姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

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2章 学園生活

88話 校外学習(5)


 少しして先生に呼ばれて外に出てみると、何もなかった空間にはいくつかのテントが立ち、ほかほかと湯気の立つ夕飯も用意されていた。本当にあっという間だ……。

「こんな風にも魔法を使えるのですね……」

 ぽつりとつぶやいたのはマンセルトさん。彼も馬車の中から準備の光景を見ていたのだろう。

「これは正しい使い方とは違う気がするのですが……。
 ま、まあでも魔法を使うとこういう日常的なことでもとても楽になりますね。
 火をおこす材料も、大量の水もいらないと荷物も減りますので騎士団の遠征でも魔法師団から人を出すことがほとんどですね」

 さあ、食べてしまいましょうと誘われた先には今回の魔獣狩りに参加するすべての魔法師がいた。

「お、やっと来たか! 
 先食べちまっているぞ」

 真っ先に声をかけてくれたラッセルトさんつられたように、一斉にこちらに目が向いた。うっ、人にこんなにみられるのは苦手だ。他の2人もどうしたらいいのかと動けないでいるし。

「ほら、こっち開いているから来いよ」

「あっ、ねえそこのお嬢さん、一緒に食べようよ」

 どうしたらいいのかと固まっている私たちに気が付いたのかそれぞれが声をかけてくれる。その様子にようやく私たちは動き始められた。

 私が誘われたのは少ない女性たちが集まっていたグループ。そちらに行くとすぐに私の分の夕食も用意してくれる。

「あ、ありがとうございます」

 ほかほかとおいしそうな汁物が入ったお椀とスプーンを受け取るとさっそく一口。うん、おいしい……。

「あの、何か?」

 次々と食べてしまいそうになるが、その前に。なぜ皆さんご飯を食べずにこちらを見ていらっしゃるのでしょうか。

「あ、ごめんなさい!
 公爵家のお嬢様が来るっていうから、どんな偉そうな人が来るのかと思っていたら想像と全然違ったものだから驚いちゃって」

 隣に座っていた女性の言葉に思わず目を丸くしてしまう。そんな警戒をされていたの?

「副師団長が大丈夫とは言っていたけど、やっぱり、ね」

 そういってその女性はあははと笑う。きっと何か苦労した記憶があるのだろう。周りの人もそんな女性にうんうん、と激しく同意しているようだし。

「さ、冷める前に食べちゃおう」

 別の女性が発したその一言で、ようやくゆっくりと夕飯を食べることができた。

「それにしても副師団長はどうやって魔法を教えているのですか?
 私たち、なかなか練習見てもらえることなくって」

「どう……。
 たいていは、一度魔法を見せていただいてそれを実践。 
 できなかったらコツなどを教えていただいて、という形です」

 思い出しながらそういうとえ? という言葉がかすかに聞こえてくる。お椀を見ていた視線を上げるとまた皆さんの視線がこちらを見ている。だからなんで今日はこんなのばかりなの⁉

「それはずいぶんと……、雑といいますか……。
 よくついていけていますね」

 雑? 意味が分からなくて首をかしげると苦笑されてしまった。

「まあ、教え方は人それぞれだものね。
 でもあなた方の魔法のセンスが優れていることはわかったわ」

 今度は向かい側に座ったそう言われてしまい、私は首をかしげたまま何も言えなくなってしまった。
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