僕は運命から逃れたい

先々ノアル

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凍てつく心【脱出編】

目論見

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「ほら、早く飲め。」



ヤンが近くの薬屋で買ってきたαの抑制剤を、リラへ渡す。


それにしても僕は、自分が発情期になるのに気づけない体質なのかな…。


勢いよく水を飲むリラを、ヤンはぶっきらぼうに見つめる。
ヤンは平気みたいだった。


「…ふぅ。助かったよ。まさかとは思ったけど、ユーリくんがΩだとはねぇ~!…すごいフェロモンが充満してたけど、てっきり2人ともαだと思ってたからさ。あれでも結構我慢してたんだよ?ほんっと、故意に勃たせるなんて、俺の事狙ってんの?」 


リラはしたり顔でからかうように言う。


「ばっ、違う!そんな訳ないだろ…!僕はそんな変態じゃない!」


煽られるがままに動揺してしまったので、
パタパタを顔を仰ぐ。

さっきまでリラは僕に欲情していた。

そしてヤンがそれに気づくと、咄嗟に「お前そこで待っていろ。!薬買ってくるから!」と、僕を抱えリラから離れたのだ。

今は収まったとはいえ、人が自慰しているところを見るのは、やっぱりドキドキする。

「なにその反応~~!…図星?」


さっき僕が分かりやすく照れてしまったせいか、リラがしつこく迫ってくる。
  

「それよりさぁ~。ユーリくんのフェロモンちょっと強すぎない…?よくヤンは耐えられたよね~。俺なんか2人が行ってる間3回くらい抜いちゃったよ~」

「…うえ、はぁ、知らないよ。僕、自分じゃ分かんないし…」



くそ…この話題は恥ずかしい。

すると、イライラしてるヤンがリラに釘をさした。

「ユーリテスト様がヒート状態だからって、お前まで発情するな。鍛え方がなってないんだよアホ。後、今後一切ユーリテスト様を気持ち悪い目で見るんじゃないぞ。分かったか?」


リラは小さく舌打ちして、「へいへい」と答える。

ヤンとは小さい頃からずっと一緒にいたけど、いつから僕の事好きでいてくれたんだろ。

いや、好きとは言われてないか。

護衛として守ってくれてるだけ。昨日も僕のフェロモンのせいで、ヤンの意思じゃない。のかも知れない…。




そんな事を考えていると、リラが突然立ち止まった。

神妙な顔をして、耳を澄ましている。


どうしたんだ?








「…やっぱり。



         後ろからなんか来てる!!!」






「…ええ!?」




リラは地獄耳で、かなり視力も良い。

僕とヤンは後ろを振り向いたが何も見えなかった。


「ホントだよ、馬が走る音…しかもかなり訓練されてる。もしかしたら、ガルドザルクがまたユーリくんを狙いに来たのかもしれない!!」




___嘘だろ!




もう居場所が知られたのか!


すると素早くヤンがリラと僕の手を引く。


「今モンドールの東門へ向かったら追いつかれる!…ここはあの森林を通ってやり過ごしましょう!」



「あ、ああ!行こう!」 




僕は、森林へ向かって走りながら、後ろを振り返る。
 






あれ、なんでだろう…。





…リザルトが、来てるような

そんな気がした。

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