姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚

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2章 学園生活

173話 クラスメイトの態度(1)

 休暇を終え、少し緊張しつつ教室へと入る。傷はもうそんなに痛くないけれど、一応傷薬を塗って包帯を巻いている。まあ、制服に隠れて見えないけれど。本当は治癒魔法で治してしまおうかと思ったんだけれど、ララさんに止められた。
 自然治癒、薬で治るならばそれが一番だと。

 珍しく、まだエリオベラ様は来ていないようで私はまっすぐに席へとついた。すると、すぐに扉があく音がする。そちらを見るとハルカーヤ様が教室に入ってくるところだった。そういえば、あの時ハルカーヤ様が風魔法を使って異変を察知して、比較的早く見つけることができたって先生が言っていた。

「ごきげんよう、ハルカーヤ様」

「ウェルカ様!
 よかったです、ご無事で」

 そんなに嬉しそうに返されるとは思っていなかった……。今まで苦手意識を持っていて、避けていた分なんだかこう罪悪感がわいてくる。でもな、やっぱりあの初対面はよくないよな。

「あなたのおかげで助かりました」

 それだけ言うと私はまた席へと戻っていく。うん、やっぱりこの距離感がいいよ。そんなことを考えている間に次々とクラスメイトが入ってくる。エリオベラ様もようやく来たようだ。
 そして、私にけがを負わした人も、勝手に奥へと進んでいった人たちも私に声をかけることなくその日は終わった。わざわざ謝って、と言うのもなんだかいやだ。そんなことを考えていると、一日が終わっていたのだ。

 事態が急変したのはその翌日のことだった。朝、教室に入るとすぐにチームメイトがこちらにやってきたのだ。この時間にいること自体驚いたけれど、もっと驚いたのはその必死な顔だった。真っ青にさせて、勢いよく頭を下げてくる。
 いや、何があったの⁉ 貴族の子息令嬢がそんな風に頭を下げていいものなの⁉

「「す、すみませんでした!」」

 数人の声がきれいに重なる。もう何が何だかわからない。

「勝手な行動をして、危険にさらしてしまい申し訳ありませんでした」

「お怪我を負わしてしまい、申し訳ありませんでした」

「そのうえ、謝ることもしないで……」

 目を白黒させているうちに、次々と謝罪をされていく。いやいや、待って⁉ という心の中での絶叫ももちろん聞こえていない彼らは言いたいことを言うと、それでは失礼いたします、と去っていってしまった。もう、終始意味が分からない。

 相変わらずぽかん、としていると後ろからくすくすという笑い声が聞こえてきた。ふりかえるとそこにはエリオベラ様がいた。

「ごきげんよう、ウェルカ様。
 なんだかおもしろいことになっていますね」

「ごきげんよう、エリオベラ様。
 もう何が何だか……」

「なんだか、あなたのお父様が動いたというお話はお聞きしましたけれど。
 一体何をされたのでしょうね?」

 お父様が、動いた? もう、頭がパンク状態だ。つまりお父様も今の状態を正しく認識しているというわけで、だけど宰相で、お兄様もいる状態ではそれはある意味あたりまえ?
 そしてそんなお父様が直接彼らに何かをし、こうしてあわてて謝ってきた、と……。
 お父様、いったい何をされたんです⁉ まさかの、一番警戒しなければいけなかったのはお父様というオチ。ヴァークのあの不穏な発言は一体何だったのだ。

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