煙の向こうに揺れる言葉

らぽしな

文字の大きさ
18 / 64

エピソード5-2

しおりを挟む
昨晩。
ちょっとの期待も虚しく、寝室は静かなままだった。
最近は触れ合うことも少ない。

翌朝。
いつもの時間に、静かに鳴った目覚ましをすぐに止める。
その音は、短い時間なら夫を覚醒させることはない。

彼は、次に自分のアラームがなるまでまだ夢の中にいるのだろう。
幼稚園用のお弁当や朝食を用意していると、少し早く寝た汐音が起こしに行く前に起きてきた。
朝はまだ肌寒いから、羽織るものを慌てて部屋に取りに行く。

ちょっとでも風邪気味だと預かってもらえない。
まあ、専業主婦だから他の人よりは困らないがそれでも予定が変わってしまうのでできれば元気に登園してほしい。

ほんの少しその場を離れた間に、汐音がカレンダーの変化を目ざとく見つけていた。

カレンダーの予定が更新されたことにすぐに気づき、その内容が楽しいことだとわかるとはしゃぎモードに入った。

幼稚園から帰ってすぐにてるてる坊主を作ると言ってる。
作りやすい素材でも用意しておこう。

そんなことをしているうちに、夫も起きてきた。
あとはいつもどおりの一日。

一人だけの時間は家事を除くと小一時間くらいしかない。

夫が頼んでおいてくれた荷物を受け取ったらもうあっという間に汐音を迎えに行く時間になった。
たったこれだけのことに疲れを感じるのは、やはり年齢のせいだろうか。

(はしゃぎまわるだろうイベントデーに、体力持つのかしら…)と今から心配になる。
夫がどこまで手伝ってくれるのだろうか、未知な部分に不安しかない。

迎えに行きつつ、買い物へ行く。
汐音はしっかりてるてる坊主のことを覚えていたので、カスタマイズできる小物を見て帰ることにした。

家に帰るなり、着替えもそこそこになんとか手洗いうがいだけ終わらせて作業にかかる。
ベースの部分だけ作ってあげると、あとは自分でやると言って黙々と集中していた。

こういう所は誰に似たのだろう。
小さい背中を見て思う。

こうやって少しずつ増えていくだろう作品たち。
上手にできたのが嬉しかったのか、帰宅した夫にもそのことをアピールしていた。

さっそく、飾られ風に揺れている。
とても子どもらしい色使いのてるてる坊主は晴れを呼んでくれそうだ。

その流れで、今日は珍しく夫とお風呂に入ることになった。
二人で入るなんていつぶりなのだろうか。
楽しそうな声を間接的に聞くのがなんだか不思議な気分だった。

汐音が楽しみにしているから、天気予報で一喜一憂しているうちに当日の朝を迎えた。

雲一つない心のモヤモヤさえも吹き飛ばすいい天気だった。
こういう日の子どもはいつにも増して朝が早い。
いい天気に喜んで、てるてる坊主にお礼をいっているあたりが可愛くて仕方がない。

待ちきれなくて、夫のことを起こしに行った。
そこから怒涛の如くに家を出た。
準備をしていたけれど、普段と違うことをするとやっぱり想定外のことをやりがちだ。

家を出るまでにちょっとまごついたから、汐音がぐずりだしたのも大きい。
最寄りの駅から電車にるところまでは良かったのだが、思った以上に次の駅で人が乗ってきてしまい自由にでkる空間が減ったこともあり、汐音が少しぐずりだしたりした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

妻への最後の手紙

中七七三
ライト文芸
生きることに疲れた夫が妻へ送った最後の手紙の話。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

愛のかたち

凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。 ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は…… 情けない男の不器用な愛。

Husband's secret (夫の秘密)

設楽理沙
ライト文芸
果たして・・ 秘密などあったのだろうか! むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ  10秒~30秒?  何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。 ❦ イラストはAI生成画像 自作

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...