!ほえずら掻きやがれ!!」

 カインの安い挑発にのったオルティムたちが一斉に襲い掛かった。

 「おせぇよ!」

 しかし、カインはつまらなそうにつぶやき、剣を一閃した。

 「ふげぇ!!!」

 振るわれた剣からでた光る衝撃波でオルティムたちが吹き飛び全員気絶した。

 「馬鹿か?セナのやつには、なんでもありじゃぁ…俺でも勝てねぇんだよ…」

 カインがそう呟き剣をしまった。


 その後、ギルド職員と王国騎士団監視の元、オルティムたちがパンツ1丁の逆立ちで王都を3周し王都の住民たちの失笑をかった。


 「ん?なにかあったんですか?」

 「いえ?なんでもありませんよ?それより用水路は綺麗になりましたか?」

 「え?あ、はい!ばっちりです!」

 「ちっ!お気楽なやろうだなぁ」

 「ふふふっ、セナ様らしいじゃないですか」

 
 ギルドに帰ってきたセナが何事もなかったかのように笑顔を浮かべ、まんざらでもない顔でカインが悪態をつき、エリスが微笑んだ。

 

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