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2章 学園生活
86話 校外学習(3)
しおりを挟む王宮に到着するとすでにローブを着込んだ幾人かが馬車の周りに集まっていた。まだ荷物を入れ込んでいる人もいるが、ほとんど準備は終わっていそう。どうやら遠征に行く日はこのくらい早いのは普通だそうで、若手は苦労する人も多いのだとか……。
「おっ、やっと来たな!
その子らがハルクの教え子か?」
「アリザンテ!
ああ、そうだよ」
大き目の声が聞こえてきたほうを見ると、そこにいたのは魔法師団にしては珍しい体つきをした一人の男性。もし彼がローブを着ていなかったら騎士と勘違いしていたかもしれない体格の良さだ。
「アリザンテ・ラッセルトだ。
師団に入ったのはハルクよりも2年早いんだがな、早々に抜かされてしまった」
そういってわははと豪快に笑う姿に羨望やひがみなどは感じられない。そして先生はしょうがないな、という風にラッセルトさんを見ていた。きっとこういう人なのだろうな。
「それにしても……」
そういってラッセルトさんはじっと私を見つめてくる。なかなかこういう場面にならないからものすごく気まずい。というか何か言いたいことがあるのだろうか。
「お嬢ちゃんずいぶんと小さいな~。
ちゃんと食べているのか?」
「おいっ、失礼だろう」
すかさず先生がいさめてくれるけど、まあ私は気にしていない。というかそんな心配をされるとは思ってもいなかった。確かに同年代と比べると少し小柄かも? でも心配されるほどではないと思うんだけどな。
「食べていますよ?
そこまで小さくはないと思うのですが……」
そういうとラッセルトさんはちらりと横にいるマンセルトさんとセイットを見始める。これはもしかして2人と比べている? それは確かに小さいわ。
「あの、確かに二人と比べると小さいですけど、二人とは年齢が違いますので」
すると思っていた通りだったようで、ラッセルトさんはそうなのか? と首をひねる。そう言えばまだちゃんと自己紹介していなかったな。
「えっと、ウェルカ・ゼリベ・チェルビースと申します。
初等専門部一年なのですが、年齢は11歳です」
「ああ。スキップしたのか!
優秀なんだな~」
次はうんうんとうなずいていて、なんだか納得してもらえたよう? ちなみに二人はいつ自己紹介したらいいのかと戸惑ってしますね。
「さて、そろそろ馬車に乗ってください。
もう出発してしまわないと」
周りを見るとすでに準備は終わっていたようで人の行き来がなくなっている。思っていたよりも時間がとられていたようだ。
「馬車の座席なのですが、どうしましょうか?」
用意された馬車の席は向かい合うようになっているわけではなく、2.5人が入れる座席が2列並んでいるものだった。ここに先生と私たち三人で乗るのだ。
「じゃあ、私はウェルカの隣に座ります」
セイットの言葉で前に先生とマンセルトさん、後ろに私とセイットという席順で座ることとなった。
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