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6章 学園
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「僕に一つだけ、案があります」
緊張で心臓がうるさい。でも、ここは勇気をだして言わないと。全員の視線が、僕に集まるのが分かった。
「案?」
「はい。
これから僕がやることを、口外しないと誓ってくださいますか?」
一瞬、変な顔をして互いに顔を見合わせるも、すぐにうなずいてくれた。その様子を見て、シントを想う気持ちが同じこの人達なら、きっと信じられるとそう思った。
まずは準備から始めないと。少し待っていてください、と伝え一度外に出る。文字を書くための砂を用意しないといけないからだ。適当に集め、中に戻ると手に一杯に持った砂に、また変な顔をされてしまった。必要なものだから!
「一体何を?」
「すみません、言葉で説明するのは難しくて……。
なるべく広めに空間を空けてもらってもいいですか?」
「あ、ああ」
家具を移動させて、空間を空けてもらう。これでひとまず準備は整った。
砂を複雑な文字を描きながら円状に落としていく。それと同時にシントのことを思い浮かべながら、必要な呪文を唱える。ここで間違えると、すべてが終わる。……、一周、やっと書き終わった。中にいたまま、最後まで呪文を唱え上げる。そして、中央に自分の一部、今回は髪を少しおいて、円の外に出た。
「一体、何を……?」
「アラン、その目……」
息が切れて、汗が絶え間なく伝う。魔力がだいぶ持っていかれた。相手にマーキングしていたら、もっと楽だったのに。本当にやらかした。
そして、魔力を取られる感覚が止まる。砂が媒介を回収して、淡く光り始めた。少しして映像が流れ始める。頭の中に勝手に流れてくるものに、くらりと視界が傾いた。
「アラン!?」
でも、ここで倒れたらすべてが無意味になる。ぐっと我慢して、情報を受け取り切った。
「やっぱり、ツェベルと一緒だ……。
これは……、アベスタ領か?」
まさかこんなところで、各領を回った経験が生きるとは。
「アラン、大丈夫なの?」
馬に乗っている。シントは軽く縛られているみたいだ。周りにも人がいる? シントを攫ったのはツェベルだけではないのか。……、やぱい、意識が……。その前に、伝えないと。
「アベスタ領から、リシュベン領に入るところにシントが……。
ツェベルがさらったんだ。
他にも、人がいる」
もう、だめ……。
「アラン、アラン!」
ぷつり、と意識が切れる。伝わっていると、いいけれど。
ふと、泥沼から意識が浮かび上がる。何か夢を見ていた気がするけれど、覚えていないや。何か、とても大事な夢、だった気がする。ああ、のどが渇いた。一体僕はどのくらい眠っていたのだろう。
ゆっくりと起き上がったけれど、くらりと視界がゆがむ。これ、かなり熱出ているわ。面倒な。今は立ち止まっている暇はないのに。ひとまず水が飲みたい。起き上がって、部屋から出る。これだけなのに、壁伝いじゃないと動けないとは。
「アラン様!?
こんなところで一体何を!」
あ、見つかった。いや、見つかっていいんだけれど。
「水が、飲みたくて」
「すぐにお持ちします!
ベッドにお戻りください」
うん、確かに。さすがに無理そうだ。久しぶりに無理をしすぎたみたい。さあ、と手を引かれて、一旦ベッドへ。そして、本当にすぐに水を持ってきてくれた。ひんやりとした水が、ここまでおいしいとは……。
「落ち着きましたか?」
「うん、ありがとう」
さすがにもうひと眠り……、している場合じゃない!
「シントは!?」
「……、今はひとまずお休みください。
かなりの高熱が出ているのですから」
「気になって休めるわけない!」
当り前じゃないか。じっとサイガを見つめる。すると、サイガはあきらめたのか、ため息をついた。
「まだ、見つかっていません。
捜索隊が出ていますので、そちらにお任せください」
「フレン兄上たちは?」
「フレミック様、ですか?」
学園に行かれていると思いますが」
あああ、そういう意味ではない。だけど、これ以上説明もできない。あー、もう、どうしたら……。
「お休みください」
結局、強制的に休まされてしまった。
緊張で心臓がうるさい。でも、ここは勇気をだして言わないと。全員の視線が、僕に集まるのが分かった。
「案?」
「はい。
これから僕がやることを、口外しないと誓ってくださいますか?」
一瞬、変な顔をして互いに顔を見合わせるも、すぐにうなずいてくれた。その様子を見て、シントを想う気持ちが同じこの人達なら、きっと信じられるとそう思った。
まずは準備から始めないと。少し待っていてください、と伝え一度外に出る。文字を書くための砂を用意しないといけないからだ。適当に集め、中に戻ると手に一杯に持った砂に、また変な顔をされてしまった。必要なものだから!
「一体何を?」
「すみません、言葉で説明するのは難しくて……。
なるべく広めに空間を空けてもらってもいいですか?」
「あ、ああ」
家具を移動させて、空間を空けてもらう。これでひとまず準備は整った。
砂を複雑な文字を描きながら円状に落としていく。それと同時にシントのことを思い浮かべながら、必要な呪文を唱える。ここで間違えると、すべてが終わる。……、一周、やっと書き終わった。中にいたまま、最後まで呪文を唱え上げる。そして、中央に自分の一部、今回は髪を少しおいて、円の外に出た。
「一体、何を……?」
「アラン、その目……」
息が切れて、汗が絶え間なく伝う。魔力がだいぶ持っていかれた。相手にマーキングしていたら、もっと楽だったのに。本当にやらかした。
そして、魔力を取られる感覚が止まる。砂が媒介を回収して、淡く光り始めた。少しして映像が流れ始める。頭の中に勝手に流れてくるものに、くらりと視界が傾いた。
「アラン!?」
でも、ここで倒れたらすべてが無意味になる。ぐっと我慢して、情報を受け取り切った。
「やっぱり、ツェベルと一緒だ……。
これは……、アベスタ領か?」
まさかこんなところで、各領を回った経験が生きるとは。
「アラン、大丈夫なの?」
馬に乗っている。シントは軽く縛られているみたいだ。周りにも人がいる? シントを攫ったのはツェベルだけではないのか。……、やぱい、意識が……。その前に、伝えないと。
「アベスタ領から、リシュベン領に入るところにシントが……。
ツェベルがさらったんだ。
他にも、人がいる」
もう、だめ……。
「アラン、アラン!」
ぷつり、と意識が切れる。伝わっていると、いいけれど。
ふと、泥沼から意識が浮かび上がる。何か夢を見ていた気がするけれど、覚えていないや。何か、とても大事な夢、だった気がする。ああ、のどが渇いた。一体僕はどのくらい眠っていたのだろう。
ゆっくりと起き上がったけれど、くらりと視界がゆがむ。これ、かなり熱出ているわ。面倒な。今は立ち止まっている暇はないのに。ひとまず水が飲みたい。起き上がって、部屋から出る。これだけなのに、壁伝いじゃないと動けないとは。
「アラン様!?
こんなところで一体何を!」
あ、見つかった。いや、見つかっていいんだけれど。
「水が、飲みたくて」
「すぐにお持ちします!
ベッドにお戻りください」
うん、確かに。さすがに無理そうだ。久しぶりに無理をしすぎたみたい。さあ、と手を引かれて、一旦ベッドへ。そして、本当にすぐに水を持ってきてくれた。ひんやりとした水が、ここまでおいしいとは……。
「落ち着きましたか?」
「うん、ありがとう」
さすがにもうひと眠り……、している場合じゃない!
「シントは!?」
「……、今はひとまずお休みください。
かなりの高熱が出ているのですから」
「気になって休めるわけない!」
当り前じゃないか。じっとサイガを見つめる。すると、サイガはあきらめたのか、ため息をついた。
「まだ、見つかっていません。
捜索隊が出ていますので、そちらにお任せください」
「フレン兄上たちは?」
「フレミック様、ですか?」
学園に行かれていると思いますが」
あああ、そういう意味ではない。だけど、これ以上説明もできない。あー、もう、どうしたら……。
「お休みください」
結局、強制的に休まされてしまった。
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