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41 俺と歳を重ねてくれないか
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『黒狼』の定宿で魔石を山分けした慧吾は、六日ぶりに北の森の小屋に帰ってきた。
出迎えてくれたジルをついぎゅっと抱きしめてしまう。堪能したあとは身体をジルから少し離してそのかわいらしい顔を一心に見つめる。ジルがくすりと笑って慧吾の頬にそっと手を添えた。その手を取ってチュッとしてから慧吾はジルを離した。
「たった1週間でこれなら俺大学通うの超ツライ」
盛大なため息をつく。そう、もう日本に帰らないといけないのだ。
「故郷に帰るの?」
「うん、あと一年半学校に通わないといけないからね。でもときどきはにこっちに来るよ。俺が耐えられない」
慧吾が眉にシワをよせたのをジルがやさしく撫でた。
「あのね、頼まれてた魔力ポーションができたの」
自分の目の前にあるジルの手をバッと両手で握り、慧吾は大声をあげた。
「マジで!? あ、いやほんとに? ありがとう! ジルはすごい! これでこっちに来れる回数が増やせるよ!」
「古い文献を調べたの。ダンジョン産の薬草も使ったのよ」
それを聞いてトーリアの街で買ったおみやげを思いだし、慧吾は収納から薬草を出した。
「そうだ。これおみやげ。ダンジョンの拠点の街で買ったやつだけど」
「あ! これも使ったわ」
「ほんと? もっと買ってくれば良かった。今度いっしょに行こう」
「そうね、そうしたら今度はひとりで買いに行けるものね」
慧吾はジルの手を握ったままソファまで誘導し、二人で仲良くくっついて座った。慧吾はジルの手を握って耳を赤く染めながらジルに相談を持ちかけた。
「ジル……聞きたいんだけどさ。故郷からこっちに来るとき、ここを朝出て夜また帰ってこれるように転移石の研究を頑張ろうと思ってるんだよ。ジルがその……俺に毎日会いたいと思ってくれるならだけど」
ジルは難しい顔をした。
「それは嬉しいけど……。毎日は大変でしょう? それにシスイ様だけが歳をどんどん取っていくのよね?」
「確かにそうなるね」
慧吾はうーんと唸り、頭をガシガシと掻いた。それからジルを抱きよせ、まぶたにキスを落としてから、真摯な態度で言葉を紡いだ。
「……ジル、俺と歳を重ねてくれないか」
「ここを出るってこと?」
慧吾の腕の中でジルは首を傾げた。
「いや、時間だけ動かす。銀毛の結界を解いて、代わりに結界石を置くんだ。ジルも俺も歳を取っていくことになる」
ジルは目を瞬き、慧吾の顔を見あげた。
「……それって結婚するってことで合ってる? ただ二人で歳を取っていくって意味じゃないのよね?」
「そうだよ。俺は故郷ではまだ学生で一人前じゃないし、この世界の人間でもない。自分勝手だとわかってるんだ。それでも結婚してほしい」
慧吾は一気に言いきったあと、俯いてひどく不安そうにジルの言葉を待っている。それなのになぜかジルは慧吾の腕の中からするりと抜けだしてしまった。さっと青ざめた慧吾が顔を上げると、ジルは顔を赤くしながら慧吾の膝の上によいしょと座り、首に腕を巻きつけて慧吾の耳元でささやいた。
「……はい。よろしくお願いします」
ビクリと肩を震わせかと思うと、慧吾はやにわにジルの顎を掴んで上を向かせ、キスの雨を降らせたのだった。
「ありがとう……」
慧吾が小さな声で言ったそれは、さきほどの返事からだいぶ遅れた礼だった。
しばらく抱きあっていた二人だったが、ジルが重いでしょうと膝から降りてまた横に座りなおした。重くはないが、正直理性が死滅寸前だ。
「あのね、さっきの話の続きだけど……。毎日帰ってくるって言うことは毎日転移するってことでしょう? 大丈夫なの?」
ジルを宥めるように鼻の頭にちょんとキスをする。
「うん、頑張るよ。ジルと幸せになりたい」
こうなれば魔石をたくさん持って帰ってあちらでも開発を頑張らなければなるまい。
「……実はね。もう婚姻届は持ってるんだよ」
リーンハルトから押しつけられた用紙を見せて事情を説明する。慧吾がちゃんと自分とのことを考えていて、調べてくれていたことがジルはうれしかった。
「出すのはいつでも出せるから取りあえず書いておこうか?」
ニヤリと笑って慧吾は用紙をひらひらさせると、ジルがパッと取りあげささっと署名をしてしまった。それをうやうやしく慧吾に戻す。慧吾もまたうやうやしく受けとって『水原慧吾』と書きこんだ。
「これはシスイ様の国の文字?」
「そうだよ。水原慧吾と書いてあるんだ」
「ミズハラケイゴ?」
「ミズハラが姓でケイゴが名前だ」
「ケイゴ……。だからケイって名乗っているの?」
冒険者をしているときに慧吾はケイと名乗っている。ジルはそれに思い当たったようだ。
「私シスイ様のほんとのお名前も知らなかったわ」
ジルがしょんぼりしてしてしまったため、慧吾は慌てた。
「だって教えてなかったからね! じゃああれだ。ジルもケイゴって呼んでよ」
「……ケイゴ様?」
「様はいらないよ。ただのケイゴ」
「ケ……ケイゴ」
うわあと奇声をあげて慧吾はもだえた。顔を両手で覆っていてその間から何かブツブツ言っている。
「もうダメだ。俺死ぬかも……」
「えっ!? なんて言ったの?」
慧吾はそのままブンブンと首を振った。ジルは慧吾の奇妙な行動に目を白黒している。その前を銀狐の銀毛が呆れたように鼻を鳴らして通り過ぎていくのだった。
翌日、二人はゆっくり家で過ごした。慧吾は翌日王宮に渡すため、結界石を作成していた。そしてその翌日、二人は王都に出てきていた。ジルは買い物と薬を卸しに、慧吾は王宮に行くのにいったん別れる。そのあと黒狼行きつけの食堂の前で待ちあわせをしている。
慧吾は王宮に転移するとまず昨日のことに対して礼を言い、リーンハルトに結界石を二百個ほど渡してから使いかたの説明をした。
「おおこれか!」
リーンハルトはおおよろこびだ。さっそく騎士団のほうで必要なところから配ってくれることになった。
王宮魔術師団にもいくつか持ちこみ、研究するらしい。生活に使う魔石と同じ作り方であるため、もしかしたらそちらでも作れるかもしれないそうだ。結界石ができたら王宮で配布するものはすべて王宮で準備し、ギルドに卸すものは慧吾が作ることになりそうだ。
もう少しゆっくりしていくよう勧められたが待ちあわせまでの時間がないため、断わってギルドの近くに転移した。
「ケイ!」
ギルドについてきょろきょろしていると、黒狼の三人がこっちに手を振ってきた。リーダーの剣士のジャスと同じく剣士のパリス、魔術師のイオだ。イオは顔色も良く、傷もほぼ癒えたようだ。慧吾はフードを少し上げ、全体が見えるようになった唇を笑みの形にして手を振りかえした。
「待ったか?」
「いや」
今日は黒狼の三人と飲みに来たのである。依頼達成の打ちあげだ。魔石を山分けしたあと誘われ、ジルに早く会いたかった慧吾は断ったのだが、後日ジルといっしょでいいからと言われて断りきれなかったのだ。
「イオは元気になったようだな」
「うん、今日は楽しみだよ。いつも三人だからね」
三人と挨拶を交わしていると通りの向こうがにわかに騒がしくなった。
「あれ魔女じゃないか?」
「魔女だ……」
籠を下げて黒いローブを被った小さな影が、食堂を探して右往左往しているのを見つけた慧吾は、急いで駆けつけた。
「ジル!!」
「ケイゴ!」
慧吾はジルのそばまで来ると腰に腕を回してフードを被った頭にキスをした。食堂の前まで腰に腕を回したまま歩いていく。通行人たちは驚いてざわざわしている。
「誰だ」
「なんで魔女と」
そんな野次馬と化した通行人に、慧吾はスッと目を向け口を開いた。
「ジルは魔女じゃない、薬師だ。そして俺の妻だ」
慧吾の言葉に近くにいたひとりが一瞬たじろいだ。が、すぐに言いかえしてきた。
「嘘だ。ずっと生きているって聞いたぞ。それになぜ顔を見せない!!」
対して慧吾はフードから顕わになっている口角をグイと引きあげた。
「かわいいから見せたくないに決まってるだろう!! それにずっと生きてるわけないじゃないか。それは先代だ」
後半は嘘である。しかし効果は抜群、野次馬まで一様に呆気にとられている。
「ま、まあまあ。とにかく食堂に入ろうよ。奥さんを紹介してくれるんでしょ?」
黒狼のジャスが取りなして慧吾も了承し、一行は食堂に入っていった。野次馬たちは呆然と彼らを見送り、お互いに顔を見合わせてから気まずそうに解散していくのだった。
出迎えてくれたジルをついぎゅっと抱きしめてしまう。堪能したあとは身体をジルから少し離してそのかわいらしい顔を一心に見つめる。ジルがくすりと笑って慧吾の頬にそっと手を添えた。その手を取ってチュッとしてから慧吾はジルを離した。
「たった1週間でこれなら俺大学通うの超ツライ」
盛大なため息をつく。そう、もう日本に帰らないといけないのだ。
「故郷に帰るの?」
「うん、あと一年半学校に通わないといけないからね。でもときどきはにこっちに来るよ。俺が耐えられない」
慧吾が眉にシワをよせたのをジルがやさしく撫でた。
「あのね、頼まれてた魔力ポーションができたの」
自分の目の前にあるジルの手をバッと両手で握り、慧吾は大声をあげた。
「マジで!? あ、いやほんとに? ありがとう! ジルはすごい! これでこっちに来れる回数が増やせるよ!」
「古い文献を調べたの。ダンジョン産の薬草も使ったのよ」
それを聞いてトーリアの街で買ったおみやげを思いだし、慧吾は収納から薬草を出した。
「そうだ。これおみやげ。ダンジョンの拠点の街で買ったやつだけど」
「あ! これも使ったわ」
「ほんと? もっと買ってくれば良かった。今度いっしょに行こう」
「そうね、そうしたら今度はひとりで買いに行けるものね」
慧吾はジルの手を握ったままソファまで誘導し、二人で仲良くくっついて座った。慧吾はジルの手を握って耳を赤く染めながらジルに相談を持ちかけた。
「ジル……聞きたいんだけどさ。故郷からこっちに来るとき、ここを朝出て夜また帰ってこれるように転移石の研究を頑張ろうと思ってるんだよ。ジルがその……俺に毎日会いたいと思ってくれるならだけど」
ジルは難しい顔をした。
「それは嬉しいけど……。毎日は大変でしょう? それにシスイ様だけが歳をどんどん取っていくのよね?」
「確かにそうなるね」
慧吾はうーんと唸り、頭をガシガシと掻いた。それからジルを抱きよせ、まぶたにキスを落としてから、真摯な態度で言葉を紡いだ。
「……ジル、俺と歳を重ねてくれないか」
「ここを出るってこと?」
慧吾の腕の中でジルは首を傾げた。
「いや、時間だけ動かす。銀毛の結界を解いて、代わりに結界石を置くんだ。ジルも俺も歳を取っていくことになる」
ジルは目を瞬き、慧吾の顔を見あげた。
「……それって結婚するってことで合ってる? ただ二人で歳を取っていくって意味じゃないのよね?」
「そうだよ。俺は故郷ではまだ学生で一人前じゃないし、この世界の人間でもない。自分勝手だとわかってるんだ。それでも結婚してほしい」
慧吾は一気に言いきったあと、俯いてひどく不安そうにジルの言葉を待っている。それなのになぜかジルは慧吾の腕の中からするりと抜けだしてしまった。さっと青ざめた慧吾が顔を上げると、ジルは顔を赤くしながら慧吾の膝の上によいしょと座り、首に腕を巻きつけて慧吾の耳元でささやいた。
「……はい。よろしくお願いします」
ビクリと肩を震わせかと思うと、慧吾はやにわにジルの顎を掴んで上を向かせ、キスの雨を降らせたのだった。
「ありがとう……」
慧吾が小さな声で言ったそれは、さきほどの返事からだいぶ遅れた礼だった。
しばらく抱きあっていた二人だったが、ジルが重いでしょうと膝から降りてまた横に座りなおした。重くはないが、正直理性が死滅寸前だ。
「あのね、さっきの話の続きだけど……。毎日帰ってくるって言うことは毎日転移するってことでしょう? 大丈夫なの?」
ジルを宥めるように鼻の頭にちょんとキスをする。
「うん、頑張るよ。ジルと幸せになりたい」
こうなれば魔石をたくさん持って帰ってあちらでも開発を頑張らなければなるまい。
「……実はね。もう婚姻届は持ってるんだよ」
リーンハルトから押しつけられた用紙を見せて事情を説明する。慧吾がちゃんと自分とのことを考えていて、調べてくれていたことがジルはうれしかった。
「出すのはいつでも出せるから取りあえず書いておこうか?」
ニヤリと笑って慧吾は用紙をひらひらさせると、ジルがパッと取りあげささっと署名をしてしまった。それをうやうやしく慧吾に戻す。慧吾もまたうやうやしく受けとって『水原慧吾』と書きこんだ。
「これはシスイ様の国の文字?」
「そうだよ。水原慧吾と書いてあるんだ」
「ミズハラケイゴ?」
「ミズハラが姓でケイゴが名前だ」
「ケイゴ……。だからケイって名乗っているの?」
冒険者をしているときに慧吾はケイと名乗っている。ジルはそれに思い当たったようだ。
「私シスイ様のほんとのお名前も知らなかったわ」
ジルがしょんぼりしてしてしまったため、慧吾は慌てた。
「だって教えてなかったからね! じゃああれだ。ジルもケイゴって呼んでよ」
「……ケイゴ様?」
「様はいらないよ。ただのケイゴ」
「ケ……ケイゴ」
うわあと奇声をあげて慧吾はもだえた。顔を両手で覆っていてその間から何かブツブツ言っている。
「もうダメだ。俺死ぬかも……」
「えっ!? なんて言ったの?」
慧吾はそのままブンブンと首を振った。ジルは慧吾の奇妙な行動に目を白黒している。その前を銀狐の銀毛が呆れたように鼻を鳴らして通り過ぎていくのだった。
翌日、二人はゆっくり家で過ごした。慧吾は翌日王宮に渡すため、結界石を作成していた。そしてその翌日、二人は王都に出てきていた。ジルは買い物と薬を卸しに、慧吾は王宮に行くのにいったん別れる。そのあと黒狼行きつけの食堂の前で待ちあわせをしている。
慧吾は王宮に転移するとまず昨日のことに対して礼を言い、リーンハルトに結界石を二百個ほど渡してから使いかたの説明をした。
「おおこれか!」
リーンハルトはおおよろこびだ。さっそく騎士団のほうで必要なところから配ってくれることになった。
王宮魔術師団にもいくつか持ちこみ、研究するらしい。生活に使う魔石と同じ作り方であるため、もしかしたらそちらでも作れるかもしれないそうだ。結界石ができたら王宮で配布するものはすべて王宮で準備し、ギルドに卸すものは慧吾が作ることになりそうだ。
もう少しゆっくりしていくよう勧められたが待ちあわせまでの時間がないため、断わってギルドの近くに転移した。
「ケイ!」
ギルドについてきょろきょろしていると、黒狼の三人がこっちに手を振ってきた。リーダーの剣士のジャスと同じく剣士のパリス、魔術師のイオだ。イオは顔色も良く、傷もほぼ癒えたようだ。慧吾はフードを少し上げ、全体が見えるようになった唇を笑みの形にして手を振りかえした。
「待ったか?」
「いや」
今日は黒狼の三人と飲みに来たのである。依頼達成の打ちあげだ。魔石を山分けしたあと誘われ、ジルに早く会いたかった慧吾は断ったのだが、後日ジルといっしょでいいからと言われて断りきれなかったのだ。
「イオは元気になったようだな」
「うん、今日は楽しみだよ。いつも三人だからね」
三人と挨拶を交わしていると通りの向こうがにわかに騒がしくなった。
「あれ魔女じゃないか?」
「魔女だ……」
籠を下げて黒いローブを被った小さな影が、食堂を探して右往左往しているのを見つけた慧吾は、急いで駆けつけた。
「ジル!!」
「ケイゴ!」
慧吾はジルのそばまで来ると腰に腕を回してフードを被った頭にキスをした。食堂の前まで腰に腕を回したまま歩いていく。通行人たちは驚いてざわざわしている。
「誰だ」
「なんで魔女と」
そんな野次馬と化した通行人に、慧吾はスッと目を向け口を開いた。
「ジルは魔女じゃない、薬師だ。そして俺の妻だ」
慧吾の言葉に近くにいたひとりが一瞬たじろいだ。が、すぐに言いかえしてきた。
「嘘だ。ずっと生きているって聞いたぞ。それになぜ顔を見せない!!」
対して慧吾はフードから顕わになっている口角をグイと引きあげた。
「かわいいから見せたくないに決まってるだろう!! それにずっと生きてるわけないじゃないか。それは先代だ」
後半は嘘である。しかし効果は抜群、野次馬まで一様に呆気にとられている。
「ま、まあまあ。とにかく食堂に入ろうよ。奥さんを紹介してくれるんでしょ?」
黒狼のジャスが取りなして慧吾も了承し、一行は食堂に入っていった。野次馬たちは呆然と彼らを見送り、お互いに顔を見合わせてから気まずそうに解散していくのだった。
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