ワタシだけを愛して…を卒業します

彼⑤

今日はお休み

　
「今日はちゃんと休めよ！！！」



仕事、探さなきゃ
1円でも多く、稼がなきゃ
1日でも早く、1人で生きていけるように
休んでるヒマなんて、
ないんだけど……？




「今日は、休むんだぞ！
お金なんて俺がいくらでも稼いできてやるから、気にすんな！」




あなたくらいになれば、
そりゃそうでしょう。
もはや"お金"はいらない
断っても断りきれないほどに
わんさか、お金の方からやって来るでしょう。
《時は金なり》
とはよく言ったもんよ。
分単位のスケジュールを今日も刻み、
自分を律し、極限まで追い込まれていようが、その内面は一雫も垣間見させず、
最高の仕上がりを当たり前かのように皆に提供するのでしょう。




　
なんか、私も、しなきゃ
そうじゃなきゃ
生きてる意味ないって
なんか、なんかしないと、
生きてて良いって思えないんだって！！！


　

　
「化粧すんなよ！
お前がキレイより、お前が幸せな方が俺にはよっぽど大切なんだ。」



「…………。」



どっからこんなキザなセリフが
しゃあしゃあと出て来るんだろう…
言われたことより
この言葉がどこからやって来たかの方が気になる……



あまりに現実味のない言葉に
やはり嬉しいよりも
"無"になってしまう。



あぁ、ダメダメ
「ワタシハカワイイ
ワタシハカワイイ
ワタシカワイイ………」



そう、本音は今日は化粧もしたくないくらい身体が怠い。
でも早退する息子を迎えに行かないとダメだから。


少しでも"キレイ"なお母さんに見られたいから。
元気振り絞ってって言うくらい怠いけど、化粧しようと思って、、、




何でもお見通しか………



顔色悪すぎてオバサンがオバアサンになりそうだけど、もういっか。



休みます……ね。



「本当に見たら、お化けみたいで逃げてくかもよ？」



「ババアの顔なんざ、何度でも見たことあるわ！とにかく休めよ！
俺のために！！
お前のことが心配でたまらないんだ。
仕事にろくに集中出来ねぇんだからな！！」
　


荒々しい口調で
それでも
こんな面倒なワタシを
真っ直ぐに
受け止めてくれた。



また涙が流れてきた。。。



「あぁ、私がちゃんとしなきゃ。
私がしっかりなきゃ。
余計な迷惑をかけてしまう。。。」