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エピソード5-3
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珍しく、夫の抱っこされて座っているのは知らない風景を案内しているからだ。
なんだか、いつもと違い急に開放されて、手持ち無沙汰になってしまったのでこの前に事を思い出していた。
あのビルへ行く経緯。
なんでそんなことを思い出しているかというと
夫も汐音もいない平日のほんの少しの自由時間に、突然知らない電話番号から着信があったからだ。
これで、2回目。
まだ、一度も会ったことがないけれど聞き慣れた心地いい声。
流石にそのときは名乗らなかったが、あの人だった。
「例の件、そろそろいい感じで動き出しますから。」
たったそれだけだったが、なんだか悪いことをしているようで千草はドキドキしてしまった。
彼のところへと向かったのは本当に偶然だった。と思う。
きっかけは、あのテレビでタバコのことを特集したあとのこと。
”「単純計算で1日2箱。1日とりあえず900円としよう。」
スマートフォンの計算機を持ち出す。
一週間なら…、一ヶ月なら…、一年なら…。マイナス思考は深みにハマる。
365日で単純計算すると…32万をゆうに超えた金額になった。”
「わたしの友達が、ハワイに新婚旅行行ったけどこのくらいの金額だったよ、確か。」
と、義妹が驚いて声に出す。
一緒にプランを考えてあげたそうだ。
自分たちのときは、海外はちょっと怖いな…という千草の気持ちを組んでくれて国内旅行にしたので未知の場所だ。
わぁきゃあテレビに文句を言っている義妹の横で、電卓に並ぶその数字に千草はなんとなく更に22をかけてみた。
704万円、将来の学費の足しにできそうだ。
そんな、そんな大金をただ灰にしてしまっている現実。子どもがおそらく色んな意味で全て独り立ちできた時、そのときに夫がいないとか病気になってしまっているかもしれないという未来予想図。
絶句した。
色んな思いが湧いては消えた。
そんなことで頭が追いつかないある日、義家族絵珍しく全員揃い今日は一緒に夕食を取ろうと家にやってきた。
心配してくれる声や気持ちは一見温かいが、そこに自分の居場所をまだ見つけられていないから、一緒に食卓を囲んでもなんの味もしない気がするなんてこの人たちは知らない。
しかも、そんな日に限って夫は残業で遅くなる。
先に始めててと連絡を受ける前に、最初から遅くなるだろうと想定していたようで気にもしていない。
出前もとったが、手料理もならぶ。
なんだかんだと言っても、大抵は夫の好きなもの。
千草には好き嫌いの贅沢が言える生活じゃなかったから、一応は何でも食べる。
若干、苦手なものもある。
強いて言えば、香草類。
明後日の方からやってくるような味に感じて、どうしてこれを美味しいと思うのかわからない。
自分には大人の味はまだ早いようだ。
義家族には口に出していったことはないが、夫から聞いたのか今のところ出されたことはない。
ただまだ好きなものにも巡り合っては居ないけど。
そんなことを考えている間いつの間にか夫が帰宅し、その食事の輪に入り、団らんをする。
なんだか、いつもと違い急に開放されて、手持ち無沙汰になってしまったのでこの前に事を思い出していた。
あのビルへ行く経緯。
なんでそんなことを思い出しているかというと
夫も汐音もいない平日のほんの少しの自由時間に、突然知らない電話番号から着信があったからだ。
これで、2回目。
まだ、一度も会ったことがないけれど聞き慣れた心地いい声。
流石にそのときは名乗らなかったが、あの人だった。
「例の件、そろそろいい感じで動き出しますから。」
たったそれだけだったが、なんだか悪いことをしているようで千草はドキドキしてしまった。
彼のところへと向かったのは本当に偶然だった。と思う。
きっかけは、あのテレビでタバコのことを特集したあとのこと。
”「単純計算で1日2箱。1日とりあえず900円としよう。」
スマートフォンの計算機を持ち出す。
一週間なら…、一ヶ月なら…、一年なら…。マイナス思考は深みにハマる。
365日で単純計算すると…32万をゆうに超えた金額になった。”
「わたしの友達が、ハワイに新婚旅行行ったけどこのくらいの金額だったよ、確か。」
と、義妹が驚いて声に出す。
一緒にプランを考えてあげたそうだ。
自分たちのときは、海外はちょっと怖いな…という千草の気持ちを組んでくれて国内旅行にしたので未知の場所だ。
わぁきゃあテレビに文句を言っている義妹の横で、電卓に並ぶその数字に千草はなんとなく更に22をかけてみた。
704万円、将来の学費の足しにできそうだ。
そんな、そんな大金をただ灰にしてしまっている現実。子どもがおそらく色んな意味で全て独り立ちできた時、そのときに夫がいないとか病気になってしまっているかもしれないという未来予想図。
絶句した。
色んな思いが湧いては消えた。
そんなことで頭が追いつかないある日、義家族絵珍しく全員揃い今日は一緒に夕食を取ろうと家にやってきた。
心配してくれる声や気持ちは一見温かいが、そこに自分の居場所をまだ見つけられていないから、一緒に食卓を囲んでもなんの味もしない気がするなんてこの人たちは知らない。
しかも、そんな日に限って夫は残業で遅くなる。
先に始めててと連絡を受ける前に、最初から遅くなるだろうと想定していたようで気にもしていない。
出前もとったが、手料理もならぶ。
なんだかんだと言っても、大抵は夫の好きなもの。
千草には好き嫌いの贅沢が言える生活じゃなかったから、一応は何でも食べる。
若干、苦手なものもある。
強いて言えば、香草類。
明後日の方からやってくるような味に感じて、どうしてこれを美味しいと思うのかわからない。
自分には大人の味はまだ早いようだ。
義家族には口に出していったことはないが、夫から聞いたのか今のところ出されたことはない。
ただまだ好きなものにも巡り合っては居ないけど。
そんなことを考えている間いつの間にか夫が帰宅し、その食事の輪に入り、団らんをする。
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