あいつに無理矢理連れてこられた異世界生活

十章 新学期

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　あれから結局毎日のように生徒会に顔を出しに行くようになったのは、まあこの際置いておいてだ。なぜお茶会のことだけでなく通常の書類も手伝っているんだ？ 確かに買い出し行きますか？ と聞かれて断ったけれど、でも行くか書類を手伝うかの二択だなんて聞いていない。

「そんな不満そうな顔をしないでくれ。
　君が思っていた以上に有能だったからついな」

　つい、でやっていいことなんだろうか。なんというか騙された気分？ 最近はあまり先生のところにも行けていないし。手伝うと言った手前断るのもなんだかな～。

「そんな顔をしつつもしっかり手を動かしてくれる当たり、本当に頼りになるよね」

　何か言っているけれど無視の方向で。

　最近処理の方法を教えてもらった書類にひたすら確認済み、の印を押していく。なんでこんなに確認するもの多いの？ ここ、初等部の生徒会だよね。これはいいように言えば確かに鍛えられる。
　そのあとにもくもくとやっていくのは文化祭関連の提出資料の写し。ここにはコピー機なんて便利なものはないからひたすら手書きなのだ。なのに確認用や保存用と各2枚は写しを用意しないといけない。そりゃ多忙になるよ！


「アーネ！」

　ひたすら無心で写しをやっていると不意に肩をたたかれる。全く気が付いていなかったからびっくりした……。

「お兄様、いつの間に来られたのですか？」

「ついさっきだよ。
　全く気が付かなかったね」

　その言葉に苦笑するしかない。確かに気が付かなかった。帰ろう、と言われてまだ書きかけの資料を見る。まだ書き写すものは残っているし、中途半端はなんかいやだ。どうしよう、と会長の方を見るとその資料だけやっていってくれると嬉しい、と言ってくる。なんだか私の思考が読まれた感じがして微妙な気持ちになりつつ、ひとまず終わらせてしまうことにした。

「では、また明日伺いますね」

「ああ。
　今日もありがとう」

「クリケリア、あまりアーネを使うなよ」

　兄様が何だか会長にくぎを刺していたけれど、正直もっと言ってやれ、ですね。本当に仮所属なのにどうしてこんなにこき使われているのか。会長はそれでもなんともない顔をしているからあまり効果はなさそうだけどね。


「お兄様の文化祭の準備は順調なのですか？」

　馬車に乗り、ふと気になったことを聞いてみる。いくらお茶会が入ってくるとは言え、今でさえ初等部がこんなに忙しいのだ。兄様もさぞ忙しいのだろうと聞いてみると、なんとも言えない笑みを返された。

「アーネに言った手前ね、僕は頑張ってるよ」

　わざわざ入れられた僕は、という言葉。もちろん突っ込みません。特進科でも真面目にやらない人っているんだね。