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1章 変わる日常
9話 王都への旅路(5)
目を開けて入ってきたのは見慣れない天井だった。ここはどこだろう?
周りを見渡してもやっぱり覚えがない。一体どうして私はここにいるのだろうか。それにしても体も頭を重く、ここがどこなのか考えようとしても思考がうまくまとまらない。
「ウェルカ!
良かった、目が覚めたのね」
「おねえ、さま?」
近くで聞こえたお姉様の声にそちらを向くとひどく心配げなお姉様の顔があった。その瞬間、意識を失う直前のことが思いだされる。
そうだ、私たちは盗賊に襲われて、
「お、お姉様けがは⁉」
「落ち着いてウェルカ。
私はあなたのおかげでけが一つないわ」
そんなお姉様の言葉にようやくほっと一息つく。でも私のおかげでとはどういう意味なのだろうか。
うまくまとまらない思考のままボーっとお姉様を見ていると、お姉様は困惑気にこちらを見ていた。
「あの、どうかされましたか?」
「何も、覚えていないの?」
何もとはどういうことだろうか。馬車が盗賊に襲われたことは覚えている。
「ウェルカ、あなた光魔法を使ったのを覚えていないのね」
「ひかり、魔法?
私がですか?」
そんなのは知らない。だって光魔法なんて、今時使える人はとても少ないものだ。だいたい、使えると知っていたならばお母様に使わなかったわけがない。
「ええ。
ウェルカが使った魔法のおかげで私たちは助かったのよ」
ありがとう、そうお姉様は伝えてくるけれどまったく実感がわかない。
「でも……。
どうかもう使わないで」
続くお姉様の言葉に私はもう一度かたまることになった。その声音はとても真剣なものだった。
「ど、どうしてですか?」
「ごめんなさい、少し言葉が足りなかったわ。
家のことが落ち着くまでは決してほかの人にばれないようにしてほしいの。
私たち、今おじいさまのところにお世話になろうとしているでしょう?
ウェルカが光魔法を使えるとわかると、きっとお父様は全力で邪魔をしてくるわ。
それに、おじい様が受け入れてくださったとしても、周りからなんといわれるか……」
言葉を濁したお姉様に、なるほどとうなずく。確かに今の私はお父様にとって価値のない子どもだろう。だからこそ学園に入れないという選択をしてきたのだから。だが、魔法を、それも特に希少と言われている光魔法を使えるとわかったら何をしてくるかわからない。
お姉様の言葉に私はしっかりとうなずいた。
「ありがとう。
今日はここでゆっくりしていきしょう。
今はしっかりと休んでね」
私の頭を一つなでるとお姉様は部屋を出て行った。するとすぐに瞼が重くなり、私はもう一度眠りについた。
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