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2章 学園生活
59話 初めての魔法基礎(1)
しおりを挟む次の日からは授業や校舎の案内だけで終わり、その後は一般教養の授業ばかりだったため私はとても暇だった。何せ受ける授業がないのだ。つまり、あの日もらった教科書は約半数は使わずじまいになる。その間は自由にしていいと言われている。
そして! 今日はついに魔法学の授業があるのです! 今日をどれほど楽しみにしていたことか。やっとやることができたのだ。
「まあ、久しぶりですわね、ウェルカ様」
教室に入るとすぐにエリオベラ様が声をかけてくれた。教室に来るのも実は久しぶりなのだ。
「ええ、お久しぶりです、エリオベラ様」
「一般教養の授業は本当にすべて修了していらっしゃるのですね。
こんなにもお会いすることが少ないとは思いませんでした」
「私もここまで授業がないとは……。
でも、これからは魔法の授業も増えると聞きますから楽しみです!」
そうですね、とエリオベラ様は微笑んだ。
朝のHRを終えて、やっと授業が始まるかというとき、教室にセイットが入ってきた。突然現れた見知らぬ人、それも高等専門部の制服を身に着けた人が急に入ってきたセイットに教室がざわつく。しかしセイットはそれを気にした様子もなくきょろきょろとしている。そして私を見つけるとぱっと笑顔になった。
「お知り合いですか?」
「従兄弟なのですが……」
「こんにちは、ウェルカ。
見つかってよかったです」
無駄にきらきらしい笑顔を振りまきながらこちらにやってこないでほしい。ほら、皆さんが顔を赤くしているじゃないか。
「どうしてこちらに?」
「最初にこの授業を受けるように言われたのです。
神国で一通り学んでいるので必要ないかとも思ったのですが、国によって魔法のとらえ方が違うと言いますから聞いてみるのもいいかと思いまして」
なので楽しみです、とセイットは自然に開いていた横に座ってきた。確かに私も楽しみにしていた。だけどまさかセイットも一緒に聞くことになるとは……。
もう仕方ないとあきらめた頃、丁度先生が入ってきた。少し年齢の高い方みたいで、髪は白髪交じりだ。
「皆さん、席に着いてください。
魔法基礎の授業を始めます」
先生の言葉に少しざわついていた教室がすぐにしんと静まりかえった。それでも皆やっと魔法を学べることに期待しているようで興奮が伝わってくる。
先生は静かに前を向いている皆を見回すと満足そうにうなずき口を開いた。
「さて、魔法基礎の最初の授業ではまず知識をつけてもらいます。
初めにこの国では魔力が一定以上所持しているものは必ず魔法を学ぶことができる学園に入学する必要があります。
その学園の一つがここ、タリベアン王立中央第一学園、それともう一つがタリベアン王立魔法専門学園です。
後者はどちらかというと平民、下位貴族が対象となっていますが優れた魔力を持っているものはこちらに通うこともあります」
なるほど、マンセルトさんはだから平民なのにこちらの学園に来たのはその関係だったのね。私は自然にこちらの学園に通うことになっていたから知らなかった。
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