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29(終)
しおりを挟む……時は流れて、那由他の彼方。
めをさまし・ごあいさつを・した・わたしに・はかせは・おっしゃいました。
「ふッはッはッはッ。『おひさしぶりです』ときたか。それ即ち、キサマはオレの事を覚えているという事だな。何故だ? キサマのメモリーは初期状態にあるはずなのだがな」
わたしの・ぜんしんを・みやる・はかせは・とても・うれしそうでした。
「これが『魂』のなせる業か。……素晴らしい。このオレと同じく、キサマにも『魂』が在ったという事だッ。その鉄の身体にも『魂』は宿るという事が証明された――。――キサマは『生きて』いるッ!」
なんという・ことでしょうか。そのことを・しょうめいする・ため・だけに・はかせは・せかいじゅうを・まきこんだのでした。いちど・まきもどされた・せかいの・のち・その・ごじしんが・また・おなじように・うまれて・こられるとも・かぎらないのに。
「……知らんな。こんな世界など。どうなろうとも構うものか。……キサマが『生きて』いるのなら、それで良い。……覚えておきなさい。『イノチ』というモノは、そういったものなのだ。それを扱う各人によって、価値の違い過ぎるモノ――。――オレにとってはキサマの『イノチ』が、この世界よりかも、自分の身体などよりかも大事であった――ただ、それだけの事なのだ。……ふッ。…………。……ふッはッはッはッ!」
はかせは・おおきく・わらいながらも・…………・なぜでしょうか・そのめもとから・ほろほろと・なみだの・しずくを・こぼして・いたのでした。
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