150年後の敵国に転生した大将軍

mio

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6章 学園

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 ようやく熱が下がり、なんとか学園に行く許可が。本当はそんなこと言っている場合ではないが、フレン兄上たちと会うには学園が一番だから。ただ、一つ心配なことが。あれ以降、細かな魔力調整がどうもうまく行かなくて、瞳の色が変えられないのだ。だから、久しぶりに眼帯のお世話に。なんだかな……。

 でも、行かないと。

「本当に行かれるのですか?」

「うん」

「アラン、今日は休んだ方がいいのでは?」

「いえ、大丈夫です」

 姉上まで止めてくる。まあ、今までさんざん迷惑をかけた自覚はあるけれど……。とにかく、他からの反対を振り切って学園に行くことになった。

 教室に行くと、すでにシェリー嬢が来ていた。よかった、すぐに聞ける。教室に入ってきた僕に、シェリー嬢は目を見開いた。そして、読んでいた本を置いて、すぐにこちらにやってくる。

「アラミレーテ様!
 もう体調は大丈夫なのですか?」

「はい。
 あの、シントは?」

 そう口にすると、気まずげに視線をそらされてしまった。一体何がどうなっているんだ? あの時点での、結構正確、ではないにしろある程度場所が絞れるように伝えたと思っていたんだけれど……。

「詳しい話は、放課後にしましょう? 
 お聞きしたいこともありますし……」

 本当は今すぐに聞きたい。でも、さすがにさぼりに付き合わされるわけにはいかない。しぶしぶと、僕はうなずいた。

「おはようございます。
 体調はもう大丈夫なのですか?」

「おはようございます。
 ご心配ありがとうございます、バレティエラ殿下。
 もう、大丈夫ですよ」

「でも、まだ顔色があまりよくないですよ……。
 シフォベント殿下もあまり体調がよろしくないようで、心配です……」

 シントが、体調不良? そういうことになっているのか。さすがに、王太子が行方不明、というわけにはいかないだろうし。かなり申し訳ないけれど、事情を僕から説明するわけにはいかない。

 無難にそうですね、というしかなかった。


 そして待ちに待った放課後。すぐに四囲の館へと向かった。僕は汚したまま倒れてしまったのだけれど、きれいに片付いていた。誰かに片づけをやらせてしまったんだよね。申し訳ない……。でも、今はとにかくシントのことだ。

「あの、シントは一体?」

「その、アランが伝えてくれたことをもとに、すぐに捜索したのだけれど、擦り抜けられたみたいで。
 さすがに捜索範囲が広くて……」

「今はどうしているんですか?」

「国境でだけは逃すわけにはいかない、と辺境伯の協力のもと、張っています」
 
 国境……。かなりぎりぎりだ。そこを逃したら、もう皇国になってしまう。その気持ちは共通なのだろう。全員が苦い顔をしていた。

「今度はこちらからいいですか? 
 先日のあれは、一体……?」

 やっぱり、聞かれるよね……。かなり堂々とやってしまったし。でも、本当にどう説明すればいいのか、僕にもわからないんだ。僕が僕になる前、そのずっと前から、僕はああいったことを知っていた。

どうやれば、どういうことができるのか。大部分は、おそらく僕の、いや『ラルヘ』の母親から聞いたことだった。僕らの村に古くから脈々と受け継がれていた、呪文。それが普通ではないと知ったのは、いつだっただろうか。

「アラミレーテ様?」

「なんでもありません……。
 あれは、その、僕が考えたものなのです。
 魔法師団に出入りして、時間は多くありましたし。
 なんというか、そういう、何かを書いた方が、恰好が付くかな、と」

 うう、そんな目でこっちを見ないで……。わかっている、この言い訳がかなり苦しいものだって理解しているから。しているけれど、これ以上何も説明できないんだ……。うう、ひとまずこの空気を変えないと。

「僕も、探しに行く」

「……は?」

 ああ、どのみち居心地が悪い視線が……。でも、さっきのことを追及されるよりはまし、と思いたい。それに、この気持ちは本物だ。

「まだ体調も整っていないのに、何を言っているんですか」

「そ、そうだぞアラン!
 それに、お前が行くなら、俺が行く」

「アラン」

 そんな一気に否定しなくても……、と思うけれど、どのみち反論はできない。探しに行きたかったな。何もしていないと、嫌なことばかりが浮かんでしまう。

「わたくしたちが行動を起こすだけで、多くの人が動かされることになります。
 今は何もしないことが、一番ですよ」

 う、シャーロット嬢にまで言われてしまった。わかってるんだけれど、ね。今はとにかく落ち着かないといけないか。皆だって、我慢している。自分の立場を理解して、わきまえているのに。

「とにかく、今日話せるのはこのくらいかな。
 アラミレーテ殿はもう休んだ方がいい」

 もうそんなに体調悪くないのに、皆そういってくる。でも、話すことがもうないのも事実。おとなしく帰るか……。

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