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アズサと図書館で話し始めてからある程度時間が過ぎた。
「それじゃ、そろそろ帰らせてもらうわ。だいぶ暇も潰せただろ」
「あら、こんな広い空間にこんな可憐な女性を再び一人ぼっちにさせようというのかしら。男の風上にも置けない人間ね」
「可憐とか自分で言うのかよ。っていうか俺にも用事があるんだよ」
「急ぎの用なの?」
「まあ、微妙だけど」
「何の用事?」
「依頼所に行くだけだよ。それで、よさそうな依頼があればそれを受ける」
「依頼所? あなた魔法が使えるのにお金がないの?」
アズサは少し驚く。
この国は魔法が使える者は基本的に色々な面で好待遇になることが多い。
例えば労働の賃金においてもそれは顕著で魔法が扱える人間が金欠というのは珍しいことだった。
「言ってなかったが、俺はこことは違う小さな村みたいなところからこの街に来た。だから、もともとこの街にいるやつと違って金に蓄えがあるわけでもない。それで、この街の依頼所に行って金を稼いでる。どこかの店で働くよりよっぽど気が楽だし、金銭面的にも助かるしな」
「あら、そうだったの」
アズサはそう言って、指に顎を乗せ考える仕草をした。
「あら、そうだったんですよ。それじゃな」
そう言ってナオトは図書館から出ようと席を立つ。
「待ちなさい」
「まだ何かあるのか?」
「その依頼所、私も一緒に行くわ」
「えっ………………いや、何言ってるんだよお前。依頼所だぞ………行ってどうするんだよ………」
突拍子もないその言葉に驚きナオトはところどころ言葉に詰まりながら話した。
「あなたが受ける依頼を一緒にこなすのよ。それ以外に何があるというの」
「バカ言うな。依頼所に来る基本的な依頼っていうのは街の周辺に出現するモンスターの討伐が基本だ。もちろん他の雑用的な仕事が無いわけでもないけど。それがわかってて言ってるのか」
「当然じゃない。そもそもモンスター討伐依頼を出しているのは私達王族側の人間なのよ。それを依頼所が仲介してあなた達のような人に斡旋しているの。知らないはずがないわ」
「だったらなおさらなんで行くとか言い出してるんだよ。一歩間違えれば命を落とすことにもなるんだぞ」
「私に限ってそれは無いわ」
そう端的に言ってのけるアズサに多少苛立ちを覚えながらも、ナオトは言葉を続ける。
「少しばかり戦いが上手いからって調子に乗るなよ。訓練と実戦じゃ全然違う。お前実戦での戦闘経験あるのかよ」
「私は王族の人間よ。命がけの戦闘?そんなものあると思う?」
「おい!!!」
アズサのすっとぼけた回答にナオトは面をくらった。
「………でも、だからこそ行かなければならないの。私がもっと強くなるために」
それまでの会話口調から一転し、彼女のその言葉には強い意志がこもる。
その言葉の一字一句から彼女の覚悟が窺えた。
「お前…なんでそんなに強くなろうとしてるんだよ」
「言ったでしょう。野心があると。叶えたい願いがあるの。それを叶えるには私は強くならなければならない」
アズサのその言葉はとても力強かったと同時にどこか危うさもあった。それでもアズサの目は本気の眼差しでナオトを捕らえて止まなかった。
「...お前が負けず嫌いな理由、何となくだけどわかった気がする」
「急に何かしら。話を逸らさないでくれる」
「いや、俺の中では一緒に行くかって言ったつもりなんだけど」
「...わけがわかないわ。話の文脈がまるで通っていないわよ」
「悪かったよ。でも最悪命を落とす可能性もある。本当にいいのか?」
ナオトがそう言うとアズサは何も言わなかった。代わりにただその力強い目でナオトを見ていた。
「わかったよ」
ナオトがそう言うとアズサと共に図書館を出て依頼所に向かった。
「それじゃ、そろそろ帰らせてもらうわ。だいぶ暇も潰せただろ」
「あら、こんな広い空間にこんな可憐な女性を再び一人ぼっちにさせようというのかしら。男の風上にも置けない人間ね」
「可憐とか自分で言うのかよ。っていうか俺にも用事があるんだよ」
「急ぎの用なの?」
「まあ、微妙だけど」
「何の用事?」
「依頼所に行くだけだよ。それで、よさそうな依頼があればそれを受ける」
「依頼所? あなた魔法が使えるのにお金がないの?」
アズサは少し驚く。
この国は魔法が使える者は基本的に色々な面で好待遇になることが多い。
例えば労働の賃金においてもそれは顕著で魔法が扱える人間が金欠というのは珍しいことだった。
「言ってなかったが、俺はこことは違う小さな村みたいなところからこの街に来た。だから、もともとこの街にいるやつと違って金に蓄えがあるわけでもない。それで、この街の依頼所に行って金を稼いでる。どこかの店で働くよりよっぽど気が楽だし、金銭面的にも助かるしな」
「あら、そうだったの」
アズサはそう言って、指に顎を乗せ考える仕草をした。
「あら、そうだったんですよ。それじゃな」
そう言ってナオトは図書館から出ようと席を立つ。
「待ちなさい」
「まだ何かあるのか?」
「その依頼所、私も一緒に行くわ」
「えっ………………いや、何言ってるんだよお前。依頼所だぞ………行ってどうするんだよ………」
突拍子もないその言葉に驚きナオトはところどころ言葉に詰まりながら話した。
「あなたが受ける依頼を一緒にこなすのよ。それ以外に何があるというの」
「バカ言うな。依頼所に来る基本的な依頼っていうのは街の周辺に出現するモンスターの討伐が基本だ。もちろん他の雑用的な仕事が無いわけでもないけど。それがわかってて言ってるのか」
「当然じゃない。そもそもモンスター討伐依頼を出しているのは私達王族側の人間なのよ。それを依頼所が仲介してあなた達のような人に斡旋しているの。知らないはずがないわ」
「だったらなおさらなんで行くとか言い出してるんだよ。一歩間違えれば命を落とすことにもなるんだぞ」
「私に限ってそれは無いわ」
そう端的に言ってのけるアズサに多少苛立ちを覚えながらも、ナオトは言葉を続ける。
「少しばかり戦いが上手いからって調子に乗るなよ。訓練と実戦じゃ全然違う。お前実戦での戦闘経験あるのかよ」
「私は王族の人間よ。命がけの戦闘?そんなものあると思う?」
「おい!!!」
アズサのすっとぼけた回答にナオトは面をくらった。
「………でも、だからこそ行かなければならないの。私がもっと強くなるために」
それまでの会話口調から一転し、彼女のその言葉には強い意志がこもる。
その言葉の一字一句から彼女の覚悟が窺えた。
「お前…なんでそんなに強くなろうとしてるんだよ」
「言ったでしょう。野心があると。叶えたい願いがあるの。それを叶えるには私は強くならなければならない」
アズサのその言葉はとても力強かったと同時にどこか危うさもあった。それでもアズサの目は本気の眼差しでナオトを捕らえて止まなかった。
「...お前が負けず嫌いな理由、何となくだけどわかった気がする」
「急に何かしら。話を逸らさないでくれる」
「いや、俺の中では一緒に行くかって言ったつもりなんだけど」
「...わけがわかないわ。話の文脈がまるで通っていないわよ」
「悪かったよ。でも最悪命を落とす可能性もある。本当にいいのか?」
ナオトがそう言うとアズサは何も言わなかった。代わりにただその力強い目でナオトを見ていた。
「わかったよ」
ナオトがそう言うとアズサと共に図書館を出て依頼所に向かった。
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