150年後の敵国に転生した大将軍

mio

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6章 学園

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 いったん報告待ちということで、この場は解散。っと、ここを出る前にどこにいるかを聞いておこう。

「あの、モノローア殿下はどこにいらっしゃいますか?」

「モノローア殿下……?
 客室にいらっしゃると思うけれど」

「アラミレーテ?
 もしや……」

「シントがシントにしかできないことをやりに行くならば、僕も、そうしようかと思ったのです」

「本当に?
 どうにかできるあてはあるのか?」

「おそらく」

 僕の言葉に陛下は頭を抱えてしまった。えっと、僕変なことを言ってしまった?

「幾度己の無力を悔いたか。
 結局は子供たちに任せるしか、できることはないとは。
 皇国との問題も、他大陸との問題も」

 シントは、きっと任されたなんて思っていない。だって、そもそも皇国とこの国との関係悪化に深く関わってしまった記憶を持っているんだもの。だから、皇国との問題解決は自分がやらなくてはいけないこと、と思っているはず。

 それに他大陸との問題を僕に任せるって?

「あの、それはどういうことですか?」

「モノローア殿下、というならば、リンキュ王国の問題を解決しに行くのだろ?
 本来、国の子ではなく私が率先してどうにかせねばならぬのに……」

 ああ、なるほど。でも、これに関しては本当に陛下になにもできなかっただろう。だから、気負う必要は一切ないのに。この方も、シントの親なだけあって心優しい人なんだな。

「モノローア殿下のところに案内させよう」

 なんだか一気に疲労感を増した気がする陛下がそういうと、案内をしれくれるのであろう使用人がやってきた。


 急に押しかけることになってしまったけれど、大丈夫かな。そんな心配は部屋に入った途端に吹き飛んだ。

「ああ、本当に!
 よく来てくれました」

 大歓迎、という言葉がぴったりな様子に、逆に少し引いてしまう。でも、それくらい熱望していたということなのだろう。それは、あの時の様子からも十分に伝わっていたけれど。

「その、それで……」

「本当に僕にできることがあるかは、わかりません。
 それでいいのでしたら、リンキュ王国に行きましょう」

「ああ、本当にありがとうございます」

 うう、こんなに期待されて、もしも何もできなかったらどうしよう。確かに調律をする人は村にいた。そのやり方も母に聞いたことがある。でも、実際やったことは一度もないのだ。

「どうしましょう、いつ出発しましょう?」

「いつでも大丈夫です」

「では、明日でも?」

 明日!? 本当にすぐだ。まあ、確かにいつでもとは言ったけれど……。うん、まあ、特に準備するものもないし、大丈夫だろう。

「わかりました。
 どうやってリンキュ王国へ?」

「それはこちらで整えます。
 明日の2の鐘で王宮までお願いします。
 ああ、そうだ。 
 お一人で来ていただいてもよろしいでしょうか?」

 2の鐘、忘れないようにしないと。一人で、というのも特に問題はない。了承の意を伝えると、またもや嬉しそうにされてしまった……。できたらシントが皇国でのことを終えるころには帰ってきたい。どんな用事で、どのくらいかかるのかはわからないけれど。


「明日からリンキュ王国へ!? 
 それにあなた一人で!?」

「ああ、マリー様!」

「あの、アラン様。
 正気、ですか?」

 うん、まあこういう反応になりますよねー。申し訳ないとは思っています、はい。でも、申し訳ないけれど、正気なんです……。

「本当に一体何が……?」

 何が……。説明、できないよね。シントがやるべきことがある、としか皆に言えなかったように、僕もやっぱり説明するのは難しい。一体どこからどう説明するべきなのかわからないもの。

「シントが、自分にしかできないことをするなら、僕も自分にしかできないことをやろう、って」

「アラン様にしかできないことって……。
 リンキュ王国は赤と青の宝石眼のオッドアイの方を探しているのでしょう?
 それがアラン様とは限らない。
 それなのに!」

「ごめんね、サイガ。
 ちゃんと説明することもできなくて。
 でも、たぶん僕にならできることがあるんだ」

 ああ、まだ納得いかないって顔している。それはそうだよね。だって、ちゃんとした説明一切ないもの。シントと一緒だ。

「お気持ちを変えることは?」

「ない」

 ああ、だからそんなため息つかないで。出発は明日。できればちゃんと送り出してほしいというのは、やっぱりわがままだよね。

「あなたも、シフォベント殿下も、本当に一体何があったのですか?
 もうわけがわかりません。
 ……でも、必要なことなのですね? 
 誰かのためでなく、自分のために」

 自分のために。そうなのかな。正直よくわからない。今まで何も考えずに目をそらしてきた。でも、知ってしまった。何が起きているのかを。これからまた目をそらして、本当に幸せになれるのかな? って少し考えてしまった。きっと、向き合わない限り、ずっとついて回る。だから向き合うって決めたんだ。
 シントがそうしたように。

「うん」

「なら、あとは応援するだけです」

「サイガ……」

 よかった……。どういわれようと、結局行くことは変わらない。でも、やっぱり後押ししてくれた方が嬉しい。

「ありがとう」

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