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雪舞い散る真冬の1日
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彼女の死んだ日のことは今でも覚えてる
その日は皮肉にも彼女が憧れていた葉桜が舞い散る初夏だった
僕は昔から気になった事はとことん追求しないと気に食わない性格だった
彼女のいる病室に通うようになったのも最初は研究欲求からだった
彼女の病室は夏の日も冬の日も普通の人であれば厚着をしないと凍えてしまうような温度で
僕も彼女の病室に行く時は冬用のコートもっていっていた
彼女の病室に近づくだけで鳥肌がたつほどの冷気が病室から漏れ出ている
皮膚が凍って引っ付く程冷えたドアを開けるこんなにも寒いのに半袖で汗をかいている
見ただけだと彼女はただの暑がりの少女なんだけどな
「あっ!翔くん!今日も来てくれたの!も~大好き!」
「引っ付くな冷たい」
「およ?ごめんごめん」
全く 彼女は何故僕が病室に入ると抱きついてくるのか
僕の体温は高い方なので彼女は溶けてしまうかもしれないのにメリットなんてものはない
「なんで春奈は僕が病室に入る度に抱きついてくるんだ?溶けたいのか」
「ん~、人の温もりを感じたいからかな!それで溶けるのは本望だよ!」
ここでいう溶けるとは比喩ではなく彼女は本当に溶けてしまうのだ
[積雪病]
約1000万人に1人の割合で発症する奇病であり現代の医療技術では完治する事はできない
主な症状としては身体は氷のように冷たく肌は雪のように白くなるそして積雪病最大の特徴として積雪病患者は熱に弱い身体が温まると身体が溶け始めてしまい患者は死に至ってしまうさらに患者が亡くなる際は雪のように身体が散るらしい
「人に抱きついたせいで死んだなんて歴史に名を残すね」
「やったね~!死ぬ前になお残せるなんてこの上ない幸せだよね!」
彼女は子供のように元気に笑った
とても余命幾許もない少女には見えない
「ほら、また少し身体溶けてるよ」
「ありゃ?ホントだ」
「病院のコンビニでアイス買ってきたから食べな」
「わぁ~!ありがと!翔くん大好き!」
「だから抱きつくな」
僕は飛びかかってくる春奈を払い除けて自分用に買ってきたアイスの封を開ける
やっぱりアイスは抹茶に限る日本人ならば誰でもそう思うに違いない
「ちょっと!翔くん!私抹茶嫌いなんだけど!!」
「……春奈とは食の好みは合わなそうだ」
「食の好みはどうでもいいから違うアイス買ってきて!」
彼女はアイスに着いていた木のスプーンを齧りながら僕の肩を叩いてきた
「はぁ……わかったよバニラだったら食べれるよな?」
「バニラ大好き!あっ!間違ってもチョコミントは買ってこないでね?あんな歯磨き粉みたいなアイス嫌い!」
「とことん春奈とは食の好みは合わなそうだ」
「はい買ってきたよ」
「ありがと~!ちゃんとバニラだよね?」
「うん、チョコとミントが入ったバニラだよ」
「それってチョコミント味って言うんじゃないの?」
僕が買ってきたバニラアイスを渡すと彼女は恐る恐る封を開けバニラだとわかったのかバクバクと食べ始めた
「そんなに急いでもアイスは逃げないよ」
「ゆっくりしてたら溶けちゃうよ」
室温がマイナス近くあるこの部屋で溶けるわけないのになんならカチンコチンで食べにくい
「は~美味しかった!またお願いね!」
「僕、この病室に来る度に買ってきてるよね?」
「今度はチョコアイスお願いね」
「聞けよ」
僕は病室にくるといつも彼女とこんな風に他愛ない話をして帰る
「もうこんな時間か、僕もう帰るね」
「え~!帰っちゃやだ!泊まってってよ~!」
「こんな所に1晩もいたら凍えるわ」
「私の為に凍えてよ」
「じゃあ俺の為に帰らせてくれ」
「わかったよ……バイバ~イ!」
そう言うと彼女は手を振って送ってくれた
病室から出ると真冬の空気が暖かく感じる
その日は皮肉にも彼女が憧れていた葉桜が舞い散る初夏だった
僕は昔から気になった事はとことん追求しないと気に食わない性格だった
彼女のいる病室に通うようになったのも最初は研究欲求からだった
彼女の病室は夏の日も冬の日も普通の人であれば厚着をしないと凍えてしまうような温度で
僕も彼女の病室に行く時は冬用のコートもっていっていた
彼女の病室に近づくだけで鳥肌がたつほどの冷気が病室から漏れ出ている
皮膚が凍って引っ付く程冷えたドアを開けるこんなにも寒いのに半袖で汗をかいている
見ただけだと彼女はただの暑がりの少女なんだけどな
「あっ!翔くん!今日も来てくれたの!も~大好き!」
「引っ付くな冷たい」
「およ?ごめんごめん」
全く 彼女は何故僕が病室に入ると抱きついてくるのか
僕の体温は高い方なので彼女は溶けてしまうかもしれないのにメリットなんてものはない
「なんで春奈は僕が病室に入る度に抱きついてくるんだ?溶けたいのか」
「ん~、人の温もりを感じたいからかな!それで溶けるのは本望だよ!」
ここでいう溶けるとは比喩ではなく彼女は本当に溶けてしまうのだ
[積雪病]
約1000万人に1人の割合で発症する奇病であり現代の医療技術では完治する事はできない
主な症状としては身体は氷のように冷たく肌は雪のように白くなるそして積雪病最大の特徴として積雪病患者は熱に弱い身体が温まると身体が溶け始めてしまい患者は死に至ってしまうさらに患者が亡くなる際は雪のように身体が散るらしい
「人に抱きついたせいで死んだなんて歴史に名を残すね」
「やったね~!死ぬ前になお残せるなんてこの上ない幸せだよね!」
彼女は子供のように元気に笑った
とても余命幾許もない少女には見えない
「ほら、また少し身体溶けてるよ」
「ありゃ?ホントだ」
「病院のコンビニでアイス買ってきたから食べな」
「わぁ~!ありがと!翔くん大好き!」
「だから抱きつくな」
僕は飛びかかってくる春奈を払い除けて自分用に買ってきたアイスの封を開ける
やっぱりアイスは抹茶に限る日本人ならば誰でもそう思うに違いない
「ちょっと!翔くん!私抹茶嫌いなんだけど!!」
「……春奈とは食の好みは合わなそうだ」
「食の好みはどうでもいいから違うアイス買ってきて!」
彼女はアイスに着いていた木のスプーンを齧りながら僕の肩を叩いてきた
「はぁ……わかったよバニラだったら食べれるよな?」
「バニラ大好き!あっ!間違ってもチョコミントは買ってこないでね?あんな歯磨き粉みたいなアイス嫌い!」
「とことん春奈とは食の好みは合わなそうだ」
「はい買ってきたよ」
「ありがと~!ちゃんとバニラだよね?」
「うん、チョコとミントが入ったバニラだよ」
「それってチョコミント味って言うんじゃないの?」
僕が買ってきたバニラアイスを渡すと彼女は恐る恐る封を開けバニラだとわかったのかバクバクと食べ始めた
「そんなに急いでもアイスは逃げないよ」
「ゆっくりしてたら溶けちゃうよ」
室温がマイナス近くあるこの部屋で溶けるわけないのになんならカチンコチンで食べにくい
「は~美味しかった!またお願いね!」
「僕、この病室に来る度に買ってきてるよね?」
「今度はチョコアイスお願いね」
「聞けよ」
僕は病室にくるといつも彼女とこんな風に他愛ない話をして帰る
「もうこんな時間か、僕もう帰るね」
「え~!帰っちゃやだ!泊まってってよ~!」
「こんな所に1晩もいたら凍えるわ」
「私の為に凍えてよ」
「じゃあ俺の為に帰らせてくれ」
「わかったよ……バイバ~イ!」
そう言うと彼女は手を振って送ってくれた
病室から出ると真冬の空気が暖かく感じる
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