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元夫の苦難8
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友好国であるラル王国から留学生が来ている。
ラル王国の第二王女エリザベス・ラル姫殿下、第三王女シャルロッテ・ラル姫殿下はクロード殿下の婚約者の座を狙っている。この二人は問題ない。俺にとって気が重いのはラズ侯爵家のルイーザ嬢と兄のグルトの滞在だ。ラル王国とは貿易も盛んで交流も多く、グルトもよくラズ侯爵と共にマール公爵邸の夜会に訪ねていた。女好きのグルトはまだいい。問題なのはラズ侯爵令嬢である。
留学生の出迎えは生徒会役員全員で行った。挨拶を終えて、接待役の生徒と俺とクロード殿下以外は退室した。同級生の同性の生徒会役員が接待役を任される。ただ1年生はラル王国語を話せる役員がいなかったため、アリス・マートン侯爵令嬢に頼んだ。ラル王国語の基本しか理解していない彼女が流暢に話せるまで教えたのはレティシアだった。
自分が接待役に指名されないように必死に教える姿は可愛らしくビアード以外の役員も微笑ましく見ていた。
「リオ様、運命です!!まさかお会いできるなんて」
ラズ侯爵令嬢にうっとりした顔で見られている。会うたびに言われる言葉である。
「お久しぶりです。お困りの際はマートン侯爵令嬢に」
「私はリオ様に案内していただきます!!」
「申し訳ありません。仕事が立て込んでおります」
「お手伝いします!!お食事をご一緒に」
「お気遣いなく。殿下との晩餐を用意しておりますので」
「お約束をくださいませ」
「できません。すでに心に決めた令嬢がいます。俺はこれで」
退室したいがまだ役目を終えていないのでクロード殿下の傍に控えて逃げることにした。
ルイーザ・ラズは人の話を聞かない。兄は妹の様子を愉快に見ているだけで止めない。1度夜会で踊ってから会うたびに付き纏われている。婚約の打診はありがたいことに互いの家に利がないので出てこない。
今頃レティシアは何をしているんだろうか。俺とレティシアの関係は変わらない。いつもの淑やかな顔と笑みを向けられ挨拶をかわすだけ。そして仕事の手伝いも誘いも全て丁寧に断られる。
ビアードから向けられる視線は厳しいがそれはどうでもいい。
**
俺のクラスには留学生はいない。
「リオ様!!」
昼休みにラズ侯爵令嬢が教室に勢いよく駆けこんできた。
「お食事を一緒に」
「用がありますので」
「ルイーザ様!!」
アリス嬢が駆け込んできた。侯爵令嬢が走るのはどうかと思うけど何も言わない。
「食堂にご案内しますわ。マール様、失礼します」
アリス嬢がラズ侯爵令嬢の腕を引いて立ち去っていくので、俺は自分の部屋に避難する。レティシアにこれ以上誤解されたくないし彼女の相手もしたくない。
「本命に相手にされないのにな」
「羨ましいなら代ってほしい」
「いいや。俺はレティシア達とバカやってるほうが気が楽だ」
友人の自慢は無視した。ラズ侯爵令嬢達が早く帰国するのを祈るばかりだ。生徒会は留学生の接待班と執務班に分けられている。レティシアは執務班なので当分は会えない。ビアードがレティシアの分の仕事を提出し新しい仕事を受け取り出て行った。問題を起こしそうなレティシアを留学生と関わらせる気がないようだ。クロード殿下もレティシアが生徒会に顔を出さないのは了承している。
****
留学生の滞在中は空き時間は部屋に避難している。
昼休みに部屋で時間を潰しているとサイラスが訪ねてきた。
「リオ、レティシア嬢が会いに来てるけど、」
「まだいるか!?」
「ああ。待ってもらってる」
急いで教室に戻った。レティシアが俺に会いに来るのは珍しく朝からラズ侯爵令嬢にしつこく絡まれた嫌な気分が吹き飛んだ。
レティシアが俺を見て小さく笑った。やっと俺を意識してくれるようになったのだろうか。
「私、お願いがあります」
上目遣いで俺を見つめるレティシアからの願いはなんでも叶える。やっと俺の言葉を信じてくれたのだろうか。会うたびに口説いた甲斐があった。顔が緩みニヤケそうな顔をこらえて平静を装う。
「なに?」
「ラズ侯爵令嬢とお話してください。マール様の婚約者になるために令嬢達に決闘を申し込むほど追い詰められてますわ。」
レティシアの言葉に思考が止まった。
お願いって…。
「私が口を挟むのは筋違いです。ただ想いを傾けてくださる方とはどんな答えであれ真摯にお付き合いされたほうがいいですわ。それに一歩間違えれば外交問題です。私は失礼しますので1年1組まで送ってさしあげてくださいませ。」
子供に言い聞かせるようにゆっくりと紡がれるレティシアの言葉に一気に気分が落ち込む。後ろにいるラズ侯爵令嬢の存在に今更気付いた。俺の告白を聞き流し全く信じないレティシアにだけは言われたくない言葉だった。
「俺はその言葉は君にだけは言われたくないんだけど」
「はい?サイラス様、助けてください。言いたいことがわかりません」
レティシアの視線は俺から外れてサイラスに注がれている。助けを求める姿も不愉快で俺の期待を返して欲しい。
「リオの言葉を全部聞き流すからだと思うよ」
「私は遊びにお付き合いするほど暇でありません」
「常に本気だと言ってるだろう!!」
思わず声を荒げた。レティシアは気にせずいつもの上品な笑みを浮かべて俺を見つめた。
「言葉の捉え方は様々です。数多くの令嬢に囁かれた言葉に何も感じません。愛の言葉は望まれる方に捧げてください。ビアード公爵令嬢には不要ですわ。同じことをエイベルがしましたら沈めてますわよ。ラズ侯爵令嬢としっかりお話してくださいませ」
数多くの令嬢に囁く?望まれる方?
沈める・・?彼女の中では俺は許せない類の男ということか・・?
「リオ様」
聞こえる声の近さに我に返ると正面にラズ侯爵令嬢の顔があった。あまりの顔の近さに肩を押して離れるとうっとり見られて目を閉じられた。俺はレティシアが相手でも教室で口づけたりしないけど。たぶん・・。
肩から手を放して逃げよう。彼女と関わると碌なことがない。
「リオ様、私はいつでも構いません」
「俺が君に口づけることは絶対にないから」
「さっき、会いにきてくれて嬉しいって」
「あれは君への言葉じゃないから」
この状況でどうして自分に向けられた言葉と思ったんだ…。
俺がどんなに拒否しても彼女は気にしない。待てよ。レティシアは接待役ではない。
「なんでレティシアと一緒なんだ?」
「リオ様がビアード公爵令嬢を慕っていると教えてもらったので、私をリオ様の婚約者として認めてくださいと頼んだら快く身を引いてくれましたわ」
思考回路おかしくないか!?
俺が好きだと知ってて、レティシアに直談判?
俺に断られたからレティシアに認めさせる?
おかしい。またさらに誤解をされた気がする。なんで俺の邪魔をするんだよ。嫌がらせにしても悪質すぎないか・・・。
「俺は君を婚約者にしないと何度も言っている」
「私はリオ様に絶対に嫁ぎます。家を捨てても構いません。ビアード公爵令嬢は当主の指示に従うそうですわ。私は自分の意思で貴方に嫁ぎます」
「迷惑だ。俺は生涯の伴侶は決めている。愛人も持たない。君に全く興味がわかない」
終わりの見えない会話に嫌気がさしてきた。こんな妻をもらったら俺は国外逃亡する。レティシアを攫って二人で旅をするのもいいよな。
『恐れながらお二人共お立場を思い出してください。マール様は紳士としていかがなものかと。ラズ侯爵令嬢もラズ王国の淑女は声を荒げて、言葉を聞かないものなのですか?私にはお二人が上位貴族として相応しい行動されているようには見えません。私的な場では構いませんが公衆の場ということを思い出してくださいませ』
耳心地の良い声に振り返ると冷たい笑みを浮かべたレティシアがいた。レティシアの隣にサイラスがいるから呼びに行ったのか・・。
レティシアがラズ侯爵令嬢を連れて去っていった。時計を見るとすでに授業が始まっている時間だった。
サイラスにいたわるように肩を叩かれ、ようやく来た教師に哀れみの視線を向けられた。レティシアを呼ぶなら教師が収めて欲しかった。
***
翌朝、ラズ侯爵令嬢に待ち伏せされていた。
「リオ様、ビアード公爵令嬢は貴方と一緒になる女性は幸せになれないとおっしゃっていました。どうしてリオ様の良さもわからない方が好きなんですか?」
目の前の相手の所為で絶対にさらに俺の心象が悪くなった。
レティシアの中では数多の恋人がいる女好きだから。その言葉をそのまま自分にあてはまると思わないんだろうか。俺の中でのラズ侯爵令嬢の評価は外交問題になるから口に出せない。好きな気持ちに相手の想いは関係ない。
「好きだからレティシアの傍にいたいんだ。俺はレティシアよりも劣っているから認められないのは仕方ない。いずれ認めてもらえるように努力するだけだ。」
「どこがいいんですか?」
「出会ってからずっと恋い焦がれてたまらない。呆れるほど他人に優しいのに自分には無頓着。いつもは誰よりも凛とした美しい公爵令嬢なのに、ふとした仕草は」
「もういいです。ビアード公爵令嬢にマール様の言葉に寄り添えないと心は手に入らないと言われましたが無理ですわ」
「レティシアの魅力ならいくらでも話せるけど、必死に口説いているから邪魔はするな」
「リオ様が情熱的な方とは知りませんでした。でも悔しいので邪魔します」
「は?」
俺のラズ侯爵令嬢に付き纏われる日は終わりを告げた。ただ俺の平穏と引き換えにレティシアが犠牲になったとは思いもしなかった。
ラル王国の第二王女エリザベス・ラル姫殿下、第三王女シャルロッテ・ラル姫殿下はクロード殿下の婚約者の座を狙っている。この二人は問題ない。俺にとって気が重いのはラズ侯爵家のルイーザ嬢と兄のグルトの滞在だ。ラル王国とは貿易も盛んで交流も多く、グルトもよくラズ侯爵と共にマール公爵邸の夜会に訪ねていた。女好きのグルトはまだいい。問題なのはラズ侯爵令嬢である。
留学生の出迎えは生徒会役員全員で行った。挨拶を終えて、接待役の生徒と俺とクロード殿下以外は退室した。同級生の同性の生徒会役員が接待役を任される。ただ1年生はラル王国語を話せる役員がいなかったため、アリス・マートン侯爵令嬢に頼んだ。ラル王国語の基本しか理解していない彼女が流暢に話せるまで教えたのはレティシアだった。
自分が接待役に指名されないように必死に教える姿は可愛らしくビアード以外の役員も微笑ましく見ていた。
「リオ様、運命です!!まさかお会いできるなんて」
ラズ侯爵令嬢にうっとりした顔で見られている。会うたびに言われる言葉である。
「お久しぶりです。お困りの際はマートン侯爵令嬢に」
「私はリオ様に案内していただきます!!」
「申し訳ありません。仕事が立て込んでおります」
「お手伝いします!!お食事をご一緒に」
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「お約束をくださいませ」
「できません。すでに心に決めた令嬢がいます。俺はこれで」
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ルイーザ・ラズは人の話を聞かない。兄は妹の様子を愉快に見ているだけで止めない。1度夜会で踊ってから会うたびに付き纏われている。婚約の打診はありがたいことに互いの家に利がないので出てこない。
今頃レティシアは何をしているんだろうか。俺とレティシアの関係は変わらない。いつもの淑やかな顔と笑みを向けられ挨拶をかわすだけ。そして仕事の手伝いも誘いも全て丁寧に断られる。
ビアードから向けられる視線は厳しいがそれはどうでもいい。
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俺のクラスには留学生はいない。
「リオ様!!」
昼休みにラズ侯爵令嬢が教室に勢いよく駆けこんできた。
「お食事を一緒に」
「用がありますので」
「ルイーザ様!!」
アリス嬢が駆け込んできた。侯爵令嬢が走るのはどうかと思うけど何も言わない。
「食堂にご案内しますわ。マール様、失礼します」
アリス嬢がラズ侯爵令嬢の腕を引いて立ち去っていくので、俺は自分の部屋に避難する。レティシアにこれ以上誤解されたくないし彼女の相手もしたくない。
「本命に相手にされないのにな」
「羨ましいなら代ってほしい」
「いいや。俺はレティシア達とバカやってるほうが気が楽だ」
友人の自慢は無視した。ラズ侯爵令嬢達が早く帰国するのを祈るばかりだ。生徒会は留学生の接待班と執務班に分けられている。レティシアは執務班なので当分は会えない。ビアードがレティシアの分の仕事を提出し新しい仕事を受け取り出て行った。問題を起こしそうなレティシアを留学生と関わらせる気がないようだ。クロード殿下もレティシアが生徒会に顔を出さないのは了承している。
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留学生の滞在中は空き時間は部屋に避難している。
昼休みに部屋で時間を潰しているとサイラスが訪ねてきた。
「リオ、レティシア嬢が会いに来てるけど、」
「まだいるか!?」
「ああ。待ってもらってる」
急いで教室に戻った。レティシアが俺に会いに来るのは珍しく朝からラズ侯爵令嬢にしつこく絡まれた嫌な気分が吹き飛んだ。
レティシアが俺を見て小さく笑った。やっと俺を意識してくれるようになったのだろうか。
「私、お願いがあります」
上目遣いで俺を見つめるレティシアからの願いはなんでも叶える。やっと俺の言葉を信じてくれたのだろうか。会うたびに口説いた甲斐があった。顔が緩みニヤケそうな顔をこらえて平静を装う。
「なに?」
「ラズ侯爵令嬢とお話してください。マール様の婚約者になるために令嬢達に決闘を申し込むほど追い詰められてますわ。」
レティシアの言葉に思考が止まった。
お願いって…。
「私が口を挟むのは筋違いです。ただ想いを傾けてくださる方とはどんな答えであれ真摯にお付き合いされたほうがいいですわ。それに一歩間違えれば外交問題です。私は失礼しますので1年1組まで送ってさしあげてくださいませ。」
子供に言い聞かせるようにゆっくりと紡がれるレティシアの言葉に一気に気分が落ち込む。後ろにいるラズ侯爵令嬢の存在に今更気付いた。俺の告白を聞き流し全く信じないレティシアにだけは言われたくない言葉だった。
「俺はその言葉は君にだけは言われたくないんだけど」
「はい?サイラス様、助けてください。言いたいことがわかりません」
レティシアの視線は俺から外れてサイラスに注がれている。助けを求める姿も不愉快で俺の期待を返して欲しい。
「リオの言葉を全部聞き流すからだと思うよ」
「私は遊びにお付き合いするほど暇でありません」
「常に本気だと言ってるだろう!!」
思わず声を荒げた。レティシアは気にせずいつもの上品な笑みを浮かべて俺を見つめた。
「言葉の捉え方は様々です。数多くの令嬢に囁かれた言葉に何も感じません。愛の言葉は望まれる方に捧げてください。ビアード公爵令嬢には不要ですわ。同じことをエイベルがしましたら沈めてますわよ。ラズ侯爵令嬢としっかりお話してくださいませ」
数多くの令嬢に囁く?望まれる方?
沈める・・?彼女の中では俺は許せない類の男ということか・・?
「リオ様」
聞こえる声の近さに我に返ると正面にラズ侯爵令嬢の顔があった。あまりの顔の近さに肩を押して離れるとうっとり見られて目を閉じられた。俺はレティシアが相手でも教室で口づけたりしないけど。たぶん・・。
肩から手を放して逃げよう。彼女と関わると碌なことがない。
「リオ様、私はいつでも構いません」
「俺が君に口づけることは絶対にないから」
「さっき、会いにきてくれて嬉しいって」
「あれは君への言葉じゃないから」
この状況でどうして自分に向けられた言葉と思ったんだ…。
俺がどんなに拒否しても彼女は気にしない。待てよ。レティシアは接待役ではない。
「なんでレティシアと一緒なんだ?」
「リオ様がビアード公爵令嬢を慕っていると教えてもらったので、私をリオ様の婚約者として認めてくださいと頼んだら快く身を引いてくれましたわ」
思考回路おかしくないか!?
俺が好きだと知ってて、レティシアに直談判?
俺に断られたからレティシアに認めさせる?
おかしい。またさらに誤解をされた気がする。なんで俺の邪魔をするんだよ。嫌がらせにしても悪質すぎないか・・・。
「俺は君を婚約者にしないと何度も言っている」
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「迷惑だ。俺は生涯の伴侶は決めている。愛人も持たない。君に全く興味がわかない」
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『恐れながらお二人共お立場を思い出してください。マール様は紳士としていかがなものかと。ラズ侯爵令嬢もラズ王国の淑女は声を荒げて、言葉を聞かないものなのですか?私にはお二人が上位貴族として相応しい行動されているようには見えません。私的な場では構いませんが公衆の場ということを思い出してくださいませ』
耳心地の良い声に振り返ると冷たい笑みを浮かべたレティシアがいた。レティシアの隣にサイラスがいるから呼びに行ったのか・・。
レティシアがラズ侯爵令嬢を連れて去っていった。時計を見るとすでに授業が始まっている時間だった。
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***
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「リオ様、ビアード公爵令嬢は貴方と一緒になる女性は幸せになれないとおっしゃっていました。どうしてリオ様の良さもわからない方が好きなんですか?」
目の前の相手の所為で絶対にさらに俺の心象が悪くなった。
レティシアの中では数多の恋人がいる女好きだから。その言葉をそのまま自分にあてはまると思わないんだろうか。俺の中でのラズ侯爵令嬢の評価は外交問題になるから口に出せない。好きな気持ちに相手の想いは関係ない。
「好きだからレティシアの傍にいたいんだ。俺はレティシアよりも劣っているから認められないのは仕方ない。いずれ認めてもらえるように努力するだけだ。」
「どこがいいんですか?」
「出会ってからずっと恋い焦がれてたまらない。呆れるほど他人に優しいのに自分には無頓着。いつもは誰よりも凛とした美しい公爵令嬢なのに、ふとした仕草は」
「もういいです。ビアード公爵令嬢にマール様の言葉に寄り添えないと心は手に入らないと言われましたが無理ですわ」
「レティシアの魅力ならいくらでも話せるけど、必死に口説いているから邪魔はするな」
「リオ様が情熱的な方とは知りませんでした。でも悔しいので邪魔します」
「は?」
俺のラズ侯爵令嬢に付き纏われる日は終わりを告げた。ただ俺の平穏と引き換えにレティシアが犠牲になったとは思いもしなかった。
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