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しおりを挟む〝先輩をイベントに巻き込めば、話ができる〟
その企みは思惑通り大成功。
「グレイ先輩も、今日放課後一緒にカフェ行きましょうね」
「花壇いじりしたことないです、教えてくれませんか?」
「アレックと勉強なんて緊張…先輩も参加してください」
「夜の校舎に忍び込むとか、オバケ出たらどうするんですか!付いてきてくれないと嫌です、じゃないと絶対行きません」
「オレリアの猫がいなくなったそうで、一緒に探してくださいっ」
「はぁ!? 2人っきりでプール掃除とか無理無理!何時間かかると思ってんですか!手伝ってください先輩~」
繰り広げられる全てのイベントに、とにかく先輩を巻き込んで巻き込んで巻き込みまくって。
思いきり甘えてアシストしてもらって、会話して行動を共にして。
攻略対象者たちは頭に「?」を浮かべてるけど、「まぁ主人公と一緒だしいっか」的な感じでストーリー通りの動きをしてくれる。
おかげでイベントを消化してもどんどん次が発生し、順風満帆。
なんだか学園全体も活気づいたような感覚だ。
(主人公がちゃんと動いてるしなぁ、そりゃそうか)
やっと物語がスタートしたようなもんだよな。今まで本当にほったらかしだったし…正にアウト オブ 眼中!って感じで。いや実質今もだけど。
しっかし僕の場回し優秀すぎない? 攻略対象との会話をさりげなく先輩にふって、みんなで話ができるようにしてさ。
おかげでグレイ先輩のこと、もっと知れた。
好きな食べ物・好きなこと・趣味・家族構成・幼い頃どんな習い事してたか・なんの教科が得意でなにが苦手なのか・etc……
「あくまで攻略対象者がメイン。自分は脇役」という感じで奥ゆかしく、でも聞いたらはにかみながら教えてくれる姿に 心臓がキューっとなって仕方がない。
嬉しい。もっといっぱい話をしたい。
もっともっとグレイ先輩のことを知りたい。もっと、もっと。
(やばいな、僕)
自分で言うのもなんだけど、先輩のことすっごい大好きじゃん。
「ーーっ、」
先輩がいい。
困りながらも僕のお願い聞いてくれる先輩が。
この世界の誰より優しい先輩が。
さりげなくフォローしてくれて、助けてくれて、カッコよくてヒーローみたいな先輩が。
先輩とだけ、恋愛していたい
(……ん、だけど!!)
「あ~ライト見つけた~!」
渡り廊下の向こうに見えたのは、攻略対象Eの姿。
あれーこの時間なんかイベントあったっけ? バスケットボールの回収? それはこの後攻略対象Dと体育館でするやつ。え、じゃあなんだ? ここ渡り廊下か、もしかして紙飛行機飛ばしたから取ってこいっていうの? それってこいつとだったっけ? えぇっと…確か……
「ネクタイ解けたから結んで~~」
(あぁーそれかーー!)
僕の馬鹿。
先輩と距離を縮めたいがために、なりふり構わずイベント進めちゃって大混乱。
攻略対象5人もいるって言ったじゃん。せめて2人とかに絞ればよかった……
先輩目当てとはいえ、イベントは順調。
イコール攻略も順調。
僕は、5人共を一気に攻略しているようなもので。
(頭…パンクしそ……)
好感度上がっていつも追いかけ回されるし。
ナンテコッタな状況。諸刃の剣って正にこのこと?
ってか「ライト」って名前ほんと恥ずかしい。いいの浮かばなかったときデフォで入ってるやつだよ、初期設定じゃん。前の世界だったらかなりのキラキラネームだって。
「ねぇ~ライトってば聞いてる~?」
「あ、ぁ、えっと……」
ぐいーっと一気に距離を詰めてくるE。
いかん、輝かしいほど整ったお顔が真ん前。しかも胸元がはだけてる。
えぇっと、とりあえず、とりあえず
「ぼ、僕結び方わかんないんで先輩に聞いてきますー!」
「えぇ? 自分のちゃんと結べてるじゃん、ちょっと待ってよ~」
ぐうぅ!正論すぎて胃が痛い!
それでも解けてるネクタイを引ったくり、ダッシュ。
グレイ先輩を巻き込まないと意地でもイベント進めないぞ!!
断固として譲れない信念。
僕は、先輩のため動いてる。それだけ。
それだけ だからーー
「ーーっ、」
ツキリと痛む、胸の内。
攻略対象への申し訳なさと、グレイ先輩への漠然とした不安と。
全部が入り混じってごっちゃになってる感情に、今は精一杯蓋をして
ただ先輩へ向かって、駆け出した。
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