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無事にこっそりとプレゼントを受け取り、兄様の誕生日当日。朝からいつも通り学校へと向かう兄様を見送って、さっそく準備に取り掛かることになった。押し花のしおりもちゃんと完成している。後はカイ兄様に教えてもらって猛特訓した花冠を用意しないと。パーティーの主役ですからね!
料理もいつもより豪華なものを! と要望を出すと、厨房は快く引き受けてくれた。会場設営は侍女たちにも助けてもらって、準備は万端。後は兄様の帰りを待つだけ、なんだけど……。
「セイラールさんも、呼びませんか?」
「え、っと、セイラール様、ですか?」
「セイラール様はまだセスアルト様をご出産されてから日が浅いですから……」
「無理でもいいの。
声をかけるだけでも、と思って」
「り、リステリア様……!
そうですね、お声がけしてもよいかもしれませんね」
「ちょっと」
「でも……」
何やら侍女を困らせてしまっているみたいだけれど、せっかくなら家族みんなで祝いたいもの。セイラールさんは私たちのこと嫌っているとは思うし、あまり家族って感じはしないけれど、確かに私たちは家族なのだ。
「では、セイラール様にお声がけに行きますね」
「ありがとう」
「リステリア……」
「あ、そうだね」
セイラールさんのところに向かう侍女を見送ろうとしていると、リテマリアから声がかかる。そうだった、セイラールさんに言付けを頼むならついでにこれも頼んでしまった方がいいよね。本当は直接渡したい気持ちもあったけれど、それは難しいよねってリテマリアとも話していた。だから、そこはもう諦めている。
「あのね、これをセイラールさんに渡してもらいたいの」
「これは……?」
「兄様の誕生日プレゼントを買ったときにね、セイラールさんにも買ったの。
セイラールさんに似合いそうだなって思って」
エストラン商会に入った時に見かけた女性もののアクセサリーがかわいらしくて、セイラールさんに似合いそう! と思ったのだ。兄様へのプレゼントを選び終わった後に少しだけ時間をもらってセイラールさんにもアクセサリーを購入し、それを渡す機会をうかがっていたのだけれど、それはきっと今日だと思う。
「まあ、セイラール様にもプレゼントを……。
はい、お任せください。
きちんとお届けいたします」
「ありがとう」
よし、準備はこんな感じかな? ほとんど何もしていないけれど、私たちにできること自体がほとんどないからね。後は先生が来たらいつものように授業を受けて、終わったらパーティーだ! 先生も参加してくださるらしい。カイ兄様ももちろん参加してくださるので、身内だけとはいえ、にぎやかになってくれるといいな。
***
「ふふ、今日はそわそわしていますね」
「ごめんなさい……」
「ごめんなさい」
自覚があるから謝ることしかできない。だって楽しみなのだ。でも試験まで学ばないといけないことがたくさんあるから、気を抜いている場合じゃないよね。反省して、集中します。
「まあ、そろそろアシェルタも帰ってくるでしょう。
この辺りで切り上げましょうか」
「いいのですか?」
受験まであまり時間がないから、かなり詰め込むことになると聞いている。心配になって尋ねると、先生は優しくうなずいてくれた。
「お二人ともよく頑張っていますから。
このペースで進められるなら、今日くらい早く切り上げても大丈夫ですよ」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
さあ、と背を押されて、一度自室へと戻る。少しだけおめかしをしてもらうのだ。いつも簡易的とはいえ立派なドレスを着ているけれど、今日はもっと豪華。とはいえ、パーティーとかで着るものよりは簡易的ですよ、と言われてしまった。もっとって……、どれだけ重いのかしら。
髪を結ってもらっている時、お願い事をした侍女たちが言いにくそうにこちらへとやってきた。
「ご指示の通り、セイラール様にお言付けと、プレゼントをお渡ししてまいりました」
「ですが、やはりパーティーには参加されないとのことです」
「そっか、仕方ないよね」
「ありがとう」
その返事は予想通り。リテマリアにとってもそうだったのだろう。私たちは特に追及することなく、侍女の言葉にうなずいた。まあでもプレゼントを受け取ってもらえただけまだ良かったのかな?
髪も結び終わって、服も着替え終わった。会場の準備もばっちり。ちょうどそのタイミングで兄様がそろそろ帰ってくるという連絡があった。よしよしちょうどいい。花冠の準備もばっちり。と言うことで、先生と一緒に玄関でお出迎えです。
料理もいつもより豪華なものを! と要望を出すと、厨房は快く引き受けてくれた。会場設営は侍女たちにも助けてもらって、準備は万端。後は兄様の帰りを待つだけ、なんだけど……。
「セイラールさんも、呼びませんか?」
「え、っと、セイラール様、ですか?」
「セイラール様はまだセスアルト様をご出産されてから日が浅いですから……」
「無理でもいいの。
声をかけるだけでも、と思って」
「り、リステリア様……!
そうですね、お声がけしてもよいかもしれませんね」
「ちょっと」
「でも……」
何やら侍女を困らせてしまっているみたいだけれど、せっかくなら家族みんなで祝いたいもの。セイラールさんは私たちのこと嫌っているとは思うし、あまり家族って感じはしないけれど、確かに私たちは家族なのだ。
「では、セイラール様にお声がけに行きますね」
「ありがとう」
「リステリア……」
「あ、そうだね」
セイラールさんのところに向かう侍女を見送ろうとしていると、リテマリアから声がかかる。そうだった、セイラールさんに言付けを頼むならついでにこれも頼んでしまった方がいいよね。本当は直接渡したい気持ちもあったけれど、それは難しいよねってリテマリアとも話していた。だから、そこはもう諦めている。
「あのね、これをセイラールさんに渡してもらいたいの」
「これは……?」
「兄様の誕生日プレゼントを買ったときにね、セイラールさんにも買ったの。
セイラールさんに似合いそうだなって思って」
エストラン商会に入った時に見かけた女性もののアクセサリーがかわいらしくて、セイラールさんに似合いそう! と思ったのだ。兄様へのプレゼントを選び終わった後に少しだけ時間をもらってセイラールさんにもアクセサリーを購入し、それを渡す機会をうかがっていたのだけれど、それはきっと今日だと思う。
「まあ、セイラール様にもプレゼントを……。
はい、お任せください。
きちんとお届けいたします」
「ありがとう」
よし、準備はこんな感じかな? ほとんど何もしていないけれど、私たちにできること自体がほとんどないからね。後は先生が来たらいつものように授業を受けて、終わったらパーティーだ! 先生も参加してくださるらしい。カイ兄様ももちろん参加してくださるので、身内だけとはいえ、にぎやかになってくれるといいな。
***
「ふふ、今日はそわそわしていますね」
「ごめんなさい……」
「ごめんなさい」
自覚があるから謝ることしかできない。だって楽しみなのだ。でも試験まで学ばないといけないことがたくさんあるから、気を抜いている場合じゃないよね。反省して、集中します。
「まあ、そろそろアシェルタも帰ってくるでしょう。
この辺りで切り上げましょうか」
「いいのですか?」
受験まであまり時間がないから、かなり詰め込むことになると聞いている。心配になって尋ねると、先生は優しくうなずいてくれた。
「お二人ともよく頑張っていますから。
このペースで進められるなら、今日くらい早く切り上げても大丈夫ですよ」
「ありがとうございます!」
「ありがとうございます」
さあ、と背を押されて、一度自室へと戻る。少しだけおめかしをしてもらうのだ。いつも簡易的とはいえ立派なドレスを着ているけれど、今日はもっと豪華。とはいえ、パーティーとかで着るものよりは簡易的ですよ、と言われてしまった。もっとって……、どれだけ重いのかしら。
髪を結ってもらっている時、お願い事をした侍女たちが言いにくそうにこちらへとやってきた。
「ご指示の通り、セイラール様にお言付けと、プレゼントをお渡ししてまいりました」
「ですが、やはりパーティーには参加されないとのことです」
「そっか、仕方ないよね」
「ありがとう」
その返事は予想通り。リテマリアにとってもそうだったのだろう。私たちは特に追及することなく、侍女の言葉にうなずいた。まあでもプレゼントを受け取ってもらえただけまだ良かったのかな?
髪も結び終わって、服も着替え終わった。会場の準備もばっちり。ちょうどそのタイミングで兄様がそろそろ帰ってくるという連絡があった。よしよしちょうどいい。花冠の準備もばっちり。と言うことで、先生と一緒に玄関でお出迎えです。
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