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2章 学園生活
124話 兄弟のお茶会(3)
しおりを挟む最後に出されるデザートまで来てしまうと、昼食会はもう終わりが近づいていることがわかってしまう。正直おなかはいっぱいなのだが、もう少し一緒にいたいと思ってしまうのだ。
デザートが食べ終わってしまい、一緒に出される紅茶をことさらゆっくりと飲んでいると、不意にベルク殿下に一人の男性が近づいていった。
「殿下、そろそろ……」
そういう男性に、ベルク殿下は分かったと手短に答える。
「どうやらもう時間らしい。
今日はとても楽しかったよ。
ぜひ、またやりたいね」
「はい、とても楽しかったです」
また、そう口約束を交わすと殿下は足早に去って行ってしまった。それがきっかけとなったようにお姉様ももう時間が、と言って席を立ってしまった。2人ともとてもお忙しい中昼食会を開いてもらえただけでもありがたいのは分かっている。でも、この時間が楽しかっただけに寂しいな。
ふと周りを見てみるとアーサベルス殿下もランフェル殿下も同じことを思っているのか、少し寂しそうな顔をしていた。でも、これ以上どんな話題を持っていけばいいかも全然わからないんだよね。うまく話題を提供してくれていた年長者2人がいなくなると、なんとなく気まずい空気が流れ始めてしまった。
「あ、あの、ランフェル殿下。
発言をお許しください」
そんな空気の中、不意にランフェル殿下のそばにいた侍女がそんな声を上げた。不思議そうに見ながらもランフェル殿下がうなずくと、ぎゅっと手を握りながら言葉を発した。
「もし、皆様がまたお時間がおありのようならば、城内を案内されるのはいかがでしょうか?
ウェルカ様はなかなかお城を見る機会はないかと思われますし……」
声を落としていても距離の関係上しっかり聞こえてしまうことのは、なんとなく申し訳ない。でも、城内……。確かにそんなに中を見ることはないし、ちょっと気になる。何より今日は何となくまだ帰りたくないのだ。
「あの、どうでしょうかウェルカ義姉様?
もし、お時間がおありでしたら、城内を案内いたしますよ」
顔を輝かせて、そう伝えてくるランフェル殿下が可愛すぎる! じゃなくって……。ちらりとイルナのほうを見ると、優しい顔でうなずいてくれた。これは行ってもいいってことだよね。
「ぜひ、お願いいたします」
「はい!」
「その、私は一緒には行かせてはもらえないのか?」
ランフェル殿下と微笑みあっていると、そんな声が上がる。ふと顔を上げてみると、顔を少し赤くしたアーサベルス殿下の顔があった。
「いいえ、そんなことありませんわ。
お兄様も一緒にどうですか?」
ランフェル殿下の誘いに2人だと迷うだろう、とか言い訳をつけながらもアーサベルス殿下は嬉しそうに返事をした。
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