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花町 シュガー

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(う、そだ)




だってトシさんはスポーツ推薦で遠くの高校に行ったんじゃ。



何で、僕と同じ制服を着てるの……?




相変わらず仲よさそうにワーワー言って前を歩いてる3人を、ただ茫然と見てるしか無くて。



そんな時、トシさんの後ろ姿が右手でがしがしと頭をかいて。



(ーーーーーーーーーっ!!)



気がついたら、僕は走ってトシさんのブレザーの後ろを掴んでしまっていた。



(……っぁ、)

やってしまった!!!!


でももう遅くて。


「ん?」

後ろを向いたトシさん。


その目が僕を見つけて、目があって。



………声が、出なくて。




「なになに?こいつトシの知り合い??」

「まじかよ俺ら知らねぇんだけど」


誰誰?とトシさんに訊いてるAさんBさん。



それにハッとした。


トシさんだって僕のこと知ってるはずない。

赤の他人にこんなことされるとか迷惑だ。


(謝らなくちゃ……!!)


「ぁ、ぁあの!」

「あーお前もこの高校だったのか!!」






(……っぇ?)




僕を見るトシさんの顔が、嬉しそうに笑った。


「俺自主練やっててお前らと一緒に登校してなかったじゃん朝。あの時間帯の電車でさ、こいついっつも逆のホームにいたの。お前の学校の制服みんな一緒だったから同じ学年って気づかなかったわ!」


まじか!同じ学校じゃん!!



そんなことを言ってくれて。



(僕にっ……気づいてたの…?)




嘘だ、こんな奇跡、起こるわけ。


(っ!そうだスポーツ推薦!!どうなってるの!?)



「ぁ、ぁあの!」

「ん?」

「サッカー、サッカーは!? 何でこの高校なの!?」


「は、お前知らねぇの!?!?」


僕も結構大きな声出したはずなのに、もっと大きな声で返されてしまった。



「この高校サッカーすっげぇ強いの!毎年全国行ってんだぜ!パンフレットとかホームページとかに載ってただろ!!」


そんな……

僕は帰宅部だったから部活なんて興味も無くて、その欄を全く見てなかった……


「こいつスポーツ推薦なんだぜ?俺らもそれで行きたかったのにこいつしか取れなくてさ、いやまじすげーよお前」

「だからおま、それやめろって!」

Aさんに頭をわしゃわしゃされて必死に逃げるトシさん。




そんなやり取りを見てたら、だんだんと実感が湧いてきて。



「ってか学校やばくね? 入学式何時からだっけ」


歩き始める3人。



「ほらお前も行くぞ?……って、何で泣きそうな顔してんだよお前。大丈夫??」


どうしたのって顔で僕を見てくるトシさん。


「……っ、ぅうん、なんでも、ない!」

「いやいやいやいや」

その顔は何でもあるって。

そんなBさんのツッコミに、思わず笑ってしまう。



僕が、この3人と一緒に4人で登校してる。

この輪の中に、入ってる。


そんな、あり得ない奇跡が起こって。
でもそれは奇跡じゃくて。


「ぉーい!早く行こーぜ!!」

少し先のところでAさんが僕らを呼んでる。




「おー!

あ、ってかさ、お前名前何て言うの?」


トシさんの瞳に、僕が映ってる。

こんなに近くにいる。


「ぼ、僕の名前はっーーーーー」




僕の片思いは、また動き始めたーーーー。






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