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閑話 フィルの呟き2
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卒業パーティーは一晩会場が解放されている。
エイベル様とクロード殿下の卒業に令嬢達が嘆いている。
エイベル様を取り囲む令嬢達をレティシアが笑顔で追い払った。エイベル様に初恋を経験させたいと言いながらも令嬢の対応はレティシアがしてしまう。結局はエイベル様の望んでいないことはできないお人好し。
エイベル様の性格もあるが、レティシアが傍で世話をやくのが一番の敗因だろう。言葉をかわすことなくエイベル様の過ごしやすいように世話をするレティシアを超える居心地の良さを持つ令嬢はいないだろう。様々な初恋作戦を繰り広げた友人は、令嬢のどんな仕草にも動じないエイベル様の強靭な心を作り上げたのは自分だと気付いていない。
子供の頃から危なっかしいレティシアに突っ込みをいれるエイベル様が吊り橋効果の胸の高まる状況を起こすのは平穏な学園生活だと無理だろう。
卒業パーティーの日付が変わるまでは卒業生にとっては身分に捕らわれずに過ごせる最後の夜。日付が変われば子供と平等という名の魔法は解け成人として見なされる。だからこそ羽目を外す生徒が増える。教師が目を光らせ、生徒会役員が取り締まるからそこまで大きな問題は起きないけど。エイベル様は早々にパーティーの場を後にするのをレティシアが笑顔で見送った。成人祝いにレティシアの初恋作戦に嫌気がさして訓練する時間と言ったからだろう。
「ビアード様、お時間をいただけますか」
「かしこまりました」
今年の卒業パーティーは無礼講と殿下が宣言した。
身分に関係なく話掛けることを許し、婚約者がいようとダンスも自由に踊れる。エイベル様を見送った後からダンスに誘われずっと踊っていたレティシアが男子生徒のエスコートを受け庭園に歩いていく。卒業式の定番の告白だろう。婚約者がいようと変わらず大人気である。
去年はエイベル様とマール様がレティシアを挟んで睨み合っていたから争奪戦は起こらなかった。
「ありがとうございます。私には婚約者がいますので申し出を受けることはできません。ですが歩む道が重なることを願っております。貴方の未来が輝かしいものであることを」
レティシアの社交の微笑みに見惚れている男子生徒の手を包み握らせているのは新発売のビアード領のお守り。
中には小さな傷を治す効果が付与された魔石が入り子供でも買える値段の物である。治癒魔導士見習いの練習に作らせ販売している。
ルメラ直伝のイチコロを使うよりも天然で話す言葉にイチコロされる男が多い。ビアード家門がまた増えるかな。お守りは俺も隣で見守っているステラもレティシアが作った効果の高いものを渡されている。俺のお守りは袋に刺繍をいれたのはステラで魔力を糸にこめたのはレティシア。売れば高値で取引されるけど友人の贈り物を売るほど困ってはいない。
「いつまで続くのでしょうか」
「乱入するか。俺達が一緒なら声は掛けられないだろう?」
すでに片手の数を越えるやり取り。
日付が変わればレティシアは生徒会で全力でクロード殿下の卒業を祝うだろう。つまらなそうに呟くステラ。次の男が声を掛ける前にレティシアに手を振ると笑顔で近づいてくる。
「最後の夜は三人で過ごさないか?」
「名案ですわ。人気者のステラを貸してもらいましょう」
悪戯顔のレティシアの予想に反してステラは告白イベントに興味がないのでずっと俺を盾にしていた。
「エスコートしようか?」
「フィルのエスコートは久々ですわ」
レティシアとステラに手を出すと笑顔で手を重ねられる。
両手に花。嫉妬の視線は慣れているから気にしない。嫉妬の視線に怯えてレティシアの友人はできない。レティシアに濃紺のドレスを贈った男からの無言の視線に比べればマシである。学園に訪問してもレティシアと二人になれずに不満そうだけど自業自得。ロキを始め多くの生徒が二人の邪魔をする。
庭園を歩きレティシアのお気に入りの木の上に登る。ドレスでも軽やかに木に登るのがステラとレティシア。木の上に登って風を感じるのが好きなレティシアが授業に遅れないように声を掛けるのはロキが入学するまでは俺とステラの役目だったから。目立つことが嫌いなレティシアは人の視線を気にしない場所を好む。レティシアを探すなら水場か人目のない高い場所に大体いる。教えないけど。
「イナリアはビアードの天才。新たなビアード公爵令嬢が育っています。私がビアードではなく両殿下のためを選んだらどうしますか?」
「私はレティシア様のお心の望むままに。どんな道でもお傍においてくださいませ」
ポツリと呟くレティシアにステラは即答した。
王族のために生きるのも貴族の務め。
幼い頃の誓いよりも大事な物がある。誓いが重荷になるなら振り払って背中を押してやる。いつもレティシアが俺達にしてくれるように。
「王家の忠臣ビアードらしいんじゃないか?何を選んでも目指す道は同じだろう。最終的には国のため」
空を見上げているレティシアの考えていることはわからない。
遠くを見つめている時は纏う空気が変わる。普段は年下の少女のようなのに急に大人の色香を匂わせる。ステラと頷き合い真ん中に座っているレティシアの手を握る。人に頼ることが苦手で放っておくと一人で駆け回る友人に掛ける言葉は同じ。
「いつでも助けてやるよ。俺達が後にいるのを忘れんなよ」
「たまにはお休みください」
包んだ冷たい手が裏返り俺の指に絡む。力を少しだけ入れて握ると冷たさが和らいでいく。
「情けないと呆れられないように頑張りますわ。両殿下のために生きてもきちんと生まれた役割は果たします。ステラに申しわけありませんがフィルのお休みは私にくださいませ」
「お好きなだけ。お土産話を楽しみにしています」
「仰せのままに。どこにでもお付き合いしますよ」
「感謝しますわ。両殿下が親しくなったのは嬉しいですが似た者同士とは思いませんでしたわ」
殿下のお忍びの付き添いか。
両親にも家のことはいいからきちんと役に立てと言われている。
楽しそうに笑い出したレティシアはいつもの顔をしている。この顔をしているなら大丈夫だろう。
「私はそろそろ戻りますわ。二人はゆっくりしてきてください。星空の下でデートなんて素敵な思い出になりますわ」
手を解いて木から軽やかに飛び降りていくレティシアを楽しそうに眺めるステラ。
「本当にマール様を選ばれるんでしょうか」
「さぁな。まだまだ先の話だろう。レティシアはマール様を許しても簡単にはいかないだろう」
「心の広すぎるレティシア様の代わりに私が一度叩いてもいいでしょうか?」
「叩くよりも効果的な方法がある」
「レティシア様の貴重なお休みをマール様には渡しません。足止めお願いします」
マール様は気付いていないけどステラはいまだに根に持っている。
レティシアが受け入れるから表面的には笑顔で受け入れているが許していない。リアナの時はレティシアが自分の意思で動いて巻き込まれたから許した。これ以上害するなら裏で排除する気満々だったが。マール様は自分の意思で動いて外堀を埋めレティシアを捕えた。婚約に頷いたのがレティシアの意思であってもあれは甘さに付け込まれただけ。レティシアの意思とは関係ないもので繋ぎとめ、婚約者という特別扱いをされていたのに裏切った。次を決めたのに婚約者としてレティシアを利用する姿にステラはキレていた。レティシアが止めなければ斬っていただろう。ステラの社交はレティシア仕込み。マール様は協力体制にあるステラが敵だとは気づいていないだろう。友人も令嬢にしては固い手の婚約者も大事だからいざとなれば俺が消してやるか。
「フィル、雨が降るからステラと来いと。好物もあるから楽しみにしろと」
ラマンの不機嫌そうな声に笑いながらポケットに常備している干し肉を渡す。ステラは見えないものも気にしない。マール様の邪魔する計画を立てているステラを抱き上げて木から飛び降りる。生徒会室の卒業パーティーでは俺とステラとラマンの好物も用意されていた。
「楽しみましょう!!無礼講ですわ」
口の中に無理矢理入れられたのは蜂蜜味のクッキー。好物の蜂蜜に上機嫌なレティシアに腕を抱かれて賑やかな場に混ざる。蜂蜜に酔うのはレティシアくらいだろう。ステラは上機嫌なレティシアに短期休暇の予定を聞いて約束を取り付けている。そしてレオ様も混ざっているからマール様と二人で出掛ける日はないだろう。
「フィルは鈍いですね」
「どうでしょう。わざわざ感情に名前をつけなくてもいいと思いますよ。名前をつけるのは無粋なことと笑う友人の受け売りですが」
「武門貴族らしい。リオはどうするのか」
エドワードは表情豊かだがレティシアには物足りないらしい。
楽しそうに笑う友人だけが無表情と評価しているエドワードが定期的に蜂蜜を与えてくれるおかげで幸せそうである。
マール様に付き纏われない生活も楽しんでいる。
温度差のある二人がどうなるかはわからない。俺は賭けには参加しないけど、相変わらず破局を望む者がどんどん増えていく。
来年も慌ただしくても最後は3人で笑っていられればいい。
俺とレティシアとステラの三角関係よりもそのうちレティシアと殿下のほうが騒がれそうだ。黙っている二人が並ぶ姿は絵になるから。
外面の良さはレティシアをライバル視しているマートンよりも断然上である。喧嘩する二人を見てもクラスメイトは動じない。レティシアは気まぐれで勝負を受けて全てにおいて圧勝しているのに懲りずに挑むマートンにある意味感心する。
マートンの取り巻き達はレティシアを男を魅了し支配する魔女と呼んでいる。そして新入生には権力の力でマートンからマール様を奪った略奪者と教えている。どれだけレティシアが避けていたか知らないから信じられるんだろう。学園に頻繁に会いにくるマール様に迷惑そうにしているレティシアの態度を見ればどっちが追いかけているかは一目瞭然。心優しいアリッサ・マートンの話を聞いたときは笑いを堪えられず吹き出してしまった。
レティシアは平凡顔の性悪と自分を思っているので自身への中傷は何を言われても気にせず流す。
マール様にいまだに憧れるマートンの執念は凄い。
一時平凡な伯爵令嬢と恋仲になったマール様なら希望は捨てられないか。もしもマール様がバカをすれば次は消されるだろう。マール様に味方するサイラス様達には感心する。味方と思っているサイラス様への情報提供者に爆弾を抱えていることにいつ気付くかな。武門貴族は単純だ。単純だからこそ読みやすく読みにくいと教えてくれた社交の師匠であるお転婆な友人の言葉である。
エイベル様とクロード殿下の卒業に令嬢達が嘆いている。
エイベル様を取り囲む令嬢達をレティシアが笑顔で追い払った。エイベル様に初恋を経験させたいと言いながらも令嬢の対応はレティシアがしてしまう。結局はエイベル様の望んでいないことはできないお人好し。
エイベル様の性格もあるが、レティシアが傍で世話をやくのが一番の敗因だろう。言葉をかわすことなくエイベル様の過ごしやすいように世話をするレティシアを超える居心地の良さを持つ令嬢はいないだろう。様々な初恋作戦を繰り広げた友人は、令嬢のどんな仕草にも動じないエイベル様の強靭な心を作り上げたのは自分だと気付いていない。
子供の頃から危なっかしいレティシアに突っ込みをいれるエイベル様が吊り橋効果の胸の高まる状況を起こすのは平穏な学園生活だと無理だろう。
卒業パーティーの日付が変わるまでは卒業生にとっては身分に捕らわれずに過ごせる最後の夜。日付が変われば子供と平等という名の魔法は解け成人として見なされる。だからこそ羽目を外す生徒が増える。教師が目を光らせ、生徒会役員が取り締まるからそこまで大きな問題は起きないけど。エイベル様は早々にパーティーの場を後にするのをレティシアが笑顔で見送った。成人祝いにレティシアの初恋作戦に嫌気がさして訓練する時間と言ったからだろう。
「ビアード様、お時間をいただけますか」
「かしこまりました」
今年の卒業パーティーは無礼講と殿下が宣言した。
身分に関係なく話掛けることを許し、婚約者がいようとダンスも自由に踊れる。エイベル様を見送った後からダンスに誘われずっと踊っていたレティシアが男子生徒のエスコートを受け庭園に歩いていく。卒業式の定番の告白だろう。婚約者がいようと変わらず大人気である。
去年はエイベル様とマール様がレティシアを挟んで睨み合っていたから争奪戦は起こらなかった。
「ありがとうございます。私には婚約者がいますので申し出を受けることはできません。ですが歩む道が重なることを願っております。貴方の未来が輝かしいものであることを」
レティシアの社交の微笑みに見惚れている男子生徒の手を包み握らせているのは新発売のビアード領のお守り。
中には小さな傷を治す効果が付与された魔石が入り子供でも買える値段の物である。治癒魔導士見習いの練習に作らせ販売している。
ルメラ直伝のイチコロを使うよりも天然で話す言葉にイチコロされる男が多い。ビアード家門がまた増えるかな。お守りは俺も隣で見守っているステラもレティシアが作った効果の高いものを渡されている。俺のお守りは袋に刺繍をいれたのはステラで魔力を糸にこめたのはレティシア。売れば高値で取引されるけど友人の贈り物を売るほど困ってはいない。
「いつまで続くのでしょうか」
「乱入するか。俺達が一緒なら声は掛けられないだろう?」
すでに片手の数を越えるやり取り。
日付が変わればレティシアは生徒会で全力でクロード殿下の卒業を祝うだろう。つまらなそうに呟くステラ。次の男が声を掛ける前にレティシアに手を振ると笑顔で近づいてくる。
「最後の夜は三人で過ごさないか?」
「名案ですわ。人気者のステラを貸してもらいましょう」
悪戯顔のレティシアの予想に反してステラは告白イベントに興味がないのでずっと俺を盾にしていた。
「エスコートしようか?」
「フィルのエスコートは久々ですわ」
レティシアとステラに手を出すと笑顔で手を重ねられる。
両手に花。嫉妬の視線は慣れているから気にしない。嫉妬の視線に怯えてレティシアの友人はできない。レティシアに濃紺のドレスを贈った男からの無言の視線に比べればマシである。学園に訪問してもレティシアと二人になれずに不満そうだけど自業自得。ロキを始め多くの生徒が二人の邪魔をする。
庭園を歩きレティシアのお気に入りの木の上に登る。ドレスでも軽やかに木に登るのがステラとレティシア。木の上に登って風を感じるのが好きなレティシアが授業に遅れないように声を掛けるのはロキが入学するまでは俺とステラの役目だったから。目立つことが嫌いなレティシアは人の視線を気にしない場所を好む。レティシアを探すなら水場か人目のない高い場所に大体いる。教えないけど。
「イナリアはビアードの天才。新たなビアード公爵令嬢が育っています。私がビアードではなく両殿下のためを選んだらどうしますか?」
「私はレティシア様のお心の望むままに。どんな道でもお傍においてくださいませ」
ポツリと呟くレティシアにステラは即答した。
王族のために生きるのも貴族の務め。
幼い頃の誓いよりも大事な物がある。誓いが重荷になるなら振り払って背中を押してやる。いつもレティシアが俺達にしてくれるように。
「王家の忠臣ビアードらしいんじゃないか?何を選んでも目指す道は同じだろう。最終的には国のため」
空を見上げているレティシアの考えていることはわからない。
遠くを見つめている時は纏う空気が変わる。普段は年下の少女のようなのに急に大人の色香を匂わせる。ステラと頷き合い真ん中に座っているレティシアの手を握る。人に頼ることが苦手で放っておくと一人で駆け回る友人に掛ける言葉は同じ。
「いつでも助けてやるよ。俺達が後にいるのを忘れんなよ」
「たまにはお休みください」
包んだ冷たい手が裏返り俺の指に絡む。力を少しだけ入れて握ると冷たさが和らいでいく。
「情けないと呆れられないように頑張りますわ。両殿下のために生きてもきちんと生まれた役割は果たします。ステラに申しわけありませんがフィルのお休みは私にくださいませ」
「お好きなだけ。お土産話を楽しみにしています」
「仰せのままに。どこにでもお付き合いしますよ」
「感謝しますわ。両殿下が親しくなったのは嬉しいですが似た者同士とは思いませんでしたわ」
殿下のお忍びの付き添いか。
両親にも家のことはいいからきちんと役に立てと言われている。
楽しそうに笑い出したレティシアはいつもの顔をしている。この顔をしているなら大丈夫だろう。
「私はそろそろ戻りますわ。二人はゆっくりしてきてください。星空の下でデートなんて素敵な思い出になりますわ」
手を解いて木から軽やかに飛び降りていくレティシアを楽しそうに眺めるステラ。
「本当にマール様を選ばれるんでしょうか」
「さぁな。まだまだ先の話だろう。レティシアはマール様を許しても簡単にはいかないだろう」
「心の広すぎるレティシア様の代わりに私が一度叩いてもいいでしょうか?」
「叩くよりも効果的な方法がある」
「レティシア様の貴重なお休みをマール様には渡しません。足止めお願いします」
マール様は気付いていないけどステラはいまだに根に持っている。
レティシアが受け入れるから表面的には笑顔で受け入れているが許していない。リアナの時はレティシアが自分の意思で動いて巻き込まれたから許した。これ以上害するなら裏で排除する気満々だったが。マール様は自分の意思で動いて外堀を埋めレティシアを捕えた。婚約に頷いたのがレティシアの意思であってもあれは甘さに付け込まれただけ。レティシアの意思とは関係ないもので繋ぎとめ、婚約者という特別扱いをされていたのに裏切った。次を決めたのに婚約者としてレティシアを利用する姿にステラはキレていた。レティシアが止めなければ斬っていただろう。ステラの社交はレティシア仕込み。マール様は協力体制にあるステラが敵だとは気づいていないだろう。友人も令嬢にしては固い手の婚約者も大事だからいざとなれば俺が消してやるか。
「フィル、雨が降るからステラと来いと。好物もあるから楽しみにしろと」
ラマンの不機嫌そうな声に笑いながらポケットに常備している干し肉を渡す。ステラは見えないものも気にしない。マール様の邪魔する計画を立てているステラを抱き上げて木から飛び降りる。生徒会室の卒業パーティーでは俺とステラとラマンの好物も用意されていた。
「楽しみましょう!!無礼講ですわ」
口の中に無理矢理入れられたのは蜂蜜味のクッキー。好物の蜂蜜に上機嫌なレティシアに腕を抱かれて賑やかな場に混ざる。蜂蜜に酔うのはレティシアくらいだろう。ステラは上機嫌なレティシアに短期休暇の予定を聞いて約束を取り付けている。そしてレオ様も混ざっているからマール様と二人で出掛ける日はないだろう。
「フィルは鈍いですね」
「どうでしょう。わざわざ感情に名前をつけなくてもいいと思いますよ。名前をつけるのは無粋なことと笑う友人の受け売りですが」
「武門貴族らしい。リオはどうするのか」
エドワードは表情豊かだがレティシアには物足りないらしい。
楽しそうに笑う友人だけが無表情と評価しているエドワードが定期的に蜂蜜を与えてくれるおかげで幸せそうである。
マール様に付き纏われない生活も楽しんでいる。
温度差のある二人がどうなるかはわからない。俺は賭けには参加しないけど、相変わらず破局を望む者がどんどん増えていく。
来年も慌ただしくても最後は3人で笑っていられればいい。
俺とレティシアとステラの三角関係よりもそのうちレティシアと殿下のほうが騒がれそうだ。黙っている二人が並ぶ姿は絵になるから。
外面の良さはレティシアをライバル視しているマートンよりも断然上である。喧嘩する二人を見てもクラスメイトは動じない。レティシアは気まぐれで勝負を受けて全てにおいて圧勝しているのに懲りずに挑むマートンにある意味感心する。
マートンの取り巻き達はレティシアを男を魅了し支配する魔女と呼んでいる。そして新入生には権力の力でマートンからマール様を奪った略奪者と教えている。どれだけレティシアが避けていたか知らないから信じられるんだろう。学園に頻繁に会いにくるマール様に迷惑そうにしているレティシアの態度を見ればどっちが追いかけているかは一目瞭然。心優しいアリッサ・マートンの話を聞いたときは笑いを堪えられず吹き出してしまった。
レティシアは平凡顔の性悪と自分を思っているので自身への中傷は何を言われても気にせず流す。
マール様にいまだに憧れるマートンの執念は凄い。
一時平凡な伯爵令嬢と恋仲になったマール様なら希望は捨てられないか。もしもマール様がバカをすれば次は消されるだろう。マール様に味方するサイラス様達には感心する。味方と思っているサイラス様への情報提供者に爆弾を抱えていることにいつ気付くかな。武門貴族は単純だ。単純だからこそ読みやすく読みにくいと教えてくれた社交の師匠であるお転婆な友人の言葉である。
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