あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

mio

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十章 新学期

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 うーん、先生は無理に来なくてもいいと言ってくれたけど今日はまだはやい時間だしやっぱり寄っていこう。
 そう決めると私はいつもの教室へと足を向けた。

「こんにちは~」

 ドアを開けてそういうとすぐに先生が顔を出した。
 その顔は少し驚いているようだ。

「おや、今日も来られたんですね」

「生徒会の方が早々に終わったものでして」

 そうでしたか、と納得するとさっそく昨日の続きをしようということになった。
 今日はまた違う魔法陣を覚えていく。
 
「それにしてもさすがですね。
 ほかの方ですと一日で覚えられる魔法陣の数はとても限られているんですけど……」

 そういってちらりとこちらの方を見る先生。
 ちなみに今手をかざしているこの魔法陣、今日10コ目でしょうか。
 まだ余裕がありそうだし、いいのならまだ覚えておきたいくらいだ。

「まだ余裕そうですね。
 ここに流しているのはれっきとした魔力なので、多くはできないはずなんです。
 まあ、あなたの魔力量が桁外れなのは知っていましたので当然と言えば当然かもしれませんがね」

 はぁ、とため息をつきそうな先生を見てまたやらかしたか? と内心冷や汗をかいていると、先生はもう一度さすがです、と口にする。
 これはどっちだ?

「でも、今日はこれくらいにしておきましょう。
 魔力は大丈夫でも、精神力はきついでしょうから」

 そういうとお菓子でも食べますか、とおいしそうなクッキーを出してきてくれた。
 確かに疲れていたからこのタイミングでの甘いものはとても嬉しい。

「いただきます」

 うん、おいしい。
 サクサクとしていているけど、決してぱさぱさしていない。
 それにほんのり果物の味がするのもいい。
 これはどこのお菓子なんだろう。

「これはどこのお菓子ですか?」

「お恥ずかしながら、私が作ったものなんです」

 アハハ、と気まずそうに先生はそう告げてくる。
 なんですと!?
 これが先生の手作り……。
 なんというか、負けた気がします。

「お口に合わなかったでしょうか?」

「いえ!
 とてもおいしいです」

 それは良かった、と先生は嬉しそうに笑う。
 料理はとてもおいしかったけど、お菓子も作れるのか……。

 びっくりしながらもクッキーをいただいていると、扉をノックする音が聞こえてきた。
 先生がどうぞ、と返事をすると入ってきたのは兄様だった。

「こっちにいたんだね、アーネ。
 まだかかるかい?」

「いえ、もう帰ろうかとしていたところです」

 なんというちょうどいいタイミングなんだ。
 じゃあ帰ろうか、と兄様が私の手を取る。
 いつの間にか荷物も兄様が持っていた。
 恐るべし……。

「ではまた」

 先生に見送られて私たちは教室を後にした。




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