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3章 王都での暮らし
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「もう一つ、ずっと気になっていたことがあって……」
少ししてからシントがそう切り出す。もう一つ? と首をかしげると、ペンダント、と口にした。ペンダント。心当たりは一つしかない。
「あの時、ルベーナ嬢と対面をしたとき、僕は彼女になら命を絶たれてもいいのではないかと思ったんだ。
でもその瞬間にはまばゆい光に包まれていて、そしてそれをきっかけとして争いは収束していった。
去っていくラルヘがあれをくれた意味は分かっていなかったが、いったいどういう意味で、どういう効果をもったあれを最後に渡してくれたんだい?」
恐る恐るといった様子で聞いてくる。やっぱりあのペンダントのことだったのか。うーん、これはどこまで説明していいことなんだろう。いろいろと秘匿すべきこともあって、うーんとうなっていると無理に聞こうとは思っていない、という言葉が聞こえる。まあ、概要ならいいかな?
「詳しいことは言えないのだけれど……。
あれは持ち手のことを一度だけどんな攻撃からも守ってくれるような機能を持っているんだ。
あれを作れるのは僕だけで、ルベーナもそれを知っている。
おそらくだけど、だからこそ攻撃をやめたのではないかな?」
まあ、それはルベーナが僕のために立ちあがったのではといううぬぼれに近い予想の元の話だけれど。なかなかいたたまれない……。
「そう、か……」
それだけ言うと、シントは押し黙る。いやいやいや、ここで何も言われないといろいろ恥ずかしい。ずっと身に着けていた、攻撃から身を守るペンダントを最後にクロベルタに渡したってばれたし、今ルベーナが僕がクロベルタの身を守ることを望んだって気づいて攻撃をやめたのではって言っちゃったし。それってつまり、ルベーナが戦場に立ったのは僕のためでは、と言っているのと同義だ。え、突っ込んでくれないと恥ずかしいよ……。
「ずいぶん長く話してしまったね。
そろそろ戻らないと心配されるだろうし」
結局そのまま部屋に戻ることになり、慌てて紅茶を飲み切ると何事もなかったように二人を呼び戻す。結局長い時間話し込んでしまったみたいで、なんとサイガ達と一緒に兄上も入ってきたのだ。
「お久しぶりです、シフォベント殿下」
「ああ、お久しぶりです、ヘキューリア殿。
兄上が無理を言っているようで申し訳ない」
「いえ、気になさらないでください」
お互いにはは、と苦笑いを浮かべそんな会話を繰り広げる。ちらっと聞いたはなしだとエキソバート殿下は将来の王としては有能な方、ということだったけれど実は困った方なのかな? 何せ、自分が一番見ているところはシント、と呼ぶと睨むような眼でこちらを見る姿だ。
「あの、エキソバート殿下はどのような方なのですか?」
疑問をそのまま口にすると、うーん、と悩み始めてしまった。そんなに形容するのが難しいのか⁉
「勉学も武術も、人を動かす技も、優秀だ。
それに人に対する優しさもきちんと持っておられる。
そういった意味ではきっと王太子にふさわしい方だろうね」
ふむふむ。やっぱり周りの有能という判断はあっているのか。なら安心だね。でも、まだ正式に王太子にはなられていないからまだ油断はできないけれど、といったところだろうか。
「兄上は優秀なのだがな……。
こう、たまに多少暴走することがあるというか……」
言いづらそうに言葉を濁すシント。そんなにも評価しづらい方だったのね。
「まあ、その暴走も外には見せないからいいのだが」
「え、少し待ってください?
僕の記憶上、何度かエキソバート殿下に睨まれていた気がするのですが?」
あれは有能でお優しい、という殿下からすれば暴走ではないの? もしくは僕の勘違いだったか。そんなことを考えていると、ああ、と笑われてしまった。
「きっとご本人も無意識なのだろうが、そういった意味ではもうアランは内の人間なのだろうな」
なんて迷惑な。それが正直な感想だった。というか、どこに僕を内に見るきっかけがあったの? まったくわからん。
「それはあるかもしれませんね。
力関係を考えずに付き合える人間はそう多くはありませんから。
齢はだいぶ離れてしまいますが、マリアンナ嬢はぜひ妹と仲良くしていただけると嬉しいですね」
妹。そういえば話では聞いたことがある。確か今の陛下の御子は三人で王子はエキソバート殿下、シントそして王女はエリザベート殿下おひとりだったはず。
「エリザベート殿下、でしたよね?
今おいくつなのですか?」
「4歳だよ」
それはなかなか姉上と齢が離れている。まあきっと姉みたいに仲良くするんだろうな。
「長らくお邪魔してしまいましたね。
そろそろ帰ろう、アラン」
「はい、兄上」
そうしてようやく僕らは屋敷へと帰ることができました。
少ししてからシントがそう切り出す。もう一つ? と首をかしげると、ペンダント、と口にした。ペンダント。心当たりは一つしかない。
「あの時、ルベーナ嬢と対面をしたとき、僕は彼女になら命を絶たれてもいいのではないかと思ったんだ。
でもその瞬間にはまばゆい光に包まれていて、そしてそれをきっかけとして争いは収束していった。
去っていくラルヘがあれをくれた意味は分かっていなかったが、いったいどういう意味で、どういう効果をもったあれを最後に渡してくれたんだい?」
恐る恐るといった様子で聞いてくる。やっぱりあのペンダントのことだったのか。うーん、これはどこまで説明していいことなんだろう。いろいろと秘匿すべきこともあって、うーんとうなっていると無理に聞こうとは思っていない、という言葉が聞こえる。まあ、概要ならいいかな?
「詳しいことは言えないのだけれど……。
あれは持ち手のことを一度だけどんな攻撃からも守ってくれるような機能を持っているんだ。
あれを作れるのは僕だけで、ルベーナもそれを知っている。
おそらくだけど、だからこそ攻撃をやめたのではないかな?」
まあ、それはルベーナが僕のために立ちあがったのではといううぬぼれに近い予想の元の話だけれど。なかなかいたたまれない……。
「そう、か……」
それだけ言うと、シントは押し黙る。いやいやいや、ここで何も言われないといろいろ恥ずかしい。ずっと身に着けていた、攻撃から身を守るペンダントを最後にクロベルタに渡したってばれたし、今ルベーナが僕がクロベルタの身を守ることを望んだって気づいて攻撃をやめたのではって言っちゃったし。それってつまり、ルベーナが戦場に立ったのは僕のためでは、と言っているのと同義だ。え、突っ込んでくれないと恥ずかしいよ……。
「ずいぶん長く話してしまったね。
そろそろ戻らないと心配されるだろうし」
結局そのまま部屋に戻ることになり、慌てて紅茶を飲み切ると何事もなかったように二人を呼び戻す。結局長い時間話し込んでしまったみたいで、なんとサイガ達と一緒に兄上も入ってきたのだ。
「お久しぶりです、シフォベント殿下」
「ああ、お久しぶりです、ヘキューリア殿。
兄上が無理を言っているようで申し訳ない」
「いえ、気になさらないでください」
お互いにはは、と苦笑いを浮かべそんな会話を繰り広げる。ちらっと聞いたはなしだとエキソバート殿下は将来の王としては有能な方、ということだったけれど実は困った方なのかな? 何せ、自分が一番見ているところはシント、と呼ぶと睨むような眼でこちらを見る姿だ。
「あの、エキソバート殿下はどのような方なのですか?」
疑問をそのまま口にすると、うーん、と悩み始めてしまった。そんなに形容するのが難しいのか⁉
「勉学も武術も、人を動かす技も、優秀だ。
それに人に対する優しさもきちんと持っておられる。
そういった意味ではきっと王太子にふさわしい方だろうね」
ふむふむ。やっぱり周りの有能という判断はあっているのか。なら安心だね。でも、まだ正式に王太子にはなられていないからまだ油断はできないけれど、といったところだろうか。
「兄上は優秀なのだがな……。
こう、たまに多少暴走することがあるというか……」
言いづらそうに言葉を濁すシント。そんなにも評価しづらい方だったのね。
「まあ、その暴走も外には見せないからいいのだが」
「え、少し待ってください?
僕の記憶上、何度かエキソバート殿下に睨まれていた気がするのですが?」
あれは有能でお優しい、という殿下からすれば暴走ではないの? もしくは僕の勘違いだったか。そんなことを考えていると、ああ、と笑われてしまった。
「きっとご本人も無意識なのだろうが、そういった意味ではもうアランは内の人間なのだろうな」
なんて迷惑な。それが正直な感想だった。というか、どこに僕を内に見るきっかけがあったの? まったくわからん。
「それはあるかもしれませんね。
力関係を考えずに付き合える人間はそう多くはありませんから。
齢はだいぶ離れてしまいますが、マリアンナ嬢はぜひ妹と仲良くしていただけると嬉しいですね」
妹。そういえば話では聞いたことがある。確か今の陛下の御子は三人で王子はエキソバート殿下、シントそして王女はエリザベート殿下おひとりだったはず。
「エリザベート殿下、でしたよね?
今おいくつなのですか?」
「4歳だよ」
それはなかなか姉上と齢が離れている。まあきっと姉みたいに仲良くするんだろうな。
「長らくお邪魔してしまいましたね。
そろそろ帰ろう、アラン」
「はい、兄上」
そうしてようやく僕らは屋敷へと帰ることができました。
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