姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

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2章 学園生活

76話 王妃のお茶会(3)

 そうして少しの間エリオベラ様と会話をしていると、さっとそこかしこから聞えていた話し声が消えていた。王妃様とアーサベルス殿下、そしてお姉様がやってきたのだ。一人だけ見覚えのない女性がいるから、その方がきっとジェラミア様よね。
 なんというか目が吊り上がっているからか、気が強そうなお顔立ちだ。それに、着ていらっしゃるドレスを一言で言うならば派手。今日は夜会ではないことを考慮してほかの方々は少し抑えめの、淡い色のドレスを着ている。つまりは悪目立ちだ。
 周りがしんとしているから、こそこそとした話し声もよく聞こえる。その中のまた派手なものを、という言葉からこれはいつものことなのだろう。お姉さまがおっしゃっていたお優しいという評価しか知らないから、何というか拍子抜け?

「皆様、よくお集りいただきました。
 ベルクは後程きますので、先に始めていましょう。
 ではどうぞ最後まで楽しんでください」

 王妃様の挨拶が終わると一気に回りが騒がしくなる。それぞれがまた会話を再開したのだ。この切り替えがすごい。

「後程王妃様方にご挨拶に伺いましょう?
 今は少し待っていたほうがいいわ」

 視線の先の王族はすでに何人かの人と話していて、確かに今行くと迷惑になりそう。エリオベラ様の言葉に素直にうなずいた。

「それにしても、珍しい方がいらしてますね」

 エリオベラ様がそっと見ているほうを私も見てみる。すると、ほかの人とは変わった服装の男性が立っている。なんというか、神官のような格好だ。

「あの人は?」

「マストリュー家のものですわ。
 名前は存じ上げないわね」

 マストリュー家。名前はもちろん聞いたことがある。確か、代々この国の神官長を務めているのだ。なるほど、ならその格好も納得だ。

「いつもはいらっしゃらないのですか?」

「ええ。
 ほら、あの家は少し特殊でしょう?
 だからか、お茶会にも夜会にもほとんど顔を出さないって有名なの」

「そうだったのですね。
 でも、今回はどうして?」

 さあ、とエリオベラ様も首をかしげる。さすがにそこまではわかりませんよね。そうしてそちらの方を見ていると、ふと、本人がこちらを向いた。やばいと気づきさっと視線をそらした。
 でも、なんかこちらに近づいてきている?

「あの、間違えでしたら申し訳ないのですが、チェルビース公爵家の方ですか?」

 思っていたよりも高かった声に驚きつつ、うなずく。

「ああ、よかった。
 お聞きしたいのですが、今回セイット殿はいらっしゃらないのですか?」

 セイット? 予想外の質問にきょとんとしつつ、今日のセイットの予定を考える。だけれど、今日は朝から見かけていないし、特に来るとも聞いていない。だから来ないとは思うけれど一応……。

「すみません、存じ上げません」

 それだけ言うと、そうですかと残念そうな顔をされてしまう。セイットに何か用事があったのかな。

 そして再びエリオベラ様との会話を楽しんでいると、会場の一角がにわかに騒がしくなる。何があったのかとそちらの方を見ると、セイットがベルク殿下とともに会場に入ってくるところだった。

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