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見えない形
予兆
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風波さんは、先生とは住んでいなくて、僕との事件があった頃には既に離婚していたらしい。テレビで自分の元父親が捕まったと分かって。とても怖かったそうだ。高校で僕を見つけた時はなぜか分からないけど謝りたくて仕方がなかったらしい。風波さんは何も悪くないのに。一体、先生が僕にしたことのどこまでを知っていたのかは分からなかったが、僕はこの話題を誰にも話した事が無かったので風波さんには大方を話してしまった。
それからは屋上前の踊り場でよく話すようになった。まるでカウンセリングのような、そんな感じで…。
「あれ、早見?」
私はいつもならいるはずの踊り場に誰もいなかったので、少し不安になったが、踊り場で座って待つ事にした。
急に話しかけてきた隣ミカド。あいつは一体何なんだろう。
いやもしかしたら。
この違和感の正体を、なんとなく分かっていても、可能性として入れたくない。
早見の事になるといろんな事を考えてしまう。
もともと私は父親が同性愛者だと知っていた。それでも母と結婚して私を産んだのは周りと同じ事をして同化しようとしていたのかもしれない。離婚したのはそれが原因らしい。
私が当時小学6年生の頃。隣ミカドと同じクラスになった事がある。彼は人を殴ったり窓を割ったり、誰かが傷つくようなことばかりをやっていた。私の両親が離婚したときも、理由をしつこく聞いてきたのが隣だった。
あいつが中学の時に早見と同じ学校だったのは知ってたけど、まさか高校まで同じなんて…。
いや、今は考えても仕方ない。もし私の言葉でお父さんが血迷ったんなら、私は早見を助ける責任がある。
だから私は、少なくとも早見の心の傷を癒すまではいかなくても、愚痴を聞くくらいはしたくて。もし父親のような奴がまた早見を襲うなら、止めたいと思ってしまう。
しかし…遅いな。
私は階段を降りて早見の教室に向かった。
それからは屋上前の踊り場でよく話すようになった。まるでカウンセリングのような、そんな感じで…。
「あれ、早見?」
私はいつもならいるはずの踊り場に誰もいなかったので、少し不安になったが、踊り場で座って待つ事にした。
急に話しかけてきた隣ミカド。あいつは一体何なんだろう。
いやもしかしたら。
この違和感の正体を、なんとなく分かっていても、可能性として入れたくない。
早見の事になるといろんな事を考えてしまう。
もともと私は父親が同性愛者だと知っていた。それでも母と結婚して私を産んだのは周りと同じ事をして同化しようとしていたのかもしれない。離婚したのはそれが原因らしい。
私が当時小学6年生の頃。隣ミカドと同じクラスになった事がある。彼は人を殴ったり窓を割ったり、誰かが傷つくようなことばかりをやっていた。私の両親が離婚したときも、理由をしつこく聞いてきたのが隣だった。
あいつが中学の時に早見と同じ学校だったのは知ってたけど、まさか高校まで同じなんて…。
いや、今は考えても仕方ない。もし私の言葉でお父さんが血迷ったんなら、私は早見を助ける責任がある。
だから私は、少なくとも早見の心の傷を癒すまではいかなくても、愚痴を聞くくらいはしたくて。もし父親のような奴がまた早見を襲うなら、止めたいと思ってしまう。
しかし…遅いな。
私は階段を降りて早見の教室に向かった。
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