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第一章

子供の立場に甘えた時点でもう大人。

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次の日、シモネット公爵家から帰るとお父様とお母様にとても心配された。
セレナ様は私が結構派手に転んだと伝えてたらしい。
お陰でドレスについては何も言われなかった。


それから数日が過ぎた。
来年まで何をして過ごそうかな。通う学校でも見に行こうか。メアリーへ好意を向ける子達のショタ姿を見つけれたらラッキーだし。

そんなことを考えていると、慌ただしくテューリお兄様が部屋に飛び込んできた。

「た、大変だぞ、ジュリア!」

「ですからお兄様、ノックしてと再三申しあげ…」

「そんなことよりお前、王子様に何をしたんだよ!」

王子様?生誕祭にぶつかった人が本物ならぶつかりましたけど、何なら私の方がドレス泥まみれになって放置されたけどね。

「王子様がお前とお茶がしたいから、この屋敷にくるって!3日後に!」

「え、ムリムリ断る権利は。」

「無いに決まってるだろ、喜ばしいことだがまさか本当に王子様に目をかけてもらえるなんてな……」

どういうこと、え、これはあれか。セレナ様が可愛いから悪役令嬢に私に変換されていくようにルートが変わったとか?

そんなバカな、いや確かに悪役令嬢にはなりたいと思ってたよ。でもこういうのは何か違う。

「とりあえず、新しいドレスは間に合わないから失礼のない格好にしろよ。お母様も出す紅茶やお菓子で慌ててるからサラとどうにかして欲しいとさ。」

「まぁ……うん……」

「ダメで元々なんだ、これ以上失敗することはないんだからな。……あ、あとリタお姉様にはしばらく近づかない方があいぞ。」

慌ててディスって忠告とを一方的に話をしてお兄様は部屋から出ていった。
リタ姉様に近づくなと言われたが、幸いな事に家族でも広い屋敷な上に食事もそんなに一緒にならない。


まずはドレスや服よりも先に大事な事がある。
そう、セレナ様をこのお茶会に呼ぶのだ。

今回何かしらでストーリーが変わってしまったとしても、王子様とセレナ様はメアリーが現れるまでは婚約者として上手くいってたのだから、
会わせればとりあえず勝手にくっついてくれるだろう。

「けど、どうやってセレナ様を呼ぶかよね。」

仮にも王子様相手のお茶会に勝手に人を呼んでいいものか。
下手すれば2人とも常識がないと呆れられるかもしれない。

あ、セレナ様をこの前泊めて頂いたお礼として呼ぶのはどうだろうか?

その上で、王子様も公爵家も私からすれば格上なんだから、どっちも断れなかったんですー。みたいな?

大人がやれば角がたつが、子供のやることだし、ある程度許されるんじゃないかなと信じて。

そうと決まればセレナ様にまずは手紙を書いて、準備しないとね。
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