元カレに囲まれて

一条咲穂(花宮守から改名)

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第1章 新生活

新生活(24)

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 コーヒーの香りと、卵が焼ける音。月曜日の朝は洋食。

「おはよ」
「おはよ。ちゃんと寝たか?」
「うん」
 見ちゃいけない夢を見ちゃったけど……いいよね、夢だもん。

 あの頃のように、台所で背中に抱き着いたり、朝からベッドに戻りたくなるキスをしたりはしない。それでも、私の目の前で笑ってくれてる。目玉焼きの最後のひとかけらを飲み込んだ時、私は世界で一番幸せな娘になっていた。

「先生」
「んー?」
「私、すごいことに気が付いちゃった」
「お? 迷宮入りの難事件のトリックでも発見したか」
「それは、見つかったらほんとにすごいけど。あのね、私、今『天城恭一郎』を独り占めしてるんだよ。すごいよね!?」

「朝からやけに機嫌がいいと思ったら」
 先生はコーヒーのカップを置き、まっすぐに私を見た。
「そう思ってくれるなら、よかった」
 心の底からホッとした声。気にしてくれてたんだ。あの時、困らせてごめんね。 

 見つめ合い、過去と現在が繋がっていく。出勤のために家を出る時間が迫ってくる。
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