煙の向こうに揺れる言葉

らぽしな

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エピソード13-3

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「佐々木さん、聞いてます?」
「…あ、ああ、まあ、なるほど。で、どうぞっていったの、うちの奥さん?」
すっかりタバコの火が根本近くまで進んでいたことに気づく。急いでもみ消し、2本めに火をつけた。

「そういえば、佐々木さんってタバコ吸うピッチ早いですよね。」
とその行動をみてすぐさま突っ込む。

「そうか?」
とりあえず、気持ちを平常心に戻してくれそうな無いようなので、相槌を打っておく。

「あ、そうそう、年間でタバコ代っていくらかかるか知ってますか?」
急に話が飛んだが、話題がそれたことに安堵し、あとに続く。

「いや、そういえばそういう風には考えたことないな。」
「そうですよね、普通考えませんよね。でも、この前、僕の妹がねテレビ見たらしくて自慢気に教えてくれたんですよ。」
「へえ。」
上の空で聞くが、妹あたりには聞かせたく内容のように直感で思っている。

「佐々木さん、いくらだと思います?」
「もったいぶるなよ、いくらだよ。」

「1日二箱として、年間でざっと、30万。」
指で3と0を表して見せる。

「は?そ、そんなに?」
予想以上の金額で一瞬驚いた。
「ね、びっくりでしょ。」
「まあ、ちょっと驚いたけれど、今はそんな事よりも、森さんがウチに来るっていう方が僕的にはびっくりだよ。」
と、灰を落とす。

今は、年額の計算なんて僕的にはどうでもいい。
不景気だが、タバコは税金が高い分、世の中を回している…はずだ。つまり、タバコを吸うことで僕は、少しだけでも地域貢献しているとも言える。

タバコ代は小遣いの範囲と捉えていし、他になにかに使うこともないから。
まあ妻がこの件を言ってきたら真剣に考えよう。
高橋がどこかで聞いたくらいだ、妹の耳にいずれ入るし、そうすれば喫煙反対派の妹はここぞとばかりに妻をそそのかし、僕からタバコを取り上げるために画策するに違いない。

そんなことを匡尋が思っているよりも前に、妻が行動を起こしていたなんて知りもしないのだけれど。

「まったく、そういうところ淡白だな佐々木さんは。訪問の件は、その時の奥さんもびっくりしてたようですけどね、汐音ちゃんにせがまれて渋々って感じでしたけど、まあ最後にはしょうがないわねって。だから、便乗して、僕もお願いしますって言いました。」

「お前な、そこは適当に流せよ。そういう事が伝わらないのが一番の驚きだよ。」
やっとの思いで言いたいことを、迷惑そうに言い放った。

だが、その機転の良さは彼の良さでもある。
仕事でそういう機敏さは、必要な武器なのである。
だがこの場合は…。

「森さんだけだと、話も詰まるかと思って便乗しちゃいました。佐々木さんも困るでしょ、森さんだけだと。」
と言いながら、若干ニヤついている。
「何が困るんだよ、何が。何もやましい事もない。堂々としていれば怪しさなんてない。悪い事は何一つしてない。むしろ、良い事をした。」
はずだった。

唯一、自分のやましさを除けば。

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