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4章 視察(上)
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しおりを挟むはぁー、なんというか頭がいっぱい。この屋敷にはご令嬢が一人しかいないこと、とくに危険もないことなどを考慮して、実はほかの領地よりも視察に同行している。初回以来、全力でダブルク様の邪魔をしないことを目標としています。
水回りの視察がやっぱりおおくて、話を聞いているうちに初めよりは理解できるようになりました。それも付き合ってくれたシントおかげだね。僕と同じくらい何もわからないと思いきや、そんなこともなかったらしい。はっきりとわからなかったらしいけれど、前に軽く学んだことがあり、多少は理解できたらしい。ふーん。
そして、そのおかげで視察後半にすこーしだけ理解できた、気がする。うん。
というわけで、今日がこの領最終日です。この後は次の領に行かず、一度王都に戻ることに。この続きはまた年が明けたらになる。そう、もう半分終わったのだ。始まってみればあっという間だったな……。でも、もう帰れるのはありがたいかも。最近なかなか忙しかったこともあってそろそろやばそう。それはダブルク様も察しているようで、今日は屋敷でおとなしくしていることに。シントも付き合ってくれているから、まだ楽しいかな。
「そういえば……、兄上どうなったかな」
「んぐっ、ちょ、急に話変えないで……」
「あ、ごめん。
でも、いままで誰もこの話に触れなかっただろう?
戻ったら逃げられないだろうし」
「そうだけど、今はいいや……。
僕らはまだデビューしていないから夜会は出なくていいし、お茶会もパスしたい」
「それはそうだけど」
苦笑するシント。確かに逃げ続けるの無理だってわかっているけどさ! 姉上が婚約されるのは別にいい。でもさ、姉上が嫌がっているなら嫌だし、それになぁ、エキソバート殿下ね……、うん。
「そんな顔しないでよ。
まあそうだね。
戻ってから聞けばいいか」
うんうん、それでいいのです。そして最後までおいしくお茶を頂きました。
「いろいろと貴重なものを見せていただきありがとうございました」
「こちらこそ、ご足労頂きありがとうございました。
例の話、ぜひお願いします」
「ええ、検討いたします」
ダブルク様が伯爵に丁寧に頭を下げる。代表者同士の挨拶が終わると早速馬車に乗り込む。これでしばらくはお休みできるはずだ。学べることが多かったし、いろいろと楽しかったけれどやっぱり疲れた。戻ったらゆっくり休めるといいな……。
「さて、これから久しぶりの王都に戻ります。
本当は途中で一泊野宿する予定でしたが、変更して宿に泊まります。
全員泊まれるわけではありませんが、まあ、気にしないでください」
「全員泊まれないのに宿に?」
「ええ、ちょっとした懸念事項がありまして。
まあ、お二人は気にせずゆっくりと休んでください」
野宿している人もいるのに、気にせずゆっくり。が、頑張ります。
ダブルク様の言う通り、全員は止まれない宿に一泊し、全員が止まれる宿にも泊まりつつ王都に入った。少人数で止まった宿ではなんだか護衛の人もダブルク様も少しピリッとした空気だったけれど、一体何があったんだろう。聞いてみたけれど、何でもないとしか答えてもらえませんでした。
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