追憶令嬢のやり直し

夕鈴

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第七十一話 外堀

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私はアナ達と食事をしています。
目の前ではいつもの光景が広がってます。

「いい加減に立場をわきまえろ。どれだけ迷惑かけたか」
「私は貴方に迷惑はかけないわ」
「俺にもだがそれ以上にレティシアにかけてるだろうが。なんで派閥も違うレティシアがお前の面倒を見るんだよ」

リアナは令嬢達との喧嘩はなくなりました。
リアナがイチコロした令息達の婚約者の令嬢に謝罪させました。
謝罪の意味はわからなかったようですが、穏便に生きるために必要と説得しても駄目だったのでお菓子をあげると言ったら反省したフリをして謝罪してくれました。
リアナの演技力は凄いですわ。
謝罪をしたので令嬢達は怒りをおさめてくれました。
それから忠告するときは、リアナの用事に付き合うと約束を守ってくれるようになりました。取引ですが、平穏な生活のために仕方ありません。
リアナが生徒会室に乗り込まないことが一番ほっとしています。
最近はリオと言い争いをしています。3回目までは止めてましたがもうやめました。
この二人気が合うのかもしれません。声も荒げていませんし、じゃれ合いと思うことにしました。
もともと二人は恋人同士だったので仲が良いんでしょう。
気にせず食事をしていると令嬢が近づいてきました。

「レティシア様、これを」

頬を染めた令嬢から招待状を渡されました。

「初めて主催するんです。よければレティシア様に」

日付を見ると、丁度予定が空いてます。初めてのお茶会の主催は緊張しますよね。

「喜んでお伺いさせていただきます。ご招待ありがとうございます」

ぱぁっと笑った令嬢が可愛らしいです。令嬢が主催するお茶会は久しぶりです。可愛らしい笑みを浮かべて礼をして去った後輩を見送ると視線を感じました。
リオとリアナに見つめられてます。

「レティシア、その日は俺と過ごすんじゃ」

不満そうに言われましたがそんな予定は全くありませんが・・。

「ありえないわ。レティシアは私とお菓子を作るの」

どうしてこの二人は私の休日の予定を決めるんでしょうか・・。
そういえばリアナに課題を見てほしいと頼まれてましたがこの状況なら無理ですわ。

「二人で過ごしたらいいと思いますよ。リアナ、マール様は教えるのがお上手なので、課題を見ていただいたら?授業に遅れるので失礼します」

じゃれ合っている二人は放っておいてステラと教室に戻りました。
アナ達も慣れたので気にしないでしょう。リアナもリオに教えてもらうでしょう。元恋人を無下にはしないはずです。

***

ビアード公爵夫人に命じられ武門貴族の令嬢達を招いたお茶会を定期的に開いています。ビアード公爵夫人に席を一つ余分に用意してほしいと言われました。
どうしてリオが招待されてるんでしょうか。
そしてうちに来るときはやはり眼鏡はしてません。願掛けなら外さないでほしいです。

「ビアード公爵夫人に招待されて」
「お母様が申しわけありません。本当に参加されるんですか?」
「レティシアが嫌でなければ」

ビアード公爵夫人が招いたならおもてなししないといけません。
ただ大事なことは言わないといけません。

「ご令嬢達に手を出したら水攻めしますので」
「何度も言うけどレティシア以外に手を出す気はない」

頬に手を添えられ笑いかけられました。

「私にも出さないでください」

頬に添えられた手を離すために、リオの手を取ったら嬉しそうに手を握られ見つめられました。睨みつけたいのは我慢して笑みを浮かべてリオの手を解いて席に案内しました。
令嬢達はリオが参加することも眼鏡の有無も気にしないようです。令嬢達はリオに興味がないでしょう。武門貴族の令嬢にはリオの人気はあまりありません。
いつも通り他愛もないお茶会が始まりました。情報交換は終わったのであとは令嬢達の話しに耳を傾けるだけです。

「マール様はどのようにレティシア様をお支えするんですか」

驚いてお茶が変なところに入りました。咳こむ背中をリオが撫でてくれます。ロキが駆け寄り心配そうに見つめるロキに微笑みかけます。

「レティシアの望むままに」

「私達はマール様のお知り合いと意見が割れることがあります。文官と武官はわかりあえません。常に武官の立ち位置でいられるんですか?」
「どちらともうまくやるよ。必要なら友人を切ってもいい。レティシアが最優先だから」

やっと息が整ってきました。先ほどからおかしい会話が聞こえてきます。

「私はマール様となにも関係もないんですが」

「ご安心ください。私達はレティシア様の味方ですわ。想い合うお二人が結ばれることを望んでおりますのよ」

どうして意気揚々と曇りのないお顔で言われるんですか・・。

「私達はそのような関係でも想い合ってもいません」
「お二人のお立場ならまだ公言はできませんよね。私も胸に留めておきますわ」

嫌な予感がします。
勘違いされてます・・。隣のリオに嬉しそうに笑いかけられました。

「いずれ認めてもらうから待っててよ」

手を取られ、そっと口づけを落とされる状況はなんでしょうか。頬を染めている令嬢達はリオが一瞬ニヤリと笑ったのには気づいてないようです。

「遊ばないでください」

目の前の令嬢達はリオのファンではないので意地悪されることはないでしょう。
手を振り解き平静を装い話題を逸らそうとしましたが無理でした。リオが令嬢達と楽しそうに私の話題で盛り上がっています。
私は帰っていいでしょうか。駄目です。ここはうちでしたわ。お茶会の主催をきちんとこなせなかったのは初めてです。会話の主導権や進行をリオに奪われました。気分が晴れないのは私だけで、令嬢達は今日のお茶会も上機嫌に帰っていきました。頭が痛くなってきました。

「マール様、誤解を招く行為はやめてください。一歩間違えれば醜態になります」
「ならないよ。でも、嫌なら控えるよ」

初めて要望を受け入れてもらえた気がします。

「宜しくお願いします。では気をつけてお帰り下さい」
「ビアード公爵夫人に呼ばれてるんだが」

礼をしてようとした動きを止めました。
ビアード公爵夫人はお茶会に行きましたが…。お母様、リオを呼んだこと忘れたんでしょうか。

「申し訳ありません。お母様はまだ帰られませんが」
「訓練に混ぜて貰うから、帰られたら声を掛けてくれないか?」
「わかりました。お待たせして申し訳ありません」

リオと一緒に訓練場に向かいました。

「行ってくる」
「行ってらっしゃいませ」

手を振るリオを見送ります。上着を脱いで騎士達に挑む顔は真剣です。
本当にビアード公爵に勝つほど強くなりたいんでしょうか。
ターナー伯爵家にいた頃は強さを求める様子はありませんでした。目の前のリオは本気で強さを求めてるように見えます。私のリオはどうしてあんなに強かったのでしょうか。頼もしい強い背中ばかりであんなに必死な姿はあまり記憶にありません。
真剣な眼差しで騎士に挑む姿は格好良いので人気があるのはよくわかります。

「レティ?」

肩を叩かれて振り向くとビアード公爵夫人でした。

「お帰りなさいませ。マール様がお待ちです。」
「ねぇ、レティ、全く惹かれない?」

楽しそうな顔で見られてます。訓練する姿は格好良くても、リオ個人には好意はありません。

「ビアードは強さを求める者の味方です」
「レティにはまだ難しいかしら。お母様は貴方が望む人がいるなら口添えしてあげるわよ」
「いえ、私はお父様にお任せします」

自分で選べるならきっと誰も選びません。私は・・・。
今世はビアード公爵令嬢として家と王家のために生きることを決めました。
ビアード公爵の選んだ方とエイベルを支えてビアード領を繁栄させるのが役目です。
私は私なりに頑張りましょう。
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