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最終章
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次の日、快晴。天気はあまり関係ないけれど、でもなんだか嬉しくなる。
「アラン、本当に行くの?」
「はい、行ってきます」
うっ、そんな風に睨まれてもかわいいだけなんだけれど。それは置いておいて。そろそろ約束の時間になってしまう。本当にもう行かないと。
「……、行ってらっしゃい」
「ありがとうございます」
姉上が送り出してくれて、王宮へと向かう。さて、本当にどうやって行くのか。
「お待ちしておりました。
早速向かいましょう」
王宮に着くと待ち構えていたモノローア殿下。さすがに準備万端らしい。様子を伺いたいということで、バレティエラ殿下も一緒に来るらしい。様子を伺いたいって……?
「あの、どこに向かうのですか?」
「『守り人』のところです」
……守り人? かなり懐かしい名前だ。そこから他大陸にって、一体? 疑問はきえないまま、いいからと馬車に乗ることに。あそこには特に海につながっていないよね。
結局楽し気に笑っているだけで、詳しいことは言ってくれないまま馬車は進んでいく。かなり懐かしいこの場所。本当にあれ以降行くことなかったもの。そう言えば、今日は白い服じゃないけれどいいのかな?
中に入っていくと、前と同じように女性が迎え入れてくれる。そしてそのまま奥に進み、扉の中、あの不思議な空間にたどり着いた。ああ、ここは本当に変わっていない。この神秘的な場所は変わらずにここにあったのだ。
「おや、珍しいお客方ですね」
「急にすまない。
奥の部屋に入っても?」
モノローア殿下の言葉に驚いた顔をする『守り人』。だが、すぐに一礼すると、あの時は入らなかった扉へと案内してくれる。ここは一体?
「ご無事を祈っております」
「ありがとう」
そして、去っていく『守り人』。僕一人だけ全くこの状況についていけていないみたいだ。しかも、無事を祈るってなんだろうか。
「この空間は、いろんなところにつながっているんです。
その事実は知っていても、その仕組みを動かすことは我々にはできませんが」
「仕組み、ですか?」
はい、と言って示したのは不思議な文様が刻まれた扉。ああ、この文様見覚えがある。村のはずれにあった、決して入ってはいけないと言われていたあそこにあったもの。僕は一度だけ特別に、と言って入らせてもらったところに。
なるほど、これを使って行き来していたのか。と、わかったのはいいけれど、使い方はわからないよ?
「あの、これ一体どうやって動かすのですか?」
「えーっと、確か……」
扉の前をうろうろとしているモノローア殿下。もしかしてわからない? バレティエラ殿下は!?
「あまりちゃんと聞いたことはないので、確信はないんですが。
ドアノブを握って、この文様全体に力をいきわたらせる、とかなんとか」
「ドアノブ、ですか?
こうですかね」
ひとまずやってみるか、とドアノブを握ってみる。すると、扉が力を求めていたかのように、ずるずると魔力が引き出されていく。これ、あの聖樹みたいだ……。どこもかしこも、魔力が足りていない。
「あ、アラミレーテ殿!
リンキュ王国を思い浮かべてください!」
「え!?
いや、リンキュ王国がわからないのですが!?」
「少々失礼いたします」
そういうと、僕の手にモノローア殿下が手を重ねる。
「アラミレーテ殿は何も考えないで」
何も考えない。無……。
少しすると、扉がひときわ光る。そして徐々にその光は収まっていった。
「成功、したのか?」
成功したかはわからない。でも、何となくドアノブをひねる。ガチャリ、と音を立てて開いた扉の先、あまり景色は変わらない? でも、この扉はもともと『守り人』のところにあったものだ。ならば、繋がったとしてもその先はまた別の国の『守り人』のところ?
「行ってみましょう。
すぐに閉じてしまう」
おお、すごい。なんの迷いもなく進んでいった。バレティエラ殿下も続いて扉をくぐったのを確認すると、自分も扉をくぐってドアノブから手を放す。すると、すぐに扉はしまった。そのあとは、開けようとしても開かなくなってしまった。
バレティエラ殿下に続いて、とりあえず進んでいく。そして現れた扉を開くと、そこに広がっていたのはアルフェスラン王国と同じ神秘的な光景。でも、違うところが一つある。
「ああ、ああ……。
あの扉が使われたのは一体いつぶりでしょうか。
まさか、この目でそれを見ることが叶うとは……」
泣き崩れたこの男性。恐らく、『守り人』だよね? 本当に、リンキュ王国に来れたのか?
「成功、したのか……。
アラミレーテ殿、すぐに王城へ!」
「え、あ、はい」
いまだ頭はついていけていないけれど、とりあえずついていく。その先。今度は全く異なる景色が広がっていた。景色だけじゃない、空気も違うし、天候もおかしい。どうしてここは晴れているのに、少し先では雷鳴がとどろいているの?
「ここは……?」
「ここが、リンキュ王国です」
リンキュ、王国。ここが……。呆然としてしまう僕の手をモノローア殿下が引く。そして、そのまま王城に向かうことになった。
「アラン、本当に行くの?」
「はい、行ってきます」
うっ、そんな風に睨まれてもかわいいだけなんだけれど。それは置いておいて。そろそろ約束の時間になってしまう。本当にもう行かないと。
「……、行ってらっしゃい」
「ありがとうございます」
姉上が送り出してくれて、王宮へと向かう。さて、本当にどうやって行くのか。
「お待ちしておりました。
早速向かいましょう」
王宮に着くと待ち構えていたモノローア殿下。さすがに準備万端らしい。様子を伺いたいということで、バレティエラ殿下も一緒に来るらしい。様子を伺いたいって……?
「あの、どこに向かうのですか?」
「『守り人』のところです」
……守り人? かなり懐かしい名前だ。そこから他大陸にって、一体? 疑問はきえないまま、いいからと馬車に乗ることに。あそこには特に海につながっていないよね。
結局楽し気に笑っているだけで、詳しいことは言ってくれないまま馬車は進んでいく。かなり懐かしいこの場所。本当にあれ以降行くことなかったもの。そう言えば、今日は白い服じゃないけれどいいのかな?
中に入っていくと、前と同じように女性が迎え入れてくれる。そしてそのまま奥に進み、扉の中、あの不思議な空間にたどり着いた。ああ、ここは本当に変わっていない。この神秘的な場所は変わらずにここにあったのだ。
「おや、珍しいお客方ですね」
「急にすまない。
奥の部屋に入っても?」
モノローア殿下の言葉に驚いた顔をする『守り人』。だが、すぐに一礼すると、あの時は入らなかった扉へと案内してくれる。ここは一体?
「ご無事を祈っております」
「ありがとう」
そして、去っていく『守り人』。僕一人だけ全くこの状況についていけていないみたいだ。しかも、無事を祈るってなんだろうか。
「この空間は、いろんなところにつながっているんです。
その事実は知っていても、その仕組みを動かすことは我々にはできませんが」
「仕組み、ですか?」
はい、と言って示したのは不思議な文様が刻まれた扉。ああ、この文様見覚えがある。村のはずれにあった、決して入ってはいけないと言われていたあそこにあったもの。僕は一度だけ特別に、と言って入らせてもらったところに。
なるほど、これを使って行き来していたのか。と、わかったのはいいけれど、使い方はわからないよ?
「あの、これ一体どうやって動かすのですか?」
「えーっと、確か……」
扉の前をうろうろとしているモノローア殿下。もしかしてわからない? バレティエラ殿下は!?
「あまりちゃんと聞いたことはないので、確信はないんですが。
ドアノブを握って、この文様全体に力をいきわたらせる、とかなんとか」
「ドアノブ、ですか?
こうですかね」
ひとまずやってみるか、とドアノブを握ってみる。すると、扉が力を求めていたかのように、ずるずると魔力が引き出されていく。これ、あの聖樹みたいだ……。どこもかしこも、魔力が足りていない。
「あ、アラミレーテ殿!
リンキュ王国を思い浮かべてください!」
「え!?
いや、リンキュ王国がわからないのですが!?」
「少々失礼いたします」
そういうと、僕の手にモノローア殿下が手を重ねる。
「アラミレーテ殿は何も考えないで」
何も考えない。無……。
少しすると、扉がひときわ光る。そして徐々にその光は収まっていった。
「成功、したのか?」
成功したかはわからない。でも、何となくドアノブをひねる。ガチャリ、と音を立てて開いた扉の先、あまり景色は変わらない? でも、この扉はもともと『守り人』のところにあったものだ。ならば、繋がったとしてもその先はまた別の国の『守り人』のところ?
「行ってみましょう。
すぐに閉じてしまう」
おお、すごい。なんの迷いもなく進んでいった。バレティエラ殿下も続いて扉をくぐったのを確認すると、自分も扉をくぐってドアノブから手を放す。すると、すぐに扉はしまった。そのあとは、開けようとしても開かなくなってしまった。
バレティエラ殿下に続いて、とりあえず進んでいく。そして現れた扉を開くと、そこに広がっていたのはアルフェスラン王国と同じ神秘的な光景。でも、違うところが一つある。
「ああ、ああ……。
あの扉が使われたのは一体いつぶりでしょうか。
まさか、この目でそれを見ることが叶うとは……」
泣き崩れたこの男性。恐らく、『守り人』だよね? 本当に、リンキュ王国に来れたのか?
「成功、したのか……。
アラミレーテ殿、すぐに王城へ!」
「え、あ、はい」
いまだ頭はついていけていないけれど、とりあえずついていく。その先。今度は全く異なる景色が広がっていた。景色だけじゃない、空気も違うし、天候もおかしい。どうしてここは晴れているのに、少し先では雷鳴がとどろいているの?
「ここは……?」
「ここが、リンキュ王国です」
リンキュ、王国。ここが……。呆然としてしまう僕の手をモノローア殿下が引く。そして、そのまま王城に向かうことになった。
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