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1章 変わる日常
29話 とある男性の視点(1)
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きれいな装飾が施された白い柱が等間隔に並ぶ廊下を足早に抜けていく。装飾はとてもきれいなのに、白一色なのがもったいない、ここを通るたびに考えていたことが頭にまた浮かんだ。そして今向かっている先は神殿長の部屋であった。このウィリット神国において国王にも等しい彼のものは本来ならば顔を見ることすら叶わない人、のはずだ。しかも、他国の国籍をもつ身である僕には特に。
それなのに、どうしてそんなに何度も呼び出されなくてはいけないのか……。理由はわかっているつもりだが、ため息くらいはどうしても出てしまう。だが、これも不思議なめぐり合わせというものなのだろう。
部屋の前に着くと一度呼吸を整えて、数回扉をノックして声を張り上げた。
「神殿長さま、バングルートです。
お呼びでしょうか?」
「ああ、待っていた。
入って」
男性か女性かわからないような声が聞こえてくる。扉を開けると、ニコニコと笑いながらこちらを見ている人とさっそく目が合ってしまった。見た目もぱっと見ただけだと、男女どちらかわからないくらいのきれいな顔立ちだから余計たちが悪い。ちなみに人々を安心させるためかは分からないが、この神官長は良く微笑みを浮かべているのだ。
「やあ、よく来てくれたね。
それにしても神殿長さまだなんて、そんな他人行儀な呼び方をしないでくれよ」
「それで、用事は一体何なのですか」
まあ、そうせかすな。と笑いながら言うとすっと席を立つ。こちらに来たと思ったら応接セットの方に来て、椅子をすすめられる。なんとなくもう自分の部屋に帰りたくなったが、神殿長にたてつくほど馬鹿ではないのでおとなしく席に着くと、彼は満足そうにうなずいた。
いい加減本題に入ってほしいのですが、という気持ちで神殿長を見ているとようやく伝わったのか、それでな、と話しかけてくれた。
「なあ、そろそろ一度国に帰らないか?」
「は……?
ずいぶんと急に持ち出しましたね。
どうしてですか」
「そうだね、そうした方がよいと見えたからかな」
「またカレットお得意の力で何か感じたのか?」
「それは語弊があるね。
私ではなくゴドック家、というか神殿長お得意の力だ」
何が違うというのだろうか……。本人には大きな違いなのか?
事実カレットはその特別な、お得意の力をもっているから、ゴドック家の当主であり、神殿長を務めているわけなのだ。
それなのに、どうしてそんなに何度も呼び出されなくてはいけないのか……。理由はわかっているつもりだが、ため息くらいはどうしても出てしまう。だが、これも不思議なめぐり合わせというものなのだろう。
部屋の前に着くと一度呼吸を整えて、数回扉をノックして声を張り上げた。
「神殿長さま、バングルートです。
お呼びでしょうか?」
「ああ、待っていた。
入って」
男性か女性かわからないような声が聞こえてくる。扉を開けると、ニコニコと笑いながらこちらを見ている人とさっそく目が合ってしまった。見た目もぱっと見ただけだと、男女どちらかわからないくらいのきれいな顔立ちだから余計たちが悪い。ちなみに人々を安心させるためかは分からないが、この神官長は良く微笑みを浮かべているのだ。
「やあ、よく来てくれたね。
それにしても神殿長さまだなんて、そんな他人行儀な呼び方をしないでくれよ」
「それで、用事は一体何なのですか」
まあ、そうせかすな。と笑いながら言うとすっと席を立つ。こちらに来たと思ったら応接セットの方に来て、椅子をすすめられる。なんとなくもう自分の部屋に帰りたくなったが、神殿長にたてつくほど馬鹿ではないのでおとなしく席に着くと、彼は満足そうにうなずいた。
いい加減本題に入ってほしいのですが、という気持ちで神殿長を見ているとようやく伝わったのか、それでな、と話しかけてくれた。
「なあ、そろそろ一度国に帰らないか?」
「は……?
ずいぶんと急に持ち出しましたね。
どうしてですか」
「そうだね、そうした方がよいと見えたからかな」
「またカレットお得意の力で何か感じたのか?」
「それは語弊があるね。
私ではなくゴドック家、というか神殿長お得意の力だ」
何が違うというのだろうか……。本人には大きな違いなのか?
事実カレットはその特別な、お得意の力をもっているから、ゴドック家の当主であり、神殿長を務めているわけなのだ。
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