50 / 64
エピソード12-4
しおりを挟む
そういえばそろそろ夫も帰ってきてしまうかもしれない。
そう心配しているのが伝達したのか、
「今日チーフはまだ出先ですけど、結構遠いところですし、直帰予定でしたがこの後私達の報告も上に上げてからだと思うので、あと1~2時間くらいは帰ってきませんよ。」
と教えてくれた。
しかも、森さんはうちに着いたときに、まだ時間があるからと途中まで調理中だった夕食の匂いを嗅ぎつけたらしく、
「なんなら、調理のお手伝いしますよ。」とも申し出てくれた。
カウンターキッチンの良し悪しはこういうところだろう思う。流石に手伝ってもらうものでもないので、カウンター越しに聞いてもらった。
本当は御幸との関係とかを聞いてみたかったのに、共通の人物が夫なので夫の話から自分の感じる不満の方に話が派生していった。というか、多分その方に誘導されて行ったのだと思う。
途中から、森さんは相槌だけでずっと聞いてくれていた。
頭の回転の早い人で、口下手な私の話も言いたいこととして理解してくれる。
普段、話を義家族も聞いてはくれるのだけれど、うまく説明できないからどこかで知らず知らずに溜め込んでいたようだ。
話しているうちに、千草は涙を流していた。
気がついたら森さんが隣に立ってて、背中を擦ってくれていた。
仲の良い母親や姉だったり十年来の友人のような関係性の間柄の人がいたなら、こんな風にしてくれるのだろうか。
千草は良くも悪くも一人なのだと感じていた。
軽く泣いて、落ち着いた頃に
「よかったら私が少し留守番してますんで、ほんの少しでも自分の時間を今から謳歌してきたらどうですか?」
と、言ってくれたのだ。
思いがけない申し出だった。
もちろん、はじめはお断りもしたし当たり前に遠慮もしたが黄緑色のチャームが視界に入ったあたりで出かけようという気になってきたのが不思議だった。
「大丈夫ですよ。留守番しておきますから」
と、優しく言ってくれた。
普段ならあまり知らない人には強く持つ警戒心も、病んでる心には全く効き目がなく、素直に受け入れ
<散歩>と称したプチ家出をしたのだ。
惣菜を買ったのも、森さんの入知恵で、
「帰りにお酒か惣菜でも買ってさえ来れば、言い訳は何とでもできるので忘れずに。」
と、ウインクして送り出してくれた。
そして、夫が帰ってきたので帰宅することになったタイミングで
『ご主人が帰ってきたので、バトンタッチして帰りました。』
と、教えてくれた。
やっぱり例の御幸の関係者なのだろうか、それとも本当にただの夫の会社の同僚なのだろうか。
そう心配しているのが伝達したのか、
「今日チーフはまだ出先ですけど、結構遠いところですし、直帰予定でしたがこの後私達の報告も上に上げてからだと思うので、あと1~2時間くらいは帰ってきませんよ。」
と教えてくれた。
しかも、森さんはうちに着いたときに、まだ時間があるからと途中まで調理中だった夕食の匂いを嗅ぎつけたらしく、
「なんなら、調理のお手伝いしますよ。」とも申し出てくれた。
カウンターキッチンの良し悪しはこういうところだろう思う。流石に手伝ってもらうものでもないので、カウンター越しに聞いてもらった。
本当は御幸との関係とかを聞いてみたかったのに、共通の人物が夫なので夫の話から自分の感じる不満の方に話が派生していった。というか、多分その方に誘導されて行ったのだと思う。
途中から、森さんは相槌だけでずっと聞いてくれていた。
頭の回転の早い人で、口下手な私の話も言いたいこととして理解してくれる。
普段、話を義家族も聞いてはくれるのだけれど、うまく説明できないからどこかで知らず知らずに溜め込んでいたようだ。
話しているうちに、千草は涙を流していた。
気がついたら森さんが隣に立ってて、背中を擦ってくれていた。
仲の良い母親や姉だったり十年来の友人のような関係性の間柄の人がいたなら、こんな風にしてくれるのだろうか。
千草は良くも悪くも一人なのだと感じていた。
軽く泣いて、落ち着いた頃に
「よかったら私が少し留守番してますんで、ほんの少しでも自分の時間を今から謳歌してきたらどうですか?」
と、言ってくれたのだ。
思いがけない申し出だった。
もちろん、はじめはお断りもしたし当たり前に遠慮もしたが黄緑色のチャームが視界に入ったあたりで出かけようという気になってきたのが不思議だった。
「大丈夫ですよ。留守番しておきますから」
と、優しく言ってくれた。
普段ならあまり知らない人には強く持つ警戒心も、病んでる心には全く効き目がなく、素直に受け入れ
<散歩>と称したプチ家出をしたのだ。
惣菜を買ったのも、森さんの入知恵で、
「帰りにお酒か惣菜でも買ってさえ来れば、言い訳は何とでもできるので忘れずに。」
と、ウインクして送り出してくれた。
そして、夫が帰ってきたので帰宅することになったタイミングで
『ご主人が帰ってきたので、バトンタッチして帰りました。』
と、教えてくれた。
やっぱり例の御幸の関係者なのだろうか、それとも本当にただの夫の会社の同僚なのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
愛のかたち
凛子
恋愛
プライドが邪魔をして素直になれない夫(白藤翔)。しかし夫の気持ちはちゃんと妻(彩華)に伝わっていた。そんな夫婦に訪れた突然の別れ。
ある人物の粋な計らいによって再会を果たした二人は……
情けない男の不器用な愛。
Husband's secret (夫の秘密)
設楽理沙
ライト文芸
果たして・・
秘密などあったのだろうか!
むちゃくちゃ、1回投稿文が短いです。(^^ゞ💦アセアセ
10秒~30秒?
何気ない隠し事が、とんでもないことに繋がっていくこともあるんですね。
❦ イラストはAI生成画像 自作
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる