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エピソード6ー6
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棚ぼた的なことが起きたと気付いたのは、テントを出て数歩歩いてからだった。
汐音はいないが、予期せぬタイミングで二人きりになったのだ。
役職が少しでもついている匡尋の出番は、片付けのタイミング。それまでは比較的に自由にいられる。
ここ数日、煙の向こうに、BBQの日の自分の振る舞いをイメージしていた。
スマートに夫らしく父親らしく振る舞う姿を想像して、大丈夫上手くやれるはず。
前に来たことのある場所だから、少し休めそうなところがこの先にある。
「汐音のことは、とりあえずちょっとお犬様にまかせて、向こうで少し休まないか?」
そう言うと、うんとうなづいて付いてきてくれた。河原だから石も多く歩きにくいだろうからと手を差し出すと、繋いでくれたからゆっくりとリードする。
知らない人が多いのもあって緊張しているのか、少し手が冷たかった。
先陣があちこちにキャンプ用のイスを用意していてくれている。ちょうど、2つ空いていたので、ここに座ろうと誘った。
ここなら、テントも見えるので多少の不安解消にもなるだろう。
朝は曇っていたから寒くなるかもと寒さ対策で持ってきた自分の上着を座布団代わりに折りたたみ椅子の上に敷いてあげた。
「ありがとうございます。」
そう言って、そこに座ると妻は持参したブランケットをひざ掛けにしてくつろいだ。
おそらくそれぞれの思惑を除いて、妻をある程度人が少なくて休めるところまでアテンドできたあたりまではなんとかスムーズに行ったと思う。妻が多分一番心配していた汐音のことも、こっちの心配とは裏腹にすんなりとその場に溶け込んでいたし。
そんなことを思いながら自分も座ろうと思ったときに、
「あ!」
っと気づいた。手が冷たかろうと、なんだろうと水分補給くらいしなければならない。
「ちょっと、飲み物取ってくる。待ってて。」
妻が「私が…」と言って立ち上がろうとしたのを制止して、自分が取りに行った。
ほんと、気が利かない。という妹の声が聞こえてきそうだ。
飲み物を取りに、そのコーナーまで来ると食べるまではまだ時間もあるし、BBQ準備チームが指揮を取りだして動いているのが見て取れる。
大丈夫、とりあえずは問題ない。昨日まで一生懸命準備したことは上手く機能しているようだ。
この会場には社長夫妻も来ているので羽目を外しすぎなければ問題ない。
低アルコール、ノンアルコールも多めに用意した。
問題の起因はアルコールにあることが多い。
そういうことを踏まえているのを見越してなのか、ざっと見それらが冷やされている保冷容器も割と人気のようだ。
妻はアルコールでは唯一ワインを飲む。
仕事上での人間関係に多少は活かせるからと先輩にちょっと教えてもらったらしく、自分でソムリエナイフを持っている。
でもきっと今日はアルコールを飲まないだろう。
汐音がいるのもある。それ以外にも、何となくそんな気がした。
自分は微アルコールのを、妻にはノンアルコールの果実系の飲み物を選んだ。
今日の自分は冴えてる。そう思っていたものを砕け散らす出来事が待っていた。
少し開けた場所は、着々と準備が進んでいて火起こしもうまくいっているようだった。
こういう時、キャンプ好きの人が我慢できずに一緒になって仕切っている。
昼までには簡単に座れるところが設置され、ここで皆でお昼を食べることになっている。
流石に飲み物のコーナーだけあって、知り合いのやつもちらほらいて、何人かに挨拶される。
少しの間だけ、関わり合わずに折角の二人だけの時間に費やしたいのに。
そこに匡尋のチームも数人やってきた。
何本目か後のバスに乗っていたからか、高橋とも今日初めて顔を合わせた。
そして、その隣に目を移す。
そのとき僕は危うく持っていた飲み物を落とすところだった。
汐音はいないが、予期せぬタイミングで二人きりになったのだ。
役職が少しでもついている匡尋の出番は、片付けのタイミング。それまでは比較的に自由にいられる。
ここ数日、煙の向こうに、BBQの日の自分の振る舞いをイメージしていた。
スマートに夫らしく父親らしく振る舞う姿を想像して、大丈夫上手くやれるはず。
前に来たことのある場所だから、少し休めそうなところがこの先にある。
「汐音のことは、とりあえずちょっとお犬様にまかせて、向こうで少し休まないか?」
そう言うと、うんとうなづいて付いてきてくれた。河原だから石も多く歩きにくいだろうからと手を差し出すと、繋いでくれたからゆっくりとリードする。
知らない人が多いのもあって緊張しているのか、少し手が冷たかった。
先陣があちこちにキャンプ用のイスを用意していてくれている。ちょうど、2つ空いていたので、ここに座ろうと誘った。
ここなら、テントも見えるので多少の不安解消にもなるだろう。
朝は曇っていたから寒くなるかもと寒さ対策で持ってきた自分の上着を座布団代わりに折りたたみ椅子の上に敷いてあげた。
「ありがとうございます。」
そう言って、そこに座ると妻は持参したブランケットをひざ掛けにしてくつろいだ。
おそらくそれぞれの思惑を除いて、妻をある程度人が少なくて休めるところまでアテンドできたあたりまではなんとかスムーズに行ったと思う。妻が多分一番心配していた汐音のことも、こっちの心配とは裏腹にすんなりとその場に溶け込んでいたし。
そんなことを思いながら自分も座ろうと思ったときに、
「あ!」
っと気づいた。手が冷たかろうと、なんだろうと水分補給くらいしなければならない。
「ちょっと、飲み物取ってくる。待ってて。」
妻が「私が…」と言って立ち上がろうとしたのを制止して、自分が取りに行った。
ほんと、気が利かない。という妹の声が聞こえてきそうだ。
飲み物を取りに、そのコーナーまで来ると食べるまではまだ時間もあるし、BBQ準備チームが指揮を取りだして動いているのが見て取れる。
大丈夫、とりあえずは問題ない。昨日まで一生懸命準備したことは上手く機能しているようだ。
この会場には社長夫妻も来ているので羽目を外しすぎなければ問題ない。
低アルコール、ノンアルコールも多めに用意した。
問題の起因はアルコールにあることが多い。
そういうことを踏まえているのを見越してなのか、ざっと見それらが冷やされている保冷容器も割と人気のようだ。
妻はアルコールでは唯一ワインを飲む。
仕事上での人間関係に多少は活かせるからと先輩にちょっと教えてもらったらしく、自分でソムリエナイフを持っている。
でもきっと今日はアルコールを飲まないだろう。
汐音がいるのもある。それ以外にも、何となくそんな気がした。
自分は微アルコールのを、妻にはノンアルコールの果実系の飲み物を選んだ。
今日の自分は冴えてる。そう思っていたものを砕け散らす出来事が待っていた。
少し開けた場所は、着々と準備が進んでいて火起こしもうまくいっているようだった。
こういう時、キャンプ好きの人が我慢できずに一緒になって仕切っている。
昼までには簡単に座れるところが設置され、ここで皆でお昼を食べることになっている。
流石に飲み物のコーナーだけあって、知り合いのやつもちらほらいて、何人かに挨拶される。
少しの間だけ、関わり合わずに折角の二人だけの時間に費やしたいのに。
そこに匡尋のチームも数人やってきた。
何本目か後のバスに乗っていたからか、高橋とも今日初めて顔を合わせた。
そして、その隣に目を移す。
そのとき僕は危うく持っていた飲み物を落とすところだった。
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