元カレに囲まれて

一条咲穂(花宮守から改名)

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第2章 元カレ、また元カレ

第18話

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「俺、休学することにしたよ」
 真がそう言い出したのは、何も変わったことの起こらなかった、天気もニュースもこの上なく穏やかだった日の夜。全身とろとろにされて、行為のあとも布団の中でぼんやりしていた。耳に飛び込んできた言葉に、意識が急速に覚醒した。
「どこかに行くの?」
 自分探し、とかかな?
 彼は私をぎゅっと抱きしめた。
「いろんなとこ、見てくる。日本も、海の向こうも。うまく言えないし、お前にも無責任な話なんだけど、何かを見つけないとって思ってさ。それは、今行かないと見つからない気がするんだ」
「ん……その感じ、分かる」
 説明できない、自分が正しいなんて言い切れない。ただ、今、そうせずにはいられない。それだけが道しるべ。私には、真を止めることはできなかった。
「あのね」
「ん?」
「止めはしないけど、寂しいな。好きだから」
 正直な気持ちを、我慢せずに伝えて見送りたい。
「分かってる。ごめんな」
「……私たちは?」
「俺はお前をつかまえていたい。だけど、何年かかるか分からない。その間、宙ぶらりんにさせとくわけにはいかないから……。俺の未来探しが終わった時、また会えたら」
「未来探し、か。うん……」
 真は将来が不安なんじゃなくて、やらなければならないことを探しに行く。迷うんじゃなくて、スタートを切ろうとしている。彼の辿り着く未来の中に、私が混ざれるのなら。もしかしたら、その時は。
「真。約束」
 私は小指を立てた。彼も同じようにした。絡めて唱えるのは、再会の約束でも、いつかまた恋人に戻る約束でもない。
「諦めないで。絶対に」
 あなたの未来を、つかまえて。
「ああ。約束する」
 微笑み合って、指が離れていく。
 二人目の彼との、夏が終わった。
 
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