追憶令嬢のやり直し

夕鈴

文字の大きさ
205 / 362

第百七話 作戦

ブレア様のアドバイスに従いリオと一緒にいることにしました。
朝はリオの訓練が終わるのを待って登校し、昼も食事を共にしています。
ただ親しく見えているのかわかりません。
生前、味方を増やすためにリオと仲良く見せるように振舞った時は全部リオに任せてました。そしてその作戦は成功していたかはわかりませんが不仲を疑われることは一度もありませんでした。

「ブレア様、親しく見せるってどうすればいいんでしょうか?」
「マール様に甘えてみるのはいかがでしょう?」
「甘える?」
「エイベル様とのときのように」

そこまでエイベルに甘えてませんよ。
情緒不安定になった時に抱きつくくらいですが・・・・。人前ではしておりません。

「エイベルに甘えることはあまりないんですが・・・」
「マール様に何かされても常に笑顔でいてください。あとはそうですね・・・」

ブレア様が紙に何か書いてます。
紙を渡されました。

「明日は別のものをお持ちします。これらのことをすれば親しそうに見えますよ」

綺麗に笑うブレア様の優しさはありがたいんですが、紙に書いてあることを読むと恥ずかしいことばかりです。
平穏な生活のためなら仕方ありません。
出来る限り人目につく場所でやらないといけません。
視線を集めるのは慣れてますけど、敢えて注目されるようなことはしたくありませんのに・・・。
平穏生活のために犠牲は仕方ありません。
できることから試しましょう。

リオに気付いたら笑顔で手を振るって不敬ではありませんか。
移動教室でリオの教室の前を通ったので試しに手を振ると席から立ち上がり近づいてきました。
用はないんで、来ないで欲しかったです。一応セリフも用意されています。

「どうした?」
「いえ、気付いてもらえるかなと」

抱きしめられました。人前でやめてほしいですが拒否してはいけません。視線を集めていることに羞恥で顔が赤くなります。

「レティシア、授業に遅れる。急ごう」

「またな」

頭を撫でて嬉しそうに手を振るリオに礼をして立ち去りました。
視線が集まっていて恥ずかしいです。

「フィル、ありがとう。本当に上手くいくんでしょうか。羞恥で心が折れそうです」
「マール様は上機嫌だよな。あの人は羞恥心なさそうだよな・・・」
「強靭な心が羨ましいです」
「レティシア様・・・」

心配そうな顔をするステラに笑いかけます。ブレア様には上出来ですと褒められましたが嬉しくありませんでした。
リオのファンの令嬢達の視線が痛いですが、それ以上に他の生徒の生暖かい視線が辛いです。

次にできそうなものは・・・。
離れていくリオの服を掴む・・。それは嫌がられると思います。
恐る恐る試したら嬉しそうに抱きしめられ離れてくれませんでした。授業が始まるので、フィルが追い返してくれました。
ブレア様の作戦は非常識ですがリオは上機嫌です。助けてくれるフィルに感謝してます。フィルがいなければ私の心は折れてましたわ。

ブレア様のメモと睨み合ってます。
ハンカチを贈るとありましたがすでに贈ってます。
魔石の贈り合い。魔石はすでに渡してますし、私ももらってます。魔法が付加してあるものを。
デートに誘うとありますが最近は忙しいので時間は作れません。
我儘を言って困らせるってなんですか?
我儘って、リオに言える我儘なんてありません。
令嬢達と関わりたくないから近づかないでほしいでしょうか・・・。それだと本末転倒ですよね・・・。
作戦会議を開いています。
参加者はステラとリアナです。
私の知り合いの中で一番演技が得意なのはリアナなので。なぜか極秘の私とリオの作戦を知っていましたが気にするのはやめました。
この作戦を知っているのはブレア様とステラとフィルとリアナだけです。

「リアナ、現実的にできそうなものはなんですか?」
「親しそうに見えるようにって・・・。意味がわからない」
「私もよくわかりません。ブレア様は成功しているとおっしゃっています。平穏のために必要なんです。羞恥で心が折れそうです」
「マール様はレティシア様のお願いに困ることはありませんものね・・」
「エイベルと仲良くなってほしいとお願いするのは我儘でしょうか」
「レティシア様、それは違うと思いますよ」

一生懸命考えてくれるステラに荒んだ心が癒されます。可愛くて優しいステラをお嫁さんにできるフィルは幸せものです。

「好きな人だと思い込むとか?」
「無理です。アロマに台本書いてもらおうかな。どんどん難易度が上がっていきます」
「そこまで難しくはないと思いますが、こちらはいかがでしょう」
「訓練を見守り応援するのはできません。訓練の邪魔になります」
「マール様に会いにいけば、仲良く見えるわよ。あっちが手を出すから」

頼りにしていたリアナが投げやりです。

「お二人の噂を流しましょうか?」

ステラの言葉に目を丸くしました。
リオと仲良しの噂を流せばいいんです。
そうすれば勘違いして見てくれるはずです。令嬢達の曇ったフィルターは凄いのです。あのクロード殿下が優しく見えるくらいですから。
私はリオと親しいと噂を流すことにしました。
おかげで、私はリオと仲が良いことになりました。お茶会でからかわれますが、否定せずに肯定しました。平穏生活のために、羞恥を隠して微笑み続けました。
しばらくするとリオのファンの令嬢に追われることはなくなりました。
ですがリオの側にいると生暖かい視線を受けています。応援していますと手を握られることもありました。
親しく見せよう作戦は終わりにしました。物足りなそうに見るリオは気にしません。
心が折れる前に解決して良かったです。
ブレア様に不仲に見えると、またリオのファンに追いかけられると教わったので、リオが人前で触れようとする手を振り払うのはやめました。笑顔で苦言を伝えますが上機嫌のリオには通じません。
私の言葉を全く聞いてくれないリオは上機嫌で抱きしめてくる今世のリオだけです。
この世界はおかしいです。
疲れたので当分はエイベルの所に逃げようと思います。
エイベルの所ならある意味安全です。
生暖かい視線もありません。
不満なのはエイベルが食事にうるさいことだけです。
エイベル、人の口に無理矢理お肉を入れないでください。
ソート様も楽しそうに見てないで止めてください。
愛らしく笑うステラが可愛いです。
エイベルの教室での食事は新鮮です。
エイベルの教室に躊躇いなく入ってくるリアナは心配になりますが、ロキと喧嘩しないならいいでしょう。隣に座っているロキを抱きしめて癒されます。
どうか平穏生活が送れますように。
感想 0

あなたにおすすめの小説

本の通りに悪役をこなしてみようと思います

Blue
恋愛
ある朝。目覚めるとサイドテーブルの上に見知らぬ本が置かれていた。 本の通りに自分自身を演じなければ死ぬ、ですって? こんな怪しげな本、全く信用ならないけれど、やってやろうじゃないの。 悪役上等。 なのに、何だか様子がおかしいような?

【完結】シュゼットのはなし

ここ
恋愛
子猫(獣人)のシュゼットは王子を守るため、かわりに竜の呪いを受けた。 顔に大きな傷ができてしまう。 当然責任をとって妃のひとりになるはずだったのだが‥。

悪役令嬢と転生ヒロイン

みおな
恋愛
「こ、これは・・・!」  鏡の中の自分の顔に、言葉をなくした。 そこに映っていたのは、青紫色の髪に瞳をした、年齢でいえば十三歳ほどの少女。  乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』に出てくるヒロイン、そのものの姿だった。  乙女ゲーム『タンザナイトの乙女』は、平民の娘であるヒロインが、攻略対象である王太子や宰相の息子たちと交流を深め、彼らと結ばれるのを目指すという極々ありがちな乙女ゲームである。  ありふれた乙女ゲームは、キャラ画に人気が高まり、続編として小説やアニメとなった。  その小説版では、ヒロインは伯爵家の令嬢となり、攻略対象たちには婚約者が現れた。  この時点で、すでに乙女ゲームの枠を超えていると、ファンの間で騒然となった。  改めて、鏡の中の姿を見る。 どう見ても、ヒロインの見た目だ。アニメでもゲームでも見たから間違いない。  問題は、そこではない。 着ているのがどう見ても平民の服ではなく、ドレスだということ。  これはもしかして、小説版に転生?  

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

ある日、私は事故で死んだ───はずなのに、目が覚めたら事故の日の朝なんですけど!?

ねーさん
恋愛
   アイリスは十六歳の誕生日の前の日に、姉ヴィクトリアと幼なじみジェイドと共に馬車で王宮に向かう途中、事故に遭い命を落とした───はずだったが、目覚めると何故か事故の日の朝に巻き戻っていた。  何度もその日を繰り返して、その度事故に遭って死んでしまうアイリス。  何度目の「今日」かもわからなくなった頃、目が覚めると、そこにはヴィクトリアの婚約者で第三王子ウォルターがいた。  「明日」が来たんだわ。私、十六歳になれたんだ…

あなたの妻にはなりません

風見ゆうみ
恋愛
幼い頃から大好きだった婚約者のレイズ。 彼が伯爵位を継いだと同時に、わたしと彼は結婚した。 幸せな日々が始まるのだと思っていたのに、夫は仕事で戦場近くの街に行くことになった。 彼が旅立った数日後、わたしの元に届いたのは夫の訃報だった。 悲しみに暮れているわたしに近づいてきたのは、夫の親友のディール様。 彼は夫から自分の身に何かあった時にはわたしのことを頼むと言われていたのだと言う。 あっという間に日にちが過ぎ、ディール様から求婚される。 悩みに悩んだ末に、ディール様と婚約したわたしに、友人と街に出た時にすれ違った男が言った。 「あの男と結婚するのはやめなさい。彼は君の夫の殺害を依頼した男だ」

好感度0になるまで終われません。

チョコパイ
恋愛
土屋千鶴子(享年98歳) 子供や孫、ひ孫に囲まれての大往生。 愛され続けて4度目の転生。 そろそろ……愛されるのに疲れたのですが… 登場人物の好感度0にならない限り終わらない溺愛の日々。 5度目の転生先は娘が遊んでいた乙女ゲームの世界。 いつもと違う展開に今度こそ永久の眠りにつける。 そう信じ、好きなことを、好きなようにやりたい放題… 自覚なし愛され公女と執着一途皇太子のすれ違いラブロマンス。

毒状態の悪役令嬢は内緒の王太子に優しく治療(キス)されてます

娯遊戯空現
恋愛
ハイタッド公爵家の令嬢・セラフィン=ハイタッドは悪人だった……。 第二王子・アエルバートの婚約者の座を手に入れたセラフィンはゆくゆくは王妃となり国を牛耳るつもりでいた。しかし伯爵令嬢・ブレアナ=シュレイムの登場により、事態は一変する。 アエルバートがブレアナを気に入ってしまい、それに焦ったセラフィンが二人の仲を妨害した。 そんな折、セラフィンは自分が転生者であることとここが乙女ゲーム『治癒能力者(ヒーラー)の選ぶ未来』の世界であることを思い出す。 自分の行く末が破滅であることに気付くもすで事態は動き出した後で、婚約破棄&処刑を言い渡される。 処刑時に逃げようとしたセラフィンは命は助かったものの毒に冒されてしまった。 そこに謎の美形男性が現れ、いきなり唇を奪われて……。