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25 ありふれた日常からの「あ」
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角を曲がったら。 おいしい焼菓子とお茶が待っている。
慧吾は勢いよく振りかえった。そこは玄関のドア。もういちど、今度はゆっくり振りかえる。見えてはいるが、理解ができない。
「家じゃん。三年……ぶり?」
懐かしいアパートの自分の部屋。何も変わっていない。ゆっくりと現実が染みこんでくる。
「う……うぅ……」
大声で叫びたかったが、アパートでは叫べない。かろうじて声を押しころし、玄関でへたり込んだ。
おそるおそる、胸のネームタグを握る。温かい。
「あったかい。レヴィン、あったかいよ」
まだ生きてる。まだ会える。慧吾の胸に希望の光が灯った。
「また泣かせちゃうのかな……」
彼女の泣き顔が思い浮かんだ。でも……彼女もまた待っていてくれるような気がする。
慧吾はゆるゆると立ちあがり、とにかく靴を脱いで部屋の真ん中にごろんと転がった。今は何も考えたくない。そのまま丸くなってじっとしていると、いつのまにか眠ってしまったようだ。
身体が痛くなって目が覚めた。クーラーが効いた部屋に何も掛けずに眠ってしまい、ちょっと喉が痛い。スマホを見ると朝の六時だ。
三年近く留守にしていたが、当然ながら何も変化はなかった。部屋も自分も。確か近所のコンビニで夕飯を買って帰ったところだったような気がする。玄関に目を向けるとコンビニの袋が落ちていた。
「あちゃあ。中は……冷麺だ。うーん、一晩放置したのって食べられるのかな? クーラー効いてるから平気? あれなんか臭い……? あっ! 違う!」
慌ててスマホを見なおすと、転移した日から一週間たっている。
「そうだった……」
食べ物を無駄にしてしまったのはショックだが、今回は極力人型になるのを避けたため、行っている時間にしては短いのはありがたい。
買い物の始末をしてから、シャワーを浴び、カップラーメンをすすってからもうひと眠りした。
八時ごろになって、慧吾はのっそり起きあがった。メールを一通送ってからごそごそ出かける支度をする。電車に揺られて午前中には実家についた。ピンポンと鳴らすと母親がドアを開けてくれた。
「母さん。ただいま」
「おかえりー。暑かったでしょ。アイスあるよ」
懐かしい母親の、変わらない朗らかな声だ。
(帰って来れたよ、母さんごめんな)
表面では何気ないふうを装いながら心のうちで謝る。
日本に戻ってくるたびに、家族に会いたくなって飛ぶようにして家に帰る。家族の存在、そして自分の存在の確認をしたくなる。
(家のニオイがする)
日本の、自分の家のニオイだ。
冷蔵庫を開けてアイスを取りだしながら、母親が訪ねた。
「学校どうね? 今日は晩ごはんも食べていくの? それとも何日か泊まる?」
「うーん、晩ごはん早めに食べて帰るわ。明日はゼミに行こうと思って」
「そう。何か食べたいものある?」
「カレー」
母親はぷっと噴きだした。
「言うと思った。お昼はそうめんだからねー」
「うん」
アイスを食べながら二階にあがって行く。弟の祐吾の部屋をノックしてみたがまだ寝ているのか返事がなかった。慧吾とは別の大学に入っていて、同じく夏休み中だ。
自分の部屋に入ってベッドに寝ころんでスマホをいじる。学校関係のグループチャットがたくさん入っていた。自分を心配してくれているメッセージもある。
「風邪ひいてたことにするか」
いつもの仮病を使うことにしてメッセージを送った。心配する返事がいくつか入り、罪悪感が湧く。お昼までそのままぼんやりとスマホを眺めて過ごした。
昼食に階下に降りると祐吾がリビングにいた。
「けいちゃん来てたの」
弟は子どものころ、母親が呼んでいたあだ名でいまだに呼んでくる。
「ただいま」
慧吾は祐吾の髪を手でなおしてやりながら挨拶をした。祐吾の手が乱暴に払いのけてくる。
「ふふ、元気だったか」
「ちょうどいい、ゲームしよ。大学って夏休みが長い!」
そうめんを食べてから二人でゲームをすることになった。慧吾もゲームはまあまあやるけれど、祐吾にはいつも負けてしまう。
夜になり、仕事に行っていた父親も帰宅して、家族そろっての団らんとなった。
「ああ……おいしい」
久しぶりのカレーだ。ずっと食べたかった。ルーをたくさん買って、収納に入れておくべきだろうか。あと、レシピ本。ネットがないから参考になりそうな本は入れていたのだが、料理の本は入れてなかった。食べ物にはあまりこだわりがない。しかしカレーは別だ。
(それより授業で必要なやつだよな。三年近く勉強できなかった。前期試験が終わってて良かったよ)
「学校はどうだ。就職先は見つかりそうか?」
父親の質問は現実的だ。就職のことは本当に頭が痛い。適当にお茶を濁して話題を無難なものに変えておいた。
食後少し休んでから実家をあとにした。たまに来るのは良いが、長くいるもんでもない。最初はよろこばれていても、だんだんにお小言が始まってしまう。
アパートに電車で帰るのをおっくうに感じた慧吾は、実家の玄関を出てから裏手に回り、そのままアパートの自室の玄関に転移した。すっかり転移に慣れきって堕落してしまった。
シャワーを浴びて、ゼミの準備をしてからスマホを手にベッドに入った。
(昨日みたいにすぐには眠れないな)
片手でネームタグを握りしめ、レヴィンの気配を感じてじっとしていると、不安な思いがずしんと胸にのしかかってくるようだ。
「大丈夫、大丈夫。レヴィン。また会える。ジルも待ってる」
声を出して魔法の呪文を唱えると、ようやく眠気がさしてきた。
次の日から慧吾は大学に通った。ゼミの仲間からは心配といたわりの言葉をかけてもらってうれしいやら申し訳ないやらである。
遅れを取り戻そうと、毎日通って早々にレポートを提出してしまった。
晴れやかな気持ちで家に帰ろうと歩いていたとき、向こうから知った顔がやってきた。
「慧吾!」
「涼介!」
高校も同じだった親友の新山涼介だ。夏休みだったからか、涼介は今回は慧吾の不在に気づいてなく、お互いにしばらく会ってもいなかった。慧吾にいたっては三年ぶりだ。
「久しぶり! 元気? もう帰るのか? 今度慧吾んちに行っていい? またコンビニ飯でのんびり話でもしよう」
「わかった。いつでもいいよ」
「マジ!? じゃあ明日行くわ」
「おけ。なんなら泊まれば?」
「いいの? やりぃ」
涼介ともゆっくり会いたいと思っていたから泊まりは大歓迎だ。慧吾も楽しみだ。
翌日、昼過ぎに涼介は来た。
「慧吾んち物がなんにもないよな」
「そう? アハハ」
座ってお互いの近況を語る。
「俺は剣道サークルと、ゼミと、あと家の手伝いをしてるよ。夏休みは試合もあったしな。結構忙しかった。でも大学関係はもう盆休みに入ったな。家業のほうはカレンダーどおりなんでもうちょい仕事がある」
「俺はゼミくらいかな。家にはいちど帰った。お盆にはまた帰ると思う」
「そっか、じゃあそのときにまた遊べそうだな」
「だね」
それからまた涼介のラノベ談議だ。お互いに持っているのを貸しあう。
「俺また夢見たんだよねー。今度は悪役令嬢が出てきたわ」
「あはは! 美人だった?」
「うん、でもヒロインのほうがかわいい」
「ヒロインは性悪といい子のふたつのパターンがあるけどどっちだった?」
「いい子のほう」
涼介は訳知り顔で、両方のパターンの小説を貸そうと約束してくれた。読みたいような怖いような気がする。
夕方になり、連れだってコンビニで弁当とおやつと明日の朝食を買って来た。今度こそ冷麺を食べるのだ。涼介は焼肉弁当だ。飲み物はニリットルの麦茶を買っておいた。それをガラスのコップに注ぎわける。
「そうか、盆休みは大学の食堂も閉まるのか。その前に実家に帰ろう」
毎日コンビニ弁当だと食費が高くなってしまう。
食後のデザートのプリンを食べながら、慧吾は早めに帰る算段をした。冷蔵庫の生ものも片付けておかなければならない。考えごとをしていたせいか、コップを肘で倒してローテーブルから落としてしまった。
「あちゃあ。お茶があんまりなくて良かったね」
涼介がローテーブルからお茶がこぼれ落ちないうちに、素早くティッシュで水分を拭きとった。慧吾はコップが転がっていくのを追いかけている。すぐに追いついて手で持ちあげた。
「イテッ」
涼介が慧吾のほうを見ると慧吾は手から血がだらだら落ちているのを困った顔をして眺めていた。端が欠けていてそこで切ってしまったようだ。涼介は慌てて再度ティッシュを取ると、慧吾の手の血の出ているところに当ててグッと押した。
「痛い! もういいって。このくらいすぐ治るってば」
「我慢しろ…………そろそろかな」
ティッシュを外し、新しいので血を拭きとる。
「消毒しないと……って傷どこだよ」
「ん? どこって何」
慧吾は自分の手の表裏をじっくり見た。
「怪我してないね。もう痛くない」
「怪我はしていただろう。血が出てた」
「あ、そうか!!」
慧吾はひらめいたとばかりに膝を打った。
「治癒だ! いつのまにか覚えてたんだ!」
どういうこと? と涼介は眉を顰めている。慧吾はもどかしそうに言った。
「だから治癒だってば。ヒールだよ」
「いやヒールて何よ」
「あ」
慧吾は勢いよく振りかえった。そこは玄関のドア。もういちど、今度はゆっくり振りかえる。見えてはいるが、理解ができない。
「家じゃん。三年……ぶり?」
懐かしいアパートの自分の部屋。何も変わっていない。ゆっくりと現実が染みこんでくる。
「う……うぅ……」
大声で叫びたかったが、アパートでは叫べない。かろうじて声を押しころし、玄関でへたり込んだ。
おそるおそる、胸のネームタグを握る。温かい。
「あったかい。レヴィン、あったかいよ」
まだ生きてる。まだ会える。慧吾の胸に希望の光が灯った。
「また泣かせちゃうのかな……」
彼女の泣き顔が思い浮かんだ。でも……彼女もまた待っていてくれるような気がする。
慧吾はゆるゆると立ちあがり、とにかく靴を脱いで部屋の真ん中にごろんと転がった。今は何も考えたくない。そのまま丸くなってじっとしていると、いつのまにか眠ってしまったようだ。
身体が痛くなって目が覚めた。クーラーが効いた部屋に何も掛けずに眠ってしまい、ちょっと喉が痛い。スマホを見ると朝の六時だ。
三年近く留守にしていたが、当然ながら何も変化はなかった。部屋も自分も。確か近所のコンビニで夕飯を買って帰ったところだったような気がする。玄関に目を向けるとコンビニの袋が落ちていた。
「あちゃあ。中は……冷麺だ。うーん、一晩放置したのって食べられるのかな? クーラー効いてるから平気? あれなんか臭い……? あっ! 違う!」
慌ててスマホを見なおすと、転移した日から一週間たっている。
「そうだった……」
食べ物を無駄にしてしまったのはショックだが、今回は極力人型になるのを避けたため、行っている時間にしては短いのはありがたい。
買い物の始末をしてから、シャワーを浴び、カップラーメンをすすってからもうひと眠りした。
八時ごろになって、慧吾はのっそり起きあがった。メールを一通送ってからごそごそ出かける支度をする。電車に揺られて午前中には実家についた。ピンポンと鳴らすと母親がドアを開けてくれた。
「母さん。ただいま」
「おかえりー。暑かったでしょ。アイスあるよ」
懐かしい母親の、変わらない朗らかな声だ。
(帰って来れたよ、母さんごめんな)
表面では何気ないふうを装いながら心のうちで謝る。
日本に戻ってくるたびに、家族に会いたくなって飛ぶようにして家に帰る。家族の存在、そして自分の存在の確認をしたくなる。
(家のニオイがする)
日本の、自分の家のニオイだ。
冷蔵庫を開けてアイスを取りだしながら、母親が訪ねた。
「学校どうね? 今日は晩ごはんも食べていくの? それとも何日か泊まる?」
「うーん、晩ごはん早めに食べて帰るわ。明日はゼミに行こうと思って」
「そう。何か食べたいものある?」
「カレー」
母親はぷっと噴きだした。
「言うと思った。お昼はそうめんだからねー」
「うん」
アイスを食べながら二階にあがって行く。弟の祐吾の部屋をノックしてみたがまだ寝ているのか返事がなかった。慧吾とは別の大学に入っていて、同じく夏休み中だ。
自分の部屋に入ってベッドに寝ころんでスマホをいじる。学校関係のグループチャットがたくさん入っていた。自分を心配してくれているメッセージもある。
「風邪ひいてたことにするか」
いつもの仮病を使うことにしてメッセージを送った。心配する返事がいくつか入り、罪悪感が湧く。お昼までそのままぼんやりとスマホを眺めて過ごした。
昼食に階下に降りると祐吾がリビングにいた。
「けいちゃん来てたの」
弟は子どものころ、母親が呼んでいたあだ名でいまだに呼んでくる。
「ただいま」
慧吾は祐吾の髪を手でなおしてやりながら挨拶をした。祐吾の手が乱暴に払いのけてくる。
「ふふ、元気だったか」
「ちょうどいい、ゲームしよ。大学って夏休みが長い!」
そうめんを食べてから二人でゲームをすることになった。慧吾もゲームはまあまあやるけれど、祐吾にはいつも負けてしまう。
夜になり、仕事に行っていた父親も帰宅して、家族そろっての団らんとなった。
「ああ……おいしい」
久しぶりのカレーだ。ずっと食べたかった。ルーをたくさん買って、収納に入れておくべきだろうか。あと、レシピ本。ネットがないから参考になりそうな本は入れていたのだが、料理の本は入れてなかった。食べ物にはあまりこだわりがない。しかしカレーは別だ。
(それより授業で必要なやつだよな。三年近く勉強できなかった。前期試験が終わってて良かったよ)
「学校はどうだ。就職先は見つかりそうか?」
父親の質問は現実的だ。就職のことは本当に頭が痛い。適当にお茶を濁して話題を無難なものに変えておいた。
食後少し休んでから実家をあとにした。たまに来るのは良いが、長くいるもんでもない。最初はよろこばれていても、だんだんにお小言が始まってしまう。
アパートに電車で帰るのをおっくうに感じた慧吾は、実家の玄関を出てから裏手に回り、そのままアパートの自室の玄関に転移した。すっかり転移に慣れきって堕落してしまった。
シャワーを浴びて、ゼミの準備をしてからスマホを手にベッドに入った。
(昨日みたいにすぐには眠れないな)
片手でネームタグを握りしめ、レヴィンの気配を感じてじっとしていると、不安な思いがずしんと胸にのしかかってくるようだ。
「大丈夫、大丈夫。レヴィン。また会える。ジルも待ってる」
声を出して魔法の呪文を唱えると、ようやく眠気がさしてきた。
次の日から慧吾は大学に通った。ゼミの仲間からは心配といたわりの言葉をかけてもらってうれしいやら申し訳ないやらである。
遅れを取り戻そうと、毎日通って早々にレポートを提出してしまった。
晴れやかな気持ちで家に帰ろうと歩いていたとき、向こうから知った顔がやってきた。
「慧吾!」
「涼介!」
高校も同じだった親友の新山涼介だ。夏休みだったからか、涼介は今回は慧吾の不在に気づいてなく、お互いにしばらく会ってもいなかった。慧吾にいたっては三年ぶりだ。
「久しぶり! 元気? もう帰るのか? 今度慧吾んちに行っていい? またコンビニ飯でのんびり話でもしよう」
「わかった。いつでもいいよ」
「マジ!? じゃあ明日行くわ」
「おけ。なんなら泊まれば?」
「いいの? やりぃ」
涼介ともゆっくり会いたいと思っていたから泊まりは大歓迎だ。慧吾も楽しみだ。
翌日、昼過ぎに涼介は来た。
「慧吾んち物がなんにもないよな」
「そう? アハハ」
座ってお互いの近況を語る。
「俺は剣道サークルと、ゼミと、あと家の手伝いをしてるよ。夏休みは試合もあったしな。結構忙しかった。でも大学関係はもう盆休みに入ったな。家業のほうはカレンダーどおりなんでもうちょい仕事がある」
「俺はゼミくらいかな。家にはいちど帰った。お盆にはまた帰ると思う」
「そっか、じゃあそのときにまた遊べそうだな」
「だね」
それからまた涼介のラノベ談議だ。お互いに持っているのを貸しあう。
「俺また夢見たんだよねー。今度は悪役令嬢が出てきたわ」
「あはは! 美人だった?」
「うん、でもヒロインのほうがかわいい」
「ヒロインは性悪といい子のふたつのパターンがあるけどどっちだった?」
「いい子のほう」
涼介は訳知り顔で、両方のパターンの小説を貸そうと約束してくれた。読みたいような怖いような気がする。
夕方になり、連れだってコンビニで弁当とおやつと明日の朝食を買って来た。今度こそ冷麺を食べるのだ。涼介は焼肉弁当だ。飲み物はニリットルの麦茶を買っておいた。それをガラスのコップに注ぎわける。
「そうか、盆休みは大学の食堂も閉まるのか。その前に実家に帰ろう」
毎日コンビニ弁当だと食費が高くなってしまう。
食後のデザートのプリンを食べながら、慧吾は早めに帰る算段をした。冷蔵庫の生ものも片付けておかなければならない。考えごとをしていたせいか、コップを肘で倒してローテーブルから落としてしまった。
「あちゃあ。お茶があんまりなくて良かったね」
涼介がローテーブルからお茶がこぼれ落ちないうちに、素早くティッシュで水分を拭きとった。慧吾はコップが転がっていくのを追いかけている。すぐに追いついて手で持ちあげた。
「イテッ」
涼介が慧吾のほうを見ると慧吾は手から血がだらだら落ちているのを困った顔をして眺めていた。端が欠けていてそこで切ってしまったようだ。涼介は慌てて再度ティッシュを取ると、慧吾の手の血の出ているところに当ててグッと押した。
「痛い! もういいって。このくらいすぐ治るってば」
「我慢しろ…………そろそろかな」
ティッシュを外し、新しいので血を拭きとる。
「消毒しないと……って傷どこだよ」
「ん? どこって何」
慧吾は自分の手の表裏をじっくり見た。
「怪我してないね。もう痛くない」
「怪我はしていただろう。血が出てた」
「あ、そうか!!」
慧吾はひらめいたとばかりに膝を打った。
「治癒だ! いつのまにか覚えてたんだ!」
どういうこと? と涼介は眉を顰めている。慧吾はもどかしそうに言った。
「だから治癒だってば。ヒールだよ」
「いやヒールて何よ」
「あ」
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