煙の向こうに揺れる言葉

らぽしな

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エピソード6-1

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匡尋は中間管理職になってから初めての会社イベントを受け持つ、そんな数人がメインで仕入れやらの担当に充てがわれ、BBQ前数日はプチ残業させられていた。

まあ、若手時代に先輩上司が同じようにしていたので、しなきゃいけないだろうというのは薄々分かっていたが、やっぱり責任者として動くのはまた違う。

というわけで、総務から何をするのか割り振られた。
これから1年間頑張るようにと労いの会だから、このイベントのためには上から順に仕事を多く割り当てられる。
つまり、社長も例外じゃない。そこから少しずつ楽な仕事が降下されていくのだ。

そして役職の中で一番格下な新人チーフである匡尋は最終チェックという「一番簡単」な雑用を充てがわれた。

今回、準備初参加の匡尋は諸先輩方にレクチャーを受けながらすり合わせをしたりしていると、昔の上司が
(皆さん、こんなにしてくださっていたのに簡単に行けませんって言えないって言ってたな。)
と言うのを思い出した。

割と大きい会社なのに、アットホームな感じがあるこの会社で仕事ができるのが誇らしくもあり、少し面倒でもあり。

人数が人数だけに、会場が数か所分かれて行う大イベントだから、その分配を間違えたらエラいことになる。
チェック係と言っても侮れないのだ。

普段やらないことをして疲労困憊で帰る電車の中、時間帯が悪く座ることもできない。
ちょうどいい空間に逃げ込んで、じゃまにならないように妻にメッセージを送る。

妻の機嫌を損ねて、せっかく一緒に行く許可をもらったのにひるがえされたくない。
まあ、そんなこと一度もなかったけれど。

ふと、1ヶ月くらい前に参加したところから、送り忘れてましたということで何枚かその時の適当に取った写真と、先日別のやつから共有してもらった集合写真の別アングルの写真が送られてきていた。

たった数年の社会人経験で顔ににじみ出ている苦労はそれぞれで、ものすごく老けて見えるやつやあの頃のままのやつとかだんだんと差がついてきた。

そんな中で、久しぶりに会う変わり者も珍しく来ていた。
御幸来夢。
家が金持ちということもあり、自営業のような事をしているやつ。こいつはちっとも変わっていない。
なぜか、大学時代はよくつるんでいたっけ。

ただ、結婚式には都合が悪くて来れなかった。
っていうか、卒業してから会うのはずいぶん久しぶりな気がする。
ただ、話をしたいが別なやつとなんだか二人の世界に入っているので邪魔せずにおいた。

それ以外の友人もちょくちょく遊んでいる気でいたが、結婚式以来の友人も何人かいた。皆それぞれ忙しい年齢に差し掛かっている。

その流れから
「今度、佐々木んち遊びに行って良い?」
とそのうちの一人から言われた。

自分は大歓迎だったが、返事をしようとしたところで思いとどまった。
妻からすれば今、環境が変わって落ち着いていない状況。それを母や妹がサポートしている状態。
そんな中に気心知りすぎているからこそ、呼んだなんてなったら優しい妻はともかく母から叱られ、妹になじられるのがオチだ。

「まあ、今はほら…。何かと…。」

何人か結婚しているので、空気を察したらしく、特に愛妻家な友人が妻に同乗してくれている。
まあ、妹が聞いていたら、
「兄さんはこういう気遣いが足りない。」
といわれそうだ。

酒の勢いで最近の家族の話をしたら、いつも聞き上手の友人が
「俺のところにまで、奥さんを誘導できたらなんとかなるかも。そしたらあとは任せろ。」
と、言っていた。

彼は、心療内科の医者だった。
「カウンセラーって言え。」
と、ずっと言っている。そんな彼も愛妻家の一人だ。

まあ、酒の席だし社交辞令とは思いつつも、その後は別の話で盛り上がったので忘れていたが、帰り際にいつも持ち歩いているというパンフレットと名刺を押し付けられた。

そのやり取りをしている時、御幸が近くに席替えでいたことなんて知りもしなかったけれど。





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