49 / 193
2章 学園生活
49話 入寮(3)
しおりを挟む
とはいってもそこまで量はないからきっと昼食までには整理が終わっているはず……!
「お嬢様、どちらから整理致しますか」
「そうね、書室からやろうかしら。
イルナは服をお願い」
私の言葉を聞くと、すぐに本やペン類がまとめられている箱を開け始め、丁寧に棚に入れ始めると半分も埋まることはなかった。でも、入学式で教科書をもらうからこれよりは埋まるはず!
私が書室の整理をしている間にイルナはドレスやワンピース、制服など服の整理をしてくれていた。しまうときにどうしてもついてしまった皺などを伸ばしながらの作業だったからか、それはまだ終わらなそうだった。それにしても領地にいたときと比べてずいぶんと増えたな。
本当は侯爵家のお金で作ったドレスはそこに置いていこうと思っていたんだけど、どうやらアンティーナとは体形や身長、色やデザインの趣味などが違ったらしく、置いていっても誰も着ないからと持たせてくれたのだ。公爵家に移ってからもお茶会用のドレスを数着作ってもらったから、このウォークインクローゼットをにぎわすほどは量があったりする。服の管理は正直よくわからないからこのままイルナに任せてしまおう。
となると次は寝室だ。書室の奥に行ってみると、ベッドはさすがに備え付けで、事前に買っておいたシーツや枕、布団は早くも整えておいてくれたようだ。あとは小物などをこちらに収納したり、鏡台のところに必要なものを置いたりするだけ。ここにきて私は真っ先にテディベアを取り出した。これは亡くなったお母様からいただいたもので、そろそろ卒業をしなくてはとは思いつつ、つい手放せないままここまで持ってきてしまった。これだけはアンティーナに取られないようにと必死に隠していたかいあってか、何とかあの屋敷においても死守することができたのだ。少し寄れてしまっているが、それでもふわふわとしたままの素材のそれは抱き着くだけで癒される……。
あとは持ち込んだものを適当に置いてっと。うん、これでここも大丈夫そう。
「ウェルカ様。
そろそろ昼食を取りに行ってまいりますね」
「ええ、お願い」
持ち込んだ本を読みながらイルナの帰りを待っていると、思っていたよりも早くイルナは部屋へと戻ってきた。手にはバケットを持っているから、お昼は持ち運びやすいものが用意されていたらしい。
「お待たせいたしました。
すぐに準備いたします」
広げられていくバゲットの中身はサンドウィッチで、色とりどりの具材がとてもおいしそうだ。そしてこれにあうお茶を入れてもらうとさっそくここに来てからの初めての食事に手を伸ばした。
うん、すっごくおいしい! こちらをうかがっているイルナにおいしい、と告げるとほっとした顔をした。まあ、ここで私がおいしくないと言ってもイルナにできることは厨房に直談判しに行くか、自分で作るかだったのでその心配がなくなってほっとしたのだろう。
「でも、さすがにこの量は多いわね……」
「食べきれない場合は食堂の方に戻してしまって大丈夫なようです」
「でも、なんだか申し訳ないわ。
……そうだ!
イルナも一緒に食べない?」
うん、それがいい! イルナだって引っ越しの準備や片付けで忙しくしてくれていたから、こういう休息もたまには必要だよね。
「ですが、私がお嬢様と一緒にだなんて。
それはできかねます」
これは想定外にしっかりと断られてしまった。
「食べるのは一緒じゃなくていいのよ。
まあ今回だけね。
次回からはもう少し量を減らすようにしてもらっていいかしら」
「はい、かしこまりました」
そして若干しぶしぶながらも、残してしまった分は後でいただきますと言ってくれた。これで料理人さんに迷惑をかけずに済むからよかった。
「お嬢様、どちらから整理致しますか」
「そうね、書室からやろうかしら。
イルナは服をお願い」
私の言葉を聞くと、すぐに本やペン類がまとめられている箱を開け始め、丁寧に棚に入れ始めると半分も埋まることはなかった。でも、入学式で教科書をもらうからこれよりは埋まるはず!
私が書室の整理をしている間にイルナはドレスやワンピース、制服など服の整理をしてくれていた。しまうときにどうしてもついてしまった皺などを伸ばしながらの作業だったからか、それはまだ終わらなそうだった。それにしても領地にいたときと比べてずいぶんと増えたな。
本当は侯爵家のお金で作ったドレスはそこに置いていこうと思っていたんだけど、どうやらアンティーナとは体形や身長、色やデザインの趣味などが違ったらしく、置いていっても誰も着ないからと持たせてくれたのだ。公爵家に移ってからもお茶会用のドレスを数着作ってもらったから、このウォークインクローゼットをにぎわすほどは量があったりする。服の管理は正直よくわからないからこのままイルナに任せてしまおう。
となると次は寝室だ。書室の奥に行ってみると、ベッドはさすがに備え付けで、事前に買っておいたシーツや枕、布団は早くも整えておいてくれたようだ。あとは小物などをこちらに収納したり、鏡台のところに必要なものを置いたりするだけ。ここにきて私は真っ先にテディベアを取り出した。これは亡くなったお母様からいただいたもので、そろそろ卒業をしなくてはとは思いつつ、つい手放せないままここまで持ってきてしまった。これだけはアンティーナに取られないようにと必死に隠していたかいあってか、何とかあの屋敷においても死守することができたのだ。少し寄れてしまっているが、それでもふわふわとしたままの素材のそれは抱き着くだけで癒される……。
あとは持ち込んだものを適当に置いてっと。うん、これでここも大丈夫そう。
「ウェルカ様。
そろそろ昼食を取りに行ってまいりますね」
「ええ、お願い」
持ち込んだ本を読みながらイルナの帰りを待っていると、思っていたよりも早くイルナは部屋へと戻ってきた。手にはバケットを持っているから、お昼は持ち運びやすいものが用意されていたらしい。
「お待たせいたしました。
すぐに準備いたします」
広げられていくバゲットの中身はサンドウィッチで、色とりどりの具材がとてもおいしそうだ。そしてこれにあうお茶を入れてもらうとさっそくここに来てからの初めての食事に手を伸ばした。
うん、すっごくおいしい! こちらをうかがっているイルナにおいしい、と告げるとほっとした顔をした。まあ、ここで私がおいしくないと言ってもイルナにできることは厨房に直談判しに行くか、自分で作るかだったのでその心配がなくなってほっとしたのだろう。
「でも、さすがにこの量は多いわね……」
「食べきれない場合は食堂の方に戻してしまって大丈夫なようです」
「でも、なんだか申し訳ないわ。
……そうだ!
イルナも一緒に食べない?」
うん、それがいい! イルナだって引っ越しの準備や片付けで忙しくしてくれていたから、こういう休息もたまには必要だよね。
「ですが、私がお嬢様と一緒にだなんて。
それはできかねます」
これは想定外にしっかりと断られてしまった。
「食べるのは一緒じゃなくていいのよ。
まあ今回だけね。
次回からはもう少し量を減らすようにしてもらっていいかしら」
「はい、かしこまりました」
そして若干しぶしぶながらも、残してしまった分は後でいただきますと言ってくれた。これで料理人さんに迷惑をかけずに済むからよかった。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
1,214
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる