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アオイ先生がお開きを発した後ナオトはすぐに帰宅しようとした。
しかし、後ろからトントンと肩を叩かれ振り返るとそこにはユウナがいた。
「あの、タチバナ君がもしよければだけど昨日助けてくれたお礼に食事でもって思ったんだけどどうかな?この近くに美味しいケーキのお店があるんだ」
ユウナは少し緊張したような態度で顔が強張る。
「昨日も言ったけどたいしたことはしてないから。そんなに気にしなくていいよ」
「ケーキとかあんまり好きじゃなかった?」
ナオトが遠回しにユウナの提案を拒否すると、それを感じとったのかユウナは申し訳なさそうに言った。
「いや、別にそう言うわけじゃないけど...」
「あ、もちろんタチバナ君の分も私が出すよ!値段とかは気にしないで!」
別にそんなことを気にしているわけではなかったが、そう言われると逆にいくらくらいの値段がするのか気になった。
そして値段を聞いた後に昨日五十万ベルの収入を得たことを告げて小金持ちマウントでもとってやろうかと一瞬思ったがあまりにも馬鹿馬鹿しすぎたのでやめた。
ともかく何はともあれナオトはユウナの提案を否定しないわけにはいかなかった。
「…俺に関わらない方がいいと思うよ。イズミがこの学校で楽しく学園生活送りたいなら」
ユウナはナオトのその言葉を聞いて少し黙り込んでいた。そして、意を決したような表情を浮かべてナオトに聞き返した。
「それってタチバナ君があのタチバナ・ソウイチロウの息子ってこと?」
ユウナがその質問をするとあたりの空気は一変してまだその場に残ってるクラスの人達の話し声が急に小さくなった。
ナオトはチラッと一瞬だけ辺りを見渡す。
もともとあまり誰とも関らず過ごしていこうと思っていたナオトにとってその質問は随分と早かった。
当然それをされるだろうこと自体は想定していた。しかし、入学後二日目でされるのは少し想定外だった。
タチバナ・ソウイチロウ。今では世紀の大罪人の代名詞としてその名は広まっている。
十年前の魔術大戦。そのノクタリアのリーダー。そして、世間では多くの民を惑わし戦争を幇助した稀代のペテン師と呼ばれていた。
ナオトの回答を待っていたのは目の前にいるユウナだけではなかった。
まだその場にに残っている生徒全員がナオトがどう答えるのか聞き耳を立てていた。ただ、アオイ先生だけは興味もないと言わんばかりにさっさと教室から退出した。
そんな彼らの様子にはさすがに気づいていたナオトはユウナ以外の全員に鋭い目つきで物凄い殺気を放った。
すると彼らはおどおどとした態度で速やかに教室からいなくなった。
「………そうかもな」
ナオトが殺気を放った後、ほんの少しだけ間をおいてぼそっと呟いた。
ナオトのどこか曖昧な答えに対してユウナはナオトの顔をまじまじとじ見る。そして何かに納得したようにうんと頷いてウソと言い放った。
「えっ?」
ナオトはよく意味がわからなかった。
「ウソだよ。タチバナ君はタチバナ・ソウイチロウの子供じゃないよ」
「はっ?………なんでそんなことわかるんだよ?」
「んーこれは自慢だけど私ってけっこう他人のウソを見抜くの得意だから!」
ユウナは優しく笑ってキッパリ答える。
「待て。それって何の証拠もないってことだよな?」
「うん!つまり私のカン!」
今までこの名前で他人から白い目で見られることの多かったナオトにとってほぼ初対面のユウナのその言葉と表情は非常に新鮮だった。
そもそもタチバナ・ソウイチロウの息子であるという断定的な表現をしていないナオトにとってウソというユウナの異議申し立ては少しおかしくはある。
しかし、そんな細かなことよりユウナの全く根拠もない自信だけを後ろ盾にして相手の弱点を撃ち抜くように笑うユウナの態度にナオトの心は大いに揺さぶられた。
そして心の中でははっと笑う。
「………イズミやっぱり食べに行ってもいいか?ケーキ」
ナオトが少し申し訳なさそうに言うとユウナはそんなナオトのことを気にも止めずに笑顔で言った。
「うん!行こう!」
しかし、後ろからトントンと肩を叩かれ振り返るとそこにはユウナがいた。
「あの、タチバナ君がもしよければだけど昨日助けてくれたお礼に食事でもって思ったんだけどどうかな?この近くに美味しいケーキのお店があるんだ」
ユウナは少し緊張したような態度で顔が強張る。
「昨日も言ったけどたいしたことはしてないから。そんなに気にしなくていいよ」
「ケーキとかあんまり好きじゃなかった?」
ナオトが遠回しにユウナの提案を拒否すると、それを感じとったのかユウナは申し訳なさそうに言った。
「いや、別にそう言うわけじゃないけど...」
「あ、もちろんタチバナ君の分も私が出すよ!値段とかは気にしないで!」
別にそんなことを気にしているわけではなかったが、そう言われると逆にいくらくらいの値段がするのか気になった。
そして値段を聞いた後に昨日五十万ベルの収入を得たことを告げて小金持ちマウントでもとってやろうかと一瞬思ったがあまりにも馬鹿馬鹿しすぎたのでやめた。
ともかく何はともあれナオトはユウナの提案を否定しないわけにはいかなかった。
「…俺に関わらない方がいいと思うよ。イズミがこの学校で楽しく学園生活送りたいなら」
ユウナはナオトのその言葉を聞いて少し黙り込んでいた。そして、意を決したような表情を浮かべてナオトに聞き返した。
「それってタチバナ君があのタチバナ・ソウイチロウの息子ってこと?」
ユウナがその質問をするとあたりの空気は一変してまだその場に残ってるクラスの人達の話し声が急に小さくなった。
ナオトはチラッと一瞬だけ辺りを見渡す。
もともとあまり誰とも関らず過ごしていこうと思っていたナオトにとってその質問は随分と早かった。
当然それをされるだろうこと自体は想定していた。しかし、入学後二日目でされるのは少し想定外だった。
タチバナ・ソウイチロウ。今では世紀の大罪人の代名詞としてその名は広まっている。
十年前の魔術大戦。そのノクタリアのリーダー。そして、世間では多くの民を惑わし戦争を幇助した稀代のペテン師と呼ばれていた。
ナオトの回答を待っていたのは目の前にいるユウナだけではなかった。
まだその場にに残っている生徒全員がナオトがどう答えるのか聞き耳を立てていた。ただ、アオイ先生だけは興味もないと言わんばかりにさっさと教室から退出した。
そんな彼らの様子にはさすがに気づいていたナオトはユウナ以外の全員に鋭い目つきで物凄い殺気を放った。
すると彼らはおどおどとした態度で速やかに教室からいなくなった。
「………そうかもな」
ナオトが殺気を放った後、ほんの少しだけ間をおいてぼそっと呟いた。
ナオトのどこか曖昧な答えに対してユウナはナオトの顔をまじまじとじ見る。そして何かに納得したようにうんと頷いてウソと言い放った。
「えっ?」
ナオトはよく意味がわからなかった。
「ウソだよ。タチバナ君はタチバナ・ソウイチロウの子供じゃないよ」
「はっ?………なんでそんなことわかるんだよ?」
「んーこれは自慢だけど私ってけっこう他人のウソを見抜くの得意だから!」
ユウナは優しく笑ってキッパリ答える。
「待て。それって何の証拠もないってことだよな?」
「うん!つまり私のカン!」
今までこの名前で他人から白い目で見られることの多かったナオトにとってほぼ初対面のユウナのその言葉と表情は非常に新鮮だった。
そもそもタチバナ・ソウイチロウの息子であるという断定的な表現をしていないナオトにとってウソというユウナの異議申し立ては少しおかしくはある。
しかし、そんな細かなことよりユウナの全く根拠もない自信だけを後ろ盾にして相手の弱点を撃ち抜くように笑うユウナの態度にナオトの心は大いに揺さぶられた。
そして心の中でははっと笑う。
「………イズミやっぱり食べに行ってもいいか?ケーキ」
ナオトが少し申し訳なさそうに言うとユウナはそんなナオトのことを気にも止めずに笑顔で言った。
「うん!行こう!」
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