1 / 50
第1章 大罪人と救世主
第1話
しおりを挟む
地面が跳ねた。いや、違う。跳ねたのは僕だ。バウンドして、勢いでもう一度叩きつけられるところだったのを、足を踏ん張って何とか立った。
「どこだ? ここ」
緑に囲まれてる。足元には、さらさらと流れる小川。僕の右足は木製の橋の上。
「えっと……」
人工物は、この橋くらいしか見当たらない。僕の家も道路も、街灯も電線も、車も自転車も、何も。父さんと母さんの姿もない。呆然としていると、地響きが聞こえてきた。橋が揺れる。
「うわっ……ここも地震かっ」
立っていられないほどの揺れ。目の錯覚か、景色が歪んでパチパチと火花が飛んでいるような……。バキッと音がしたと思ったら、右足が川に突っ込んでいた。流れが速く、見た目より深い。バランスを崩して左足も落ちた。冷たいっ。腰までびしょ濡れだ。足元が安定しない。それだけならまだいい。目の前の景色が、森が、歪むどころの話じゃない、うねってる。絵具を手当たり次第に流したみたいに、形が識別できなくて色だけになっていく。
「何なんだよっ」
「こっちへ来いっ」
「わっ」
ぐいっと腕を引かれて、水の中から引っ張り上げられた。勢い余ってまた地面に激突するかと思いきや、誰かの体の上に倒れ込んだ。その拍子に、唇が何かに触れた。柔らかい。揺れがおさまり、ぐちゃぐちゃだった景色が元に戻っていく。
「あ……」
僕が乗っかっているのは、長い黒髪の男性。服は黒と青を基調としているけど、暗さや冷たさはない。荘厳な感じ。地面に広がってるのはマントかな? どこか陰のある美形。黒い瞳は、大きく見開かれている。
っていうか、この至近距離。まさか今触れたのって、唇? 僕のファーストキス!?
「あ、あの、すみませんっ。ありがとうございました。おかげで……うわっ」
くるっと体を反転させられて、彼が僕を見下ろした。信じられないっていう表情。信じられないのはこっちなんですけど。文句のひとつも言ってやりたいのに、彼の表情があまりにも真剣で言葉が出ない。カーテンみたいに髪が垂れてきて、世界に二人しかいないような感覚に襲われる。トクンと胸が鳴った。その意味を考える間もなく、彼の顔がどんどん迫ってくる。
「じっとしていてくれ……頼む」
返事をする隙を与えず、重なる唇。さっきのは無視するにしても、今度こそ僕のファーストキスは奪われた。甘い疼きが全身に広がっていく。うっとりしていると、舌が唇をなぞった。どうすればいいんだ、これ。戸惑って半開きになったところへ、熱い舌が侵入。歯に当たって気持ちいい……。
いや待て、この状況で気持ちいいとか、何を呑気なこと言ってるんだ。
でも……この人のキス、好きだ。比較対象なんてないけど、きっとすごくうまいんだと思う。投げ出した両手はいつの間にか恋人繋ぎにされて、息継ぎのたびにキスが長く、深くなっていく。舌先が触れ合って、ビビッと電流が走った。何、今の……もう一回……。
「いい子だ」
舌が絡み合い、水音が響く。
「ンッ……はぁ……」
頭がボーっとしてくる。気のせいかな、少し前まで聞こえなかった鳥の声や、風が草の上を渡っていく音が聞こえる。花の香りも漂ってくるみたいだ。
「信じられんが……事実、だな」
やっと唇が解放された。彼は心から安堵しているようだ。僕に説明する気はないらしい。その証拠に、いきなり抱き上げられた。
「へっ?」
二メートルはありそうな彼から見れば、百七十ちょっとの僕は小柄かもしれないけど、お姫様抱っこをされるのはいくら何でも想定外だ。何ならキスより。事態を飲み込めないまま、彼はサクサク歩いていく。
「名は何という」
「希島礼生ですけど」
「レオか。よい名だ。俺はラトゥリオという」
「はぁ」
「どこの者だ。いや……どの世界から来た」
遠慮がちに掴まっていた僕は、その言葉に飛び上がりそうになった。
「おい、暴れるな。一刻も早く王宮へ行かねばならん」
「世界って! 僕、別の世界に来ちゃったんですか!?」
妹の沙良が最近ハマって騒いでた異世界転移ってやつか? 何で僕の身にそんなことが。
「理由は分からん。が、お前がこの世界の者ではないことは明白だ」
「何でそう言い切れるんですか」
「これまでは明らかに、ここには存在していなかった」
「頭がパンクしそうです……」
僕は何で、無理やり降りようとしないんだろう。何で、敬語を使ってるんだろう。ちらっとときめいたけど、この人のこと何も知らないのに。
「あの、王宮って?」
「あれだ。塔が見えるだろう」
「まだ遠い……」
「大したことはない」
伸びた枝や蔓に僕が引っ掛からないように、気を付けて歩いてくれている。この世でたったひとつの宝物みたいに抱えられて、勘違いしそうになる。いやいや、勘違いって何だ。僕がおとなしくしてるのは、異世界に来たならまずは自分がどういう場所にいるのかを見定めるのが重要だからであって、王宮っていうのはその土地の中心にあるんだろうから……あれ?
「どうした」
「いきなり行って大丈夫なんですか。門前払い食らったりしませんか」
「実におもしろい質問だ。ふむ。どうなるか、このまま進んでみるとしようか」
「そんないい加減な」
王宮に入れなくて、一夜の宿にも困る羽目に陥ったらどうしよう。そしたらこの人の家に泊めてもらえばいいか。貞操の危機の予感はあるけど。
彼は冗談めかした口調ではあるものの、歩く速度は緩めない。何かを急いでいることは確かなようだ。僕がそんなに必要なんだろうか。貢ぎ物……あり得る。平凡な大学生で、十九歳になったばかりの僕に、多くを望む人がいるとは思えない。ってことはこのままだと殺される!?
「ん?」
優しく向けられた目は、自分が大変なんだろうに僕を怖がらせないよう気にしてくれている。
「あなた、悪い人じゃない……ですよね」
「どうかな。今のところ、類のない大罪人だ」
「えっ!?」
「それを覆すことができるかもしれん。そうしなければならない」
「僕を生贄にするとかですか!?」
「何を言う。誰も死なせはしない……死なせてなるものか」
あ、そうなんだ。ホッとしたけど、気になる。男の僕から見ても完璧にかっこいいのに、この人は何を背負っているんだろう。
びしょ濡れで気持ちが悪かった服と靴は、あらかた乾いてきた。空気がそれほど乾燥しているとも思えないのに、謎だ。
「着いたぞ」
「どこだ? ここ」
緑に囲まれてる。足元には、さらさらと流れる小川。僕の右足は木製の橋の上。
「えっと……」
人工物は、この橋くらいしか見当たらない。僕の家も道路も、街灯も電線も、車も自転車も、何も。父さんと母さんの姿もない。呆然としていると、地響きが聞こえてきた。橋が揺れる。
「うわっ……ここも地震かっ」
立っていられないほどの揺れ。目の錯覚か、景色が歪んでパチパチと火花が飛んでいるような……。バキッと音がしたと思ったら、右足が川に突っ込んでいた。流れが速く、見た目より深い。バランスを崩して左足も落ちた。冷たいっ。腰までびしょ濡れだ。足元が安定しない。それだけならまだいい。目の前の景色が、森が、歪むどころの話じゃない、うねってる。絵具を手当たり次第に流したみたいに、形が識別できなくて色だけになっていく。
「何なんだよっ」
「こっちへ来いっ」
「わっ」
ぐいっと腕を引かれて、水の中から引っ張り上げられた。勢い余ってまた地面に激突するかと思いきや、誰かの体の上に倒れ込んだ。その拍子に、唇が何かに触れた。柔らかい。揺れがおさまり、ぐちゃぐちゃだった景色が元に戻っていく。
「あ……」
僕が乗っかっているのは、長い黒髪の男性。服は黒と青を基調としているけど、暗さや冷たさはない。荘厳な感じ。地面に広がってるのはマントかな? どこか陰のある美形。黒い瞳は、大きく見開かれている。
っていうか、この至近距離。まさか今触れたのって、唇? 僕のファーストキス!?
「あ、あの、すみませんっ。ありがとうございました。おかげで……うわっ」
くるっと体を反転させられて、彼が僕を見下ろした。信じられないっていう表情。信じられないのはこっちなんですけど。文句のひとつも言ってやりたいのに、彼の表情があまりにも真剣で言葉が出ない。カーテンみたいに髪が垂れてきて、世界に二人しかいないような感覚に襲われる。トクンと胸が鳴った。その意味を考える間もなく、彼の顔がどんどん迫ってくる。
「じっとしていてくれ……頼む」
返事をする隙を与えず、重なる唇。さっきのは無視するにしても、今度こそ僕のファーストキスは奪われた。甘い疼きが全身に広がっていく。うっとりしていると、舌が唇をなぞった。どうすればいいんだ、これ。戸惑って半開きになったところへ、熱い舌が侵入。歯に当たって気持ちいい……。
いや待て、この状況で気持ちいいとか、何を呑気なこと言ってるんだ。
でも……この人のキス、好きだ。比較対象なんてないけど、きっとすごくうまいんだと思う。投げ出した両手はいつの間にか恋人繋ぎにされて、息継ぎのたびにキスが長く、深くなっていく。舌先が触れ合って、ビビッと電流が走った。何、今の……もう一回……。
「いい子だ」
舌が絡み合い、水音が響く。
「ンッ……はぁ……」
頭がボーっとしてくる。気のせいかな、少し前まで聞こえなかった鳥の声や、風が草の上を渡っていく音が聞こえる。花の香りも漂ってくるみたいだ。
「信じられんが……事実、だな」
やっと唇が解放された。彼は心から安堵しているようだ。僕に説明する気はないらしい。その証拠に、いきなり抱き上げられた。
「へっ?」
二メートルはありそうな彼から見れば、百七十ちょっとの僕は小柄かもしれないけど、お姫様抱っこをされるのはいくら何でも想定外だ。何ならキスより。事態を飲み込めないまま、彼はサクサク歩いていく。
「名は何という」
「希島礼生ですけど」
「レオか。よい名だ。俺はラトゥリオという」
「はぁ」
「どこの者だ。いや……どの世界から来た」
遠慮がちに掴まっていた僕は、その言葉に飛び上がりそうになった。
「おい、暴れるな。一刻も早く王宮へ行かねばならん」
「世界って! 僕、別の世界に来ちゃったんですか!?」
妹の沙良が最近ハマって騒いでた異世界転移ってやつか? 何で僕の身にそんなことが。
「理由は分からん。が、お前がこの世界の者ではないことは明白だ」
「何でそう言い切れるんですか」
「これまでは明らかに、ここには存在していなかった」
「頭がパンクしそうです……」
僕は何で、無理やり降りようとしないんだろう。何で、敬語を使ってるんだろう。ちらっとときめいたけど、この人のこと何も知らないのに。
「あの、王宮って?」
「あれだ。塔が見えるだろう」
「まだ遠い……」
「大したことはない」
伸びた枝や蔓に僕が引っ掛からないように、気を付けて歩いてくれている。この世でたったひとつの宝物みたいに抱えられて、勘違いしそうになる。いやいや、勘違いって何だ。僕がおとなしくしてるのは、異世界に来たならまずは自分がどういう場所にいるのかを見定めるのが重要だからであって、王宮っていうのはその土地の中心にあるんだろうから……あれ?
「どうした」
「いきなり行って大丈夫なんですか。門前払い食らったりしませんか」
「実におもしろい質問だ。ふむ。どうなるか、このまま進んでみるとしようか」
「そんないい加減な」
王宮に入れなくて、一夜の宿にも困る羽目に陥ったらどうしよう。そしたらこの人の家に泊めてもらえばいいか。貞操の危機の予感はあるけど。
彼は冗談めかした口調ではあるものの、歩く速度は緩めない。何かを急いでいることは確かなようだ。僕がそんなに必要なんだろうか。貢ぎ物……あり得る。平凡な大学生で、十九歳になったばかりの僕に、多くを望む人がいるとは思えない。ってことはこのままだと殺される!?
「ん?」
優しく向けられた目は、自分が大変なんだろうに僕を怖がらせないよう気にしてくれている。
「あなた、悪い人じゃない……ですよね」
「どうかな。今のところ、類のない大罪人だ」
「えっ!?」
「それを覆すことができるかもしれん。そうしなければならない」
「僕を生贄にするとかですか!?」
「何を言う。誰も死なせはしない……死なせてなるものか」
あ、そうなんだ。ホッとしたけど、気になる。男の僕から見ても完璧にかっこいいのに、この人は何を背負っているんだろう。
びしょ濡れで気持ちが悪かった服と靴は、あらかた乾いてきた。空気がそれほど乾燥しているとも思えないのに、謎だ。
「着いたぞ」
80
あなたにおすすめの小説
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
【完結】冷酷騎士団長を助けたら口移しでしか薬を飲まなくなりました
ざっしゅ
BL
異世界に転移してから一年、透(トオル)は、ゲームの知識を活かし、薬師としてのんびり暮らしていた。ある日、突然現れた洞窟を覗いてみると、そこにいたのは冷酷と噂される騎士団長・グレイド。毒に侵された彼を透は助けたが、その毒は、キスをしたり体を重ねないと完全に解毒できないらしい。
タイトルに※印がついている話はR描写が含まれています。
異世界で聖男と呼ばれる僕、助けた小さな君は宰相になっていた
k-ing /きんぐ★商業5作品
BL
病院に勤めている橘湊は夜勤明けに家へ帰ると、傷ついた少年が玄関で倒れていた。
言葉も話せず、身寄りもわからない少年を一時的に保護することにした。
小さく甘えん坊な少年との穏やかな日々は、湊にとってかけがえのない時間となる。
しかし、ある日突然、少年は「ありがとう」とだけ告げて異世界へ帰ってしまう。
湊の生活は以前のような日に戻った。
一カ月後に少年は再び湊の前に現れた。
ただ、明らかに成長スピードが早い。
どうやら違う世界から来ているようで、時間軸が異なっているらしい。
弟のように可愛がっていたのに、急に成長する少年に戸惑う湊。
お互いに少しずつ気持ちに気づいた途端、少年は遊びに来なくなってしまう。
あの時、気持ちだけでも伝えれば良かった。
後悔した湊は彼が口ずさむ不思議な呪文を口にする。
気づけば少年の住む異世界に来ていた。
二つの世界を越えた、純情な淡い両片思いの恋物語。
序盤は幼い宰相との現実世界での物語、その後異世界への物語と話は続いていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる