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兄の苦労日記36
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「エイベル、レティシアの髪が短くなって、マールと登校してたけど何があったんだ」
「は?」
駆けこんできた友人の言葉に妹の所に行くとうさんくさい笑顔のマールに抱きしめられている。
腕を掴んで引き剥して、妹を保護した。
「マール、近づくなと言ったよな!?」
「これ返すよ。破棄するつもりないし」
うさんくさい笑みのマールから渡されたのは婚約破棄の書類を入れた封筒。
「は!?いい加減にしろよ。また妹が絆されたら捨てて他の女に行くような男は認めない」
「俺はレティシアだけだ。シアにも了承取った」
「レティシア、母上達にも了承はある。無理しなくていい」
「私に不満はありません。お父様の命に従います」
このバカは根に持たなかった。あんなに苦労させられたのに。嫌いになることを覚えたんじゃないのかよ。これが自分にとって悪縁って気付いたんじゃないのか?だからマールからの贈り物を全て燃やしたんだろう?成長していなかったか。
「レティシア、いつも言うが変なものは拾ってくるな。これはビアードの災厄だ。ルメラよりもたちが悪い」
「あれと一緒にされるのは心外なんだけど。俺はお前よりも絶対に有能だよ。クロード殿下に祝福されたから破棄するわけにいかないだろう?破棄したら攫って逃げるけど。授業が始まるからこれで。シア、またな」
クロード殿下は好きにすればいいと言ってくださっている。マール公爵家の了承さえあれば滞りなく破棄できる。攫ったら首を落としてやる。斬る理由があるなら容赦しない。
頭を撫でて去っていくマールに妹が能天気に笑って手を振っている。
「エイベル、落ち着いてください」
「落ち着いてられるか。お前、髪は」
「セリアの所為です。詳しくは言えませんが、そのうち伸びますわ。取り乱すなどビアードの恥ですよ。どんな時も落ち着くのが貴族ですわ。授業に遅れますよ。そろそろ戻ってください。エイベル、教室に戻ってください。遅刻すれば殿下に怒られますよ。大丈夫ですよ。お兄様」
「昼は俺の部屋。一度ゆっくり話すか」
「わかりました。お兄様、急いでください」
能天気に手を振る妹に見送られて教室に急いだ。
昼休みに妹と食事を食べながら話を聞くと頭を抱えた。
「お父様の判断に従いますわ。ビアードとしてはもっとしっかりしてほしいですが。頼りないところも可愛らしいですわ」
「趣味が悪すぎないか!!」
「婚姻は両当主の判断ですし、気にしても仕方ありません。エイベル、せっかく天気がいいですし訓練に行きましょう」
「冷静になれよ」
「冷静ですわよ。考えても仕方がないことですわよ」
マールはまた妹に付き纏い始めた。婚約破棄はマール公爵家が認めず念願の破棄は敵わなかった。俺はあんなの認めたくない。
「サーカスのチケットを手に入れましたの。クロード殿下と行ってきますわ。殿下にサーカスの楽しさを教えてあげます。エイベルも一緒に行きたいですか?」
能天気にクロード殿下と鑑賞するチケットを自慢している。もう少し考えて行動してくれないか。妹を抱く男の手を振り払う。
「レティシアに触れるな」
「婚約者に触れてはいけない理由が?」
「俺は認めていない」
「うるさいですわ。私を挟んで喧嘩するなら外で手合わせしてくださいませ。リオも離してください」
「俺の部屋を譲るよ。もう使わないから自由に使っていい。食材も常備してあるから」
「本当ですか!?」
「料理なら俺の部屋ですればいい。これは駄目だ」
「エイベルは甘い匂いが嫌いでしょう?最近はチョコレートの香りさえも」
どうすれば妹は成長するんだろうか。また捨てられる妹がこれ以上絆されないように追い払おう。妹を守るのは兄の役目だ。妹を腕の中に閉じ込めるとマールに睨まれる。
「いい加減に距離感を覚えろ」
「は?お前にだけは言われたくない」
冷たい水が全身を襲った。
「邪魔です。私を挟んで喧嘩しないでください。楽しい気分が台無しですわ。二人で話し合ってくださいませ。失礼しますわ」
腕を解いて離れていく妹をマールが追いかける。成長した妹を追いかける日が続くとは思わなかった。
「エイベル、大丈夫だよ。レティシアにとって友人枠に入っただけだ。特別ではない」
「弱った人間を放っておけないレティシアの同情だろう?」
「庇護対象」
「あんな大きな庇護対象はごめんだ。あれの拾い癖はどうにかならないか」
他人事の友人達が羨ましい。マールをロキ達と同じように見ているのはわかる。それでも目障りだ。
マールの腕の中から取り返し、蜂蜜菓子を与えると幸せそうな顔で食べている。友人達は蜂蜜好きの妹が分けようとするお菓子を断るので嬉しそうに頷き笑顔で食べている。抱きつかれることがあっても逆があるとは思わなかった。軽い体は昔から変わらない。初めて守ろうとした幼い銀色。魔物にも遅れをとらない。鈍感で能天気な妹が珍しく傷ついた。魔物と違い理由もなく斬れない存在。さっさと卒業して俺達の前から消えてほしい。妹を傷つける奴はビアードにはいらない。
「は?」
駆けこんできた友人の言葉に妹の所に行くとうさんくさい笑顔のマールに抱きしめられている。
腕を掴んで引き剥して、妹を保護した。
「マール、近づくなと言ったよな!?」
「これ返すよ。破棄するつもりないし」
うさんくさい笑みのマールから渡されたのは婚約破棄の書類を入れた封筒。
「は!?いい加減にしろよ。また妹が絆されたら捨てて他の女に行くような男は認めない」
「俺はレティシアだけだ。シアにも了承取った」
「レティシア、母上達にも了承はある。無理しなくていい」
「私に不満はありません。お父様の命に従います」
このバカは根に持たなかった。あんなに苦労させられたのに。嫌いになることを覚えたんじゃないのかよ。これが自分にとって悪縁って気付いたんじゃないのか?だからマールからの贈り物を全て燃やしたんだろう?成長していなかったか。
「レティシア、いつも言うが変なものは拾ってくるな。これはビアードの災厄だ。ルメラよりもたちが悪い」
「あれと一緒にされるのは心外なんだけど。俺はお前よりも絶対に有能だよ。クロード殿下に祝福されたから破棄するわけにいかないだろう?破棄したら攫って逃げるけど。授業が始まるからこれで。シア、またな」
クロード殿下は好きにすればいいと言ってくださっている。マール公爵家の了承さえあれば滞りなく破棄できる。攫ったら首を落としてやる。斬る理由があるなら容赦しない。
頭を撫でて去っていくマールに妹が能天気に笑って手を振っている。
「エイベル、落ち着いてください」
「落ち着いてられるか。お前、髪は」
「セリアの所為です。詳しくは言えませんが、そのうち伸びますわ。取り乱すなどビアードの恥ですよ。どんな時も落ち着くのが貴族ですわ。授業に遅れますよ。そろそろ戻ってください。エイベル、教室に戻ってください。遅刻すれば殿下に怒られますよ。大丈夫ですよ。お兄様」
「昼は俺の部屋。一度ゆっくり話すか」
「わかりました。お兄様、急いでください」
能天気に手を振る妹に見送られて教室に急いだ。
昼休みに妹と食事を食べながら話を聞くと頭を抱えた。
「お父様の判断に従いますわ。ビアードとしてはもっとしっかりしてほしいですが。頼りないところも可愛らしいですわ」
「趣味が悪すぎないか!!」
「婚姻は両当主の判断ですし、気にしても仕方ありません。エイベル、せっかく天気がいいですし訓練に行きましょう」
「冷静になれよ」
「冷静ですわよ。考えても仕方がないことですわよ」
マールはまた妹に付き纏い始めた。婚約破棄はマール公爵家が認めず念願の破棄は敵わなかった。俺はあんなの認めたくない。
「サーカスのチケットを手に入れましたの。クロード殿下と行ってきますわ。殿下にサーカスの楽しさを教えてあげます。エイベルも一緒に行きたいですか?」
能天気にクロード殿下と鑑賞するチケットを自慢している。もう少し考えて行動してくれないか。妹を抱く男の手を振り払う。
「レティシアに触れるな」
「婚約者に触れてはいけない理由が?」
「俺は認めていない」
「うるさいですわ。私を挟んで喧嘩するなら外で手合わせしてくださいませ。リオも離してください」
「俺の部屋を譲るよ。もう使わないから自由に使っていい。食材も常備してあるから」
「本当ですか!?」
「料理なら俺の部屋ですればいい。これは駄目だ」
「エイベルは甘い匂いが嫌いでしょう?最近はチョコレートの香りさえも」
どうすれば妹は成長するんだろうか。また捨てられる妹がこれ以上絆されないように追い払おう。妹を守るのは兄の役目だ。妹を腕の中に閉じ込めるとマールに睨まれる。
「いい加減に距離感を覚えろ」
「は?お前にだけは言われたくない」
冷たい水が全身を襲った。
「邪魔です。私を挟んで喧嘩しないでください。楽しい気分が台無しですわ。二人で話し合ってくださいませ。失礼しますわ」
腕を解いて離れていく妹をマールが追いかける。成長した妹を追いかける日が続くとは思わなかった。
「エイベル、大丈夫だよ。レティシアにとって友人枠に入っただけだ。特別ではない」
「弱った人間を放っておけないレティシアの同情だろう?」
「庇護対象」
「あんな大きな庇護対象はごめんだ。あれの拾い癖はどうにかならないか」
他人事の友人達が羨ましい。マールをロキ達と同じように見ているのはわかる。それでも目障りだ。
マールの腕の中から取り返し、蜂蜜菓子を与えると幸せそうな顔で食べている。友人達は蜂蜜好きの妹が分けようとするお菓子を断るので嬉しそうに頷き笑顔で食べている。抱きつかれることがあっても逆があるとは思わなかった。軽い体は昔から変わらない。初めて守ろうとした幼い銀色。魔物にも遅れをとらない。鈍感で能天気な妹が珍しく傷ついた。魔物と違い理由もなく斬れない存在。さっさと卒業して俺達の前から消えてほしい。妹を傷つける奴はビアードにはいらない。
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