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兄の苦労日記 28
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シオン伯爵令嬢から面会依頼を受けた。
「セリアは研究に目がない。嫌なことははっきり言わないと。言ってもやめるかはわからないけど」
真顔でレオ様が意味深な言葉を呟いた。
シオン嬢と面識はなく、レオ様が付き添いを申し出てくれたので甘えた。
呼び出された部屋にはマールがいた。
しばらくして妹が驚いた顔をして入ってきた。妹も呼ばれたのか。
シオン嬢が入ってきて挨拶を交わしたあとの言葉の意味がわからない。
「お願いがあります。血を分けてください」
マールも警戒し空気が冷たくなった。
妹は腕を差し出している。
止める間もなく妹の腕に針が刺され血が採取されている。顔より大きい瓶に血が貯まっていく。どんどん顔色が悪くなり妹は無言だった。シオン嬢は綺麗な笑みを浮かべて見ているがやめる気はなさそうだ。
「どれだけ必要なんですか」
「ビアード様からは少し多めにいただきたいの」
まだ取るのか!?
このままだと妹は倒れる。仕方ないか。後で説教しよう。
「俺の血を提供するのでそろそろやめてください。うちの妹、体が弱いんです」
「エイベル、大丈夫ですよ」
その青い顔で笑顔で言っても誰も信じない。
「お前の大丈夫は信用できない」
「今回はビアード様はこれくらいにしましょう」
おい、二度目があるのか…。
気付いたら血が抜かれ始めた。
隣で崩れる音がして慌てて自由な腕を伸ばすとマールが妹を支えていた。真っ青な顔で意識を失っていた。止めるのが遅かった。
貧血だよな。いつになったら体調管理と危機管理を覚えてくれるんだろうか。
「マール、レティシアよこせ」
「俺が保健室まで運ぶよ」
「魔力を送る。血が抜かれて魔力も減ってる」
マールに抱かれた妹に手を当てて魔力を送っていると一瞬意識が歪んだ。このままだと妹の二の舞いだ。
「シオン嬢、もうやめてください。これ以上は血を抜かれると困ります」
「もう少し」
どこまで抜く気だよ。何に使うんだよ。
「セリア、その辺にしろよ。本人が嫌がってるなら駄目だ」
「レオ様、貴重な血ですよ。マール様も提供してくださいますか?」
「嫌」
マールの即答する気持ちはわかる。妹がバカなことをしなければ提供する気はなかった。
「空気を読んでください」
「俺は保健室に行くから。ビアード、レティシアは俺に任せてごゆっくり」
マールはシオン嬢を無視して妹を抱えて出て行った。
マールが令嬢に素っ気ないのは珍しい。
「ビアード様、妹君はどうして風属性を持たないの?」
「説明するつもりはない。用は血のことだけなら失礼する」
探られるように見られ嫌な予感がして退室した。変わり者ばかりのシオン一族とうまくやれる気もしなかった。
レオ様が彼女のことを引き受けてくれた。
レオ様が常識があることに救われている。最初は妹のバカに頭を抱えたけど、頼りになる友人を持てたことは感謝している。
保健室に行くとマールは妹の手を握っていた。
「早かったな」
「代わる」
「俺が付いてるよ」
「いらない。さっさと生徒会に行け。手を離せ。寝ているレティシアに手を出すな」
不満そうなマールが保健室から出ていった。
あいつはいつになったら妹を諦めるんだろうか。マール公爵家から本気で婿入りするつもりなんだろうか。
しばらくすると目を醒ましてぼんやりしている妹に説教した。
俺の説教を笑って聞いている妹にも考えがあったようだ。妹はビアードのために繋がり作りたいか…。
妹と話しているとシオン嬢が突然現れた。
気配がなかった。
二人の会話を聞いて危険な人物だとよくわかった。獲物を捕らえた目で妹を見ている。
ただ妹はやはりバカだった。怪しい薬を飲まされても警戒しないらしい。シオン嬢が神出鬼没すぎて警戒できない。
「エイベル、大丈夫ですよ。命に関わることはしないと思いますよ」
どこからその自信があるんだよ。
「信用できない」
「心配しすぎです。良い発明品ができたらビアードの役にたつかもしれませんよ」
「どんなものを作ってるか知ってるのか?」
「知りませんよ。いつも要件だけ伝えられて観察されるだけですから。それに優秀なシオン様の考えは私には理解できないので、聞くだけ無駄です」
意味もわからず、研究に協力してるのは大丈夫なんだろうか。時々ストームに様子を見に行かせるか。
危機感はどうすれば育つのだろうか…。
最近は俺の説教もきかないし、妹を叱れるのはクロード殿下だけか。
恐れ多いが殿下に頼むか?妹の育て方は誰に相談すればいいんだろうか。
フィルとステラを頼ってみるか?
妹は二人に甘いから俺より言うこと聞くだろう。
「セリアは研究に目がない。嫌なことははっきり言わないと。言ってもやめるかはわからないけど」
真顔でレオ様が意味深な言葉を呟いた。
シオン嬢と面識はなく、レオ様が付き添いを申し出てくれたので甘えた。
呼び出された部屋にはマールがいた。
しばらくして妹が驚いた顔をして入ってきた。妹も呼ばれたのか。
シオン嬢が入ってきて挨拶を交わしたあとの言葉の意味がわからない。
「お願いがあります。血を分けてください」
マールも警戒し空気が冷たくなった。
妹は腕を差し出している。
止める間もなく妹の腕に針が刺され血が採取されている。顔より大きい瓶に血が貯まっていく。どんどん顔色が悪くなり妹は無言だった。シオン嬢は綺麗な笑みを浮かべて見ているがやめる気はなさそうだ。
「どれだけ必要なんですか」
「ビアード様からは少し多めにいただきたいの」
まだ取るのか!?
このままだと妹は倒れる。仕方ないか。後で説教しよう。
「俺の血を提供するのでそろそろやめてください。うちの妹、体が弱いんです」
「エイベル、大丈夫ですよ」
その青い顔で笑顔で言っても誰も信じない。
「お前の大丈夫は信用できない」
「今回はビアード様はこれくらいにしましょう」
おい、二度目があるのか…。
気付いたら血が抜かれ始めた。
隣で崩れる音がして慌てて自由な腕を伸ばすとマールが妹を支えていた。真っ青な顔で意識を失っていた。止めるのが遅かった。
貧血だよな。いつになったら体調管理と危機管理を覚えてくれるんだろうか。
「マール、レティシアよこせ」
「俺が保健室まで運ぶよ」
「魔力を送る。血が抜かれて魔力も減ってる」
マールに抱かれた妹に手を当てて魔力を送っていると一瞬意識が歪んだ。このままだと妹の二の舞いだ。
「シオン嬢、もうやめてください。これ以上は血を抜かれると困ります」
「もう少し」
どこまで抜く気だよ。何に使うんだよ。
「セリア、その辺にしろよ。本人が嫌がってるなら駄目だ」
「レオ様、貴重な血ですよ。マール様も提供してくださいますか?」
「嫌」
マールの即答する気持ちはわかる。妹がバカなことをしなければ提供する気はなかった。
「空気を読んでください」
「俺は保健室に行くから。ビアード、レティシアは俺に任せてごゆっくり」
マールはシオン嬢を無視して妹を抱えて出て行った。
マールが令嬢に素っ気ないのは珍しい。
「ビアード様、妹君はどうして風属性を持たないの?」
「説明するつもりはない。用は血のことだけなら失礼する」
探られるように見られ嫌な予感がして退室した。変わり者ばかりのシオン一族とうまくやれる気もしなかった。
レオ様が彼女のことを引き受けてくれた。
レオ様が常識があることに救われている。最初は妹のバカに頭を抱えたけど、頼りになる友人を持てたことは感謝している。
保健室に行くとマールは妹の手を握っていた。
「早かったな」
「代わる」
「俺が付いてるよ」
「いらない。さっさと生徒会に行け。手を離せ。寝ているレティシアに手を出すな」
不満そうなマールが保健室から出ていった。
あいつはいつになったら妹を諦めるんだろうか。マール公爵家から本気で婿入りするつもりなんだろうか。
しばらくすると目を醒ましてぼんやりしている妹に説教した。
俺の説教を笑って聞いている妹にも考えがあったようだ。妹はビアードのために繋がり作りたいか…。
妹と話しているとシオン嬢が突然現れた。
気配がなかった。
二人の会話を聞いて危険な人物だとよくわかった。獲物を捕らえた目で妹を見ている。
ただ妹はやはりバカだった。怪しい薬を飲まされても警戒しないらしい。シオン嬢が神出鬼没すぎて警戒できない。
「エイベル、大丈夫ですよ。命に関わることはしないと思いますよ」
どこからその自信があるんだよ。
「信用できない」
「心配しすぎです。良い発明品ができたらビアードの役にたつかもしれませんよ」
「どんなものを作ってるか知ってるのか?」
「知りませんよ。いつも要件だけ伝えられて観察されるだけですから。それに優秀なシオン様の考えは私には理解できないので、聞くだけ無駄です」
意味もわからず、研究に協力してるのは大丈夫なんだろうか。時々ストームに様子を見に行かせるか。
危機感はどうすれば育つのだろうか…。
最近は俺の説教もきかないし、妹を叱れるのはクロード殿下だけか。
恐れ多いが殿下に頼むか?妹の育て方は誰に相談すればいいんだろうか。
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妹は二人に甘いから俺より言うこと聞くだろう。
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