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6章 再会と神島
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しおりを挟む翌朝、同様に二手に分かれて馬車に乗り込む。昨日と変わらず、と言いたいところだが、昨日以上に人が集まっている。おそらく、昨日のうちに話が広がってしまったのだろう。もちろん、話は民にだけではなく上の人にも届いてしまっている。
うん、もちろん王族にもな……。貴族のみならず、まさかの王宮にもお呼ばれしてしまった。これも特に断る理由はないと、ティアナ様が快諾。まあ、俺としても別に断る理由はない。ただ居心地悪いけどな!
だってさ、今はシャリラントの主として旅をしているが俺は「あの」アナベルク皇国の皇子だぞ? さんざん周りに迷惑をかけた国だ。今は大国オースラン王国と同盟を結んだこともあり、各国と調整しつつ何とかバランスをとっていこうと慎重に行動している時期。そんなときに俺がくるのだ。視線がつきささるとも。
きっと俺という存在がいなければ、もっと心からこの一団を歓迎していたことだろう。なにせ、神島から基本出てこない神剣の主たちの一団だ。迎えられたというだけでかなり箔が付く。この世界は一神教、ミベラ教しか存在していないからな。その本拠地である神島において名のある人たち、それも神使である神剣が自ら選んだ人たちだ。歓迎しないわけがない。というか、俺がいたとしても、迎えるメリットのほうが大きいくらい。
なんか、俺がついてきて申し訳ないくらいだ。
あはははは、と愛想笑いを必死に浮かべてなんとか過ごすことにしました。まあ、俺が愛想よくするくらいで皇国の印象が少しでも良くなるなら、これもチャンスと思える。どうせならできるだけ活かしたいよね。
そうして次の国へ入るときも、すでに話が伝わっていたようで馬車と泊まるところが用意されていました。その国でも王宮にお呼ばれ。ふと思ったのだが、この人たちはどうしてこんなに平然としているんだ? 神島から出てこないっていっていたのに。
「あの、こういうの慣れているんですか?」
「こういうの?」
「こういう……、大勢の人に囲まれたり、偉い人に呼び出されたり?」
馬車での移動中、気になって聞いてみるときょとんとされてしまった。
「うーん、まあ?
神島でも声を掛けられることはよくあるからな。
まあ、さすがにここまでではないが。
偉い人、については、一応俺たちも偉い人だからな」
そういって答えてくれたジヘド様が笑う。あ、そうですよね。神剣の主って偉い人ですよね。ある意味対等な関係。もしかしたら神剣の主のほうが上かもしれない。神殿という意味上では。だから無駄に緊張する必要もないのだろう。
「君だってシャリラント様の主で、皇国の皇子だ。
誰にも引けを取らない身分だろ?」
「うーん、まあ?
でも自覚できるような環境ではありませんでしたし、きちんと立場にみあったものを学んだわけでもありませんし」
「ふーん、なるほどな。
とはいえ、立場に関してはみあったものを学んでいないといったが、そんなことはないと思うぞ。
少なくとも俺の目から見て君は神剣の主にも、皇国の皇子にもふさわしいふるまいをしてると思う」
そんなことを言われるとは。思わず目を見張ってしまう。自分ではよくわからない、というか足りないものしかないと思っていたけれど……。
「そんなに驚くことないだろう」
「あ、その……」
どう返事したら、そう迷っているとふっと笑われてしまった。
「そうだ、神島に着いたらぜひ料理をふるまわせてくれ」
「え、いいんですか?
食べてみたいです、ジヘド様が作られた料理」
「もちろん」
適当に外の民に手を振ったりしながらそんな会話をしていると、思っていたよりも早く王宮が見えてきた。今回はどういう歓迎を受けるのだろうか。
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