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8 sideアズサ
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side アズサ
アズサは走った。道なき道を。それでもアズサの呼吸は一向に乱れることを知らなかった。
その時のアズサは不思議な感覚に襲われていた。体は燃えるように熱いのに、心はなぜか氷のように冷たいそんな感覚だった。
どうしてそんな感覚に自分が襲われているのか疑う余地は無かった。ただ、あの小さな少女を助けたい。そう思ったからだった。
そんなアズサの感覚はいつもより数段研ぎ澄まされていた。いつもなら気づくはずのない木の一本一本、そしてその枝の細部までアズサは見逃さなかった。
(枝が折れている……)
アズサは立ち止まった。
木から生えている枝先の一つがポッキリと折れていた。ほんの小さな異変で普通に走りされば気づくことのできないほどのものだった。
それでもアズサはそこに何かを感じ取った。折れた枝の木がある先を見つめると、奥にも同じような痕跡がある。しかも、奥に行けば行くほどその痕跡はよりくっきりと誰が見ても分かるようになっていた。
間違いない。アズサは思った。この先に討伐依頼のモンスターがいると。再びアズサは全速力で走った。一心不乱に駆け抜けると、目の前に大きい人影のような姿が目に入った。
灰色の毛並み、大きな巨体、間違いなくマウントゴリラだった。
(悪いわねタチバナ君。あなたの出番、私がもらうわ)
アズサは先端が少し尖った氷を数個精製し、木々の間を縫うようにその氷をモンスターに向かって放つ。
ドドドッという音とともにその人影はアズサから見てより前方に飛ばされ前のめりに倒れた。
「ひいっっ」
マウントゴリラがいた場所にアズサが到着すると、人が一人背の部分を上にして倒れ込むように座りながら怯えていた。
「あなた、あの子の父親ね」
アズサは怯えている、男性に声をかけた。
「あ、あなたは?」
「そうね...……まあ、正義のミナハナ強盗団とでも呼んでもらおうかしら」
アズサは依頼場でナオトに言われたことを思い出しながら自分とナオトの名前を文字って言った。
「正義のミナハナ強盗団...それって正義なのか悪なのかどっちなんですか。っていうか、1人しか居ないように見えるんですけど...」
男はポカンとした態度で質問する。
「...まともに返されると困るのだけれど」
「ご、ごめんなさい」
「まあ、いいわ。あとは私に任せてあなたは逃げなさい」
「そんな!あなたはどうするんです」
「私はあれを倒すわ」
そう言ってアズサは目の前にうつ伏せで倒れているモンスターに目を向ける。
アズサがそう言ったすぐ後、マウントゴリラはゆっくりと立ち上がり、アズサの方を向き直った。
「ウッ、ウホーーー」
モンスターの叫び声が周辺に轟く。周囲の木々が揺れ、空気が振動する。
もう既に日が傾き始めていた。周囲の木々はその夕日に照らされオレンジ色に色付けされていた。
(この場所、槍を大きく振り回す事はできない。それでも、全くないわけじゃない)
アズサは瞬時に判断する。密集というほどに木々が乱立しているわけではないが、だからといって、広大なスペースがあるかと言われればそうでもない現状を。
(この程度なら全く問題ない!)
アズサはすぐさま右手に氷の槍を作る。そしてすぐにモンスターとの距離を詰める。
「はぁぁぁ!」
アズサは振りかぶった氷の槍を目の前の敵に向かって振り下ろす。
「ウホッ!」
マウントゴリラはアズサの攻撃をまともに受けた。アズサはすぐさま追撃をかける。振り下ろした氷の槍を再度、振り上げるように斜め上に切りあげながら連続の突きを浴びせる。
「ウホホホッ!」
マウントゴリラはアズサの攻撃に後ずさる。その後もアズサは攻撃をやめなかった。マウントゴリラはどんどん後退していく。
あきらかにアズサが押していた。
(いける! 私だけの力で!)
アズサは強く確信した。
しかし、アズサの攻撃が止んだほんの一瞬、マウントゴリラはアズサと逆方向に4足歩行で走り逃げた。
「待ちなさい!」
アズサは追いかけた。するとすぐにマウントゴリラは反転してアズサにカウンターがかったパンチを仕掛けた。
「くっ!」
アズサは氷の槍の柄の部分でなんとか防ぐ。
「ウホホホー!」
今度はマウントゴリラが攻撃を開始する。その両手でアズサの体を殴りにかかった。アズサの体めがけて何度も何度もパンチを繰り返す。しかし、アズサはその全てを受け切った。
「ウホー?」
「...あら、これで終わりかしら」
マウントゴリラの攻撃が止んだ。そしてマウントゴリラは気付いた。目の前にまだ人間が一人立っていることに。
「ウホーーー!」
マウントゴリラは再び後ろ向きで逃げだす。しかし、アズサは最初と同じように、マウントゴリラを追いかけながら再度先端が少し尖った氷を数個作り出し、マウントゴリラの背中を目がけて追い討ちをかける。
「ウッ、ホッ、、、」
マウントゴリラはアズサの氷を背中に受けて、その勢いのまま前のめりにたおれる。ちょうど、マウントゴリラが倒れ込んだ先に大きな枯れ木の大木が一本あり、ドンと前のめりに倒れたマウントゴリラは額をその枯れ木の大木にぶつけた。
マウントゴリラはゆっくりと起き上がりアズサの方に向き直る。しかし、すぐにアズサはマウントゴリラの腹部周辺に氷の輪を作り、枯れ木に止め合わせるようにしてマウントゴリラの体を固定した。
マウントゴリラはその氷を外そうと自分の両腕をその氷にかけ、抜け出そうともがくが、抜け出せる気配はなかった。
アズサはマウントゴリラにとどめを刺すために上空に氷の槍を作り出した。そして、それは見る見るうちにアズサの魔力によって大きくなっていく。
この時のアズサは少なからず油断していた。もうこれで勝負がついたと。
アズサがそう思っていたとき、目の前の枯れ木に括り付けられているマウントゴリラが、ウホーというものすごい雄叫びを発した。
そして、今度はドンドンドンドンと自分の胸を叩き、ドラミングを始めた。アズサにはマウントゴリラが何をやっているのか意味がわからなかったが、何をやっても無意味だと思っていた。
なぜなら、アズサが上空に出現させた氷の槍は既に形が完成されて、あとはマウントゴリラめがけて、放つのみだったから。
ほとんど暮れかけた夕日がその氷を照らし、水色の巨大な氷の槍はまるでオレンジ色に燃えているようだった。
「ウホーーー!!!」
その雄叫びとともにマウントゴリラのドラミングが止む。そして、マウントゴリラは上空にある氷の槍に目線を向けて顔を上げる。そして大きく口を開く。
「何をしてももう遅いわ!これで終わりよ! アイス カノン!」
アズサは上空にあった氷の槍をマウントゴリラめがけて放つ。だが、瞬間マウントゴリラの口から何か突風のような重たい空気がその氷の槍めがけて一直線に飛んで行く。
(これは、空気砲! まさか、さっきのドラミングは自分の肺に魔力を集めて空気を肺の中で圧縮していたの!?)
豪快な音と共に、アズサの氷の槍は上空でパラパラと砕け散った。
マウントゴリラはニヤリと笑い、今度は自分の両腕で後ろの枯れ木を掴み、その腕の力のみで枯れ木を根元から引っ張り上げた。
「そんな...」
氷と枯れ木は一体となっているのでマウントゴリラは背に一本の枯れ木を背負った形になったが逆にその姿がマウントゴリラの力が誇示されているようで恐ろしかった。
自分の渾身の一撃を相手に止められてしまい、アズサは動揺した。そしてすぐさま、アズサはマウントゴリラとの距離を詰めた。
自分が動揺していることに気づいていないアズサはマウントゴリラに遭遇した当初とは違い、何の考えもなしにただ闇雲に突っ込んだ。
マウントゴリラとの距離がほとんどゼロ距離になった瞬間、なぜかアズサは急に体勢を崩し片膝をつく。何かに左の片足がつまずき体の体勢が保てなかった。その左足の部分にはなぜか少し大きくて浅めの不自然な窪みがあった。
(これは、まさか!?)
アズサが気付いた時にはすでに遅かった。マウントゴリラは腕を大きく振りかぶり、アズサに向かって渾身の一撃をぶちまけた。
「がっ...」
息もできないほどの痛みがアズサを襲い、アズサは大きく後ろに吹き飛ばされた。
アズサは走った。道なき道を。それでもアズサの呼吸は一向に乱れることを知らなかった。
その時のアズサは不思議な感覚に襲われていた。体は燃えるように熱いのに、心はなぜか氷のように冷たいそんな感覚だった。
どうしてそんな感覚に自分が襲われているのか疑う余地は無かった。ただ、あの小さな少女を助けたい。そう思ったからだった。
そんなアズサの感覚はいつもより数段研ぎ澄まされていた。いつもなら気づくはずのない木の一本一本、そしてその枝の細部までアズサは見逃さなかった。
(枝が折れている……)
アズサは立ち止まった。
木から生えている枝先の一つがポッキリと折れていた。ほんの小さな異変で普通に走りされば気づくことのできないほどのものだった。
それでもアズサはそこに何かを感じ取った。折れた枝の木がある先を見つめると、奥にも同じような痕跡がある。しかも、奥に行けば行くほどその痕跡はよりくっきりと誰が見ても分かるようになっていた。
間違いない。アズサは思った。この先に討伐依頼のモンスターがいると。再びアズサは全速力で走った。一心不乱に駆け抜けると、目の前に大きい人影のような姿が目に入った。
灰色の毛並み、大きな巨体、間違いなくマウントゴリラだった。
(悪いわねタチバナ君。あなたの出番、私がもらうわ)
アズサは先端が少し尖った氷を数個精製し、木々の間を縫うようにその氷をモンスターに向かって放つ。
ドドドッという音とともにその人影はアズサから見てより前方に飛ばされ前のめりに倒れた。
「ひいっっ」
マウントゴリラがいた場所にアズサが到着すると、人が一人背の部分を上にして倒れ込むように座りながら怯えていた。
「あなた、あの子の父親ね」
アズサは怯えている、男性に声をかけた。
「あ、あなたは?」
「そうね...……まあ、正義のミナハナ強盗団とでも呼んでもらおうかしら」
アズサは依頼場でナオトに言われたことを思い出しながら自分とナオトの名前を文字って言った。
「正義のミナハナ強盗団...それって正義なのか悪なのかどっちなんですか。っていうか、1人しか居ないように見えるんですけど...」
男はポカンとした態度で質問する。
「...まともに返されると困るのだけれど」
「ご、ごめんなさい」
「まあ、いいわ。あとは私に任せてあなたは逃げなさい」
「そんな!あなたはどうするんです」
「私はあれを倒すわ」
そう言ってアズサは目の前にうつ伏せで倒れているモンスターに目を向ける。
アズサがそう言ったすぐ後、マウントゴリラはゆっくりと立ち上がり、アズサの方を向き直った。
「ウッ、ウホーーー」
モンスターの叫び声が周辺に轟く。周囲の木々が揺れ、空気が振動する。
もう既に日が傾き始めていた。周囲の木々はその夕日に照らされオレンジ色に色付けされていた。
(この場所、槍を大きく振り回す事はできない。それでも、全くないわけじゃない)
アズサは瞬時に判断する。密集というほどに木々が乱立しているわけではないが、だからといって、広大なスペースがあるかと言われればそうでもない現状を。
(この程度なら全く問題ない!)
アズサはすぐさま右手に氷の槍を作る。そしてすぐにモンスターとの距離を詰める。
「はぁぁぁ!」
アズサは振りかぶった氷の槍を目の前の敵に向かって振り下ろす。
「ウホッ!」
マウントゴリラはアズサの攻撃をまともに受けた。アズサはすぐさま追撃をかける。振り下ろした氷の槍を再度、振り上げるように斜め上に切りあげながら連続の突きを浴びせる。
「ウホホホッ!」
マウントゴリラはアズサの攻撃に後ずさる。その後もアズサは攻撃をやめなかった。マウントゴリラはどんどん後退していく。
あきらかにアズサが押していた。
(いける! 私だけの力で!)
アズサは強く確信した。
しかし、アズサの攻撃が止んだほんの一瞬、マウントゴリラはアズサと逆方向に4足歩行で走り逃げた。
「待ちなさい!」
アズサは追いかけた。するとすぐにマウントゴリラは反転してアズサにカウンターがかったパンチを仕掛けた。
「くっ!」
アズサは氷の槍の柄の部分でなんとか防ぐ。
「ウホホホー!」
今度はマウントゴリラが攻撃を開始する。その両手でアズサの体を殴りにかかった。アズサの体めがけて何度も何度もパンチを繰り返す。しかし、アズサはその全てを受け切った。
「ウホー?」
「...あら、これで終わりかしら」
マウントゴリラの攻撃が止んだ。そしてマウントゴリラは気付いた。目の前にまだ人間が一人立っていることに。
「ウホーーー!」
マウントゴリラは再び後ろ向きで逃げだす。しかし、アズサは最初と同じように、マウントゴリラを追いかけながら再度先端が少し尖った氷を数個作り出し、マウントゴリラの背中を目がけて追い討ちをかける。
「ウッ、ホッ、、、」
マウントゴリラはアズサの氷を背中に受けて、その勢いのまま前のめりにたおれる。ちょうど、マウントゴリラが倒れ込んだ先に大きな枯れ木の大木が一本あり、ドンと前のめりに倒れたマウントゴリラは額をその枯れ木の大木にぶつけた。
マウントゴリラはゆっくりと起き上がりアズサの方に向き直る。しかし、すぐにアズサはマウントゴリラの腹部周辺に氷の輪を作り、枯れ木に止め合わせるようにしてマウントゴリラの体を固定した。
マウントゴリラはその氷を外そうと自分の両腕をその氷にかけ、抜け出そうともがくが、抜け出せる気配はなかった。
アズサはマウントゴリラにとどめを刺すために上空に氷の槍を作り出した。そして、それは見る見るうちにアズサの魔力によって大きくなっていく。
この時のアズサは少なからず油断していた。もうこれで勝負がついたと。
アズサがそう思っていたとき、目の前の枯れ木に括り付けられているマウントゴリラが、ウホーというものすごい雄叫びを発した。
そして、今度はドンドンドンドンと自分の胸を叩き、ドラミングを始めた。アズサにはマウントゴリラが何をやっているのか意味がわからなかったが、何をやっても無意味だと思っていた。
なぜなら、アズサが上空に出現させた氷の槍は既に形が完成されて、あとはマウントゴリラめがけて、放つのみだったから。
ほとんど暮れかけた夕日がその氷を照らし、水色の巨大な氷の槍はまるでオレンジ色に燃えているようだった。
「ウホーーー!!!」
その雄叫びとともにマウントゴリラのドラミングが止む。そして、マウントゴリラは上空にある氷の槍に目線を向けて顔を上げる。そして大きく口を開く。
「何をしてももう遅いわ!これで終わりよ! アイス カノン!」
アズサは上空にあった氷の槍をマウントゴリラめがけて放つ。だが、瞬間マウントゴリラの口から何か突風のような重たい空気がその氷の槍めがけて一直線に飛んで行く。
(これは、空気砲! まさか、さっきのドラミングは自分の肺に魔力を集めて空気を肺の中で圧縮していたの!?)
豪快な音と共に、アズサの氷の槍は上空でパラパラと砕け散った。
マウントゴリラはニヤリと笑い、今度は自分の両腕で後ろの枯れ木を掴み、その腕の力のみで枯れ木を根元から引っ張り上げた。
「そんな...」
氷と枯れ木は一体となっているのでマウントゴリラは背に一本の枯れ木を背負った形になったが逆にその姿がマウントゴリラの力が誇示されているようで恐ろしかった。
自分の渾身の一撃を相手に止められてしまい、アズサは動揺した。そしてすぐさま、アズサはマウントゴリラとの距離を詰めた。
自分が動揺していることに気づいていないアズサはマウントゴリラに遭遇した当初とは違い、何の考えもなしにただ闇雲に突っ込んだ。
マウントゴリラとの距離がほとんどゼロ距離になった瞬間、なぜかアズサは急に体勢を崩し片膝をつく。何かに左の片足がつまずき体の体勢が保てなかった。その左足の部分にはなぜか少し大きくて浅めの不自然な窪みがあった。
(これは、まさか!?)
アズサが気付いた時にはすでに遅かった。マウントゴリラは腕を大きく振りかぶり、アズサに向かって渾身の一撃をぶちまけた。
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