150年後の敵国に転生した大将軍

mio

文字の大きさ
上 下
109 / 179
4章 視察(上)

108

しおりを挟む

「それでは、我々は報告があるので。
 二人は帰宅してください」

 お疲れさまでした、とダブルク様に送りだされてシントと別れる。そして久しぶりのわが屋敷へ! といってもタウンハウスだけれど。迎えに来てもらった馬車で早速向かいます。

「!
 おかえりなさい、アラン!」

「姉上!?」

 馬車から降りた瞬間、姉上がまさかの行動に! 確かに長い間会えていなかったとはいえ、抱き着いてくるとは。兄上も苦笑いしていないで姉上を止めてください。

「マリー、そこまでにしなよ。
 アランが驚いているよ?」

「ですが……。
 ごめんなさい、アラン」

「いえ、いいのですが……」

「はぁー、久しぶりの癒しだわ。 
 せっかく王都に出てきたのに、アランはいないんだもの」

「まあ、確かに。
 ひとまず楽な恰好に着替えてくるといいよ。
 そしたら三人でお茶をしよう。
 いろいろと話したいことがあるんだ」

「わかりました」

 そういえば父上たちは来ていないのかな? 疑問には思ったけれど、ひとまず兄上の指示に従っておきます。自分の部屋も久しぶりだな。

「ずっと付き合ってもらって、サイガも疲れたでしょう。
 しばらく休みをもらったら?
 また銀月になったら付き合ってもらわなきゃいけないんだし」

「いいえ、大丈夫です。 
 どうかアラン様はこちらのことはお気になさらず」

 気になさらず……、って無理では? そんなずっと休みなく働いてもらうなんて申し訳ないんだけど。


「お休みされてもいいんですよ?
 アラン様のお世話は私がやっておきますし」

 あれ、アベルってこういうこと言うっけ? ついてきていたのはサイガだけだったから、忘れたとか? いやいや、さすがにそんなことはないはず。なぜかサイガはアベルをにらんでいるし。うーん? ひとまず。

「アベルもサイガも仲良くしてよ……」

「「仲良しですよ?」」

 え、なんか信用できない。

「さあ、早く準備しましょう」

 なんか話を切り上げられたけど、うん、気にしない方向でいこう。


「お待たせいたしました」

「いや、もっとゆっくりしてくればよかったのに」

「いえ」

 サロンに行くと、もう二人は席についていて何かを話していた。でも、僕が来たことに気が付くとすぐに話を切り上げた。

「アランにね、最初に言っておいた方がいいことがあるんだ」

「言っておいた方がいいこと?」

 こくりとうなずくと兄上が姉上のほうを見る。どうやら姉上の口から話させようとしているみたいだ。姉上はなぜか少し嫌そうな顔をしてこちらを見た。

「あのね、アラン。
 実はエキソバート殿下と正式に婚約することになったの。
もしかしたらお茶会には出るかもしれないから、知っておいてもらいたくて」

「え!?
 本当に婚約されたんですか?」

「ええ」

 え、婚約したのにどうしてそんな嫌そうな顔? もう少し喜んでいるのかと思ったんだけど、そうでもないと。

「なんだか断る方が面倒になってきてしまって。 
 無月になる前にと婚約を結ぶことになったの」

「いつ婚約されたのですか?」

「つい最近よ。
 はぁ、本当に……」

 本当に? と首をかしげるも続きは口にしない。この婚約は姉上にとってあまりいいものではないのかな。

「こんな反応だけど気にしないで。
 マリーもなんだかんだエリト殿下のこと気になっているんだろうし」

「気になってなんかいないわ!」

 ああ、はい、温かく見守ることします。そのあとは雑談をしてお菓子を楽しみました。

しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

少女魔法士は薔薇の宝石。

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:846

異世界に転生したら?(改)

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:1,258

水の申し子は無双したい訳じゃない

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:14pt お気に入り:552

処理中です...