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目が覚めたナナの前には血色の良い母がいた。看病をしていたようで、ナナの生え変わった手を握りしめている。娘が起きたことに気が付いた母は、ぎゅうっとナナを抱きしめた。
「気が付いたのねナナ。本当にごめんなさい。私どうかしていたわ。痛かったわよね」
「ううんいいの。ママもつらいよね。ごめんね。ナナのせいでつらいおもいさせてるね」
「そんなこと言わないで。ママが悪いのよ」
二人で抱き合ってしばらくの間泣いた。
ディナーの支度をしていると父が帰ってきた。とても機嫌がよさそうだった。
「どうしたのあなた。浮足立っちゃって」
「いやあ実は今日ウェハント氏がうちに来て」
「ウェハント氏?!あの?!」
「そうとも。しかも俺の料理を絶賛してくれたんだ。こりゃあこれから忙しくなるぞ」
「それはよかったじゃない!」
父はナナの目を見ない。ナナはこちらを向いてくれない父に寂しさを感じた。
それでも幸せそうな両親をみてほっと安心した。最近は自分のせいで気まずい雰囲気がただよっていたからだ。
その日から、昼は母がナナの腕を食べ、夜中にこっそり父がナナの太ももを切り落とした。切れば切るほど痛みは増し、生え変わりに時間がかかるようになっていた。それでも二人は止められなかった。
1年後、功績を称えて父はそのレストランのオーナーシェフとなっていた。母はその美しさに街から羨望の眼差しを受けていた。幸せだった。この時間がずっとつづけばいいと二人は思った。
ある夜、いつもどおり父はナナの脚を切り落とし、肉を冷凍庫に隠し、夫婦の部屋へもどり何事もなかったかのように美しい妻の隣で眠った。
朝、妻の叫び声で目が覚めた。
「どうしたんだ?!」
「ナナが・・・ナナが・・・!!」
妻が指さす先には血の池に浮かぶナナの姿があった。脚は再生していない。
夫は娘にかけより口元に耳を当てた。息をしていない。真っ青な顔で妻を見る。妻は鬼のような形相で夫を睨んでいた。
「おかしいと思っていたのよ。あなたがウェハント氏の目にかなう料理を出せるなんて。ナナの脚をこっそり切り落としてそれを料理に使ってたのね?!ナナの肉を他人に食べさせるために痛い目に合わせていたの?!なんて人!」
「君だって僕がいないときにナナの腕を切って食べているだろう?!ナナの腕の痕を見たらそれくらい分かる。君にだけは僕のことを非難されたくないね!それよりも娘が死んでいるんだ!なんとかしてくれ!」
「死んでるですって?!」
妻はナナにかけより脈を確かめた。確かに死んでいる。彼女は思わず残りの肉を奪おうと包丁を手に持った。しかし夫も同じことを考えていたようだ。妻が包丁を握るのを見ておもわずその腕を切り落とした。
「な?!」
「この肉は俺のものだ」
「わたしのものよ」
二人は娘の死体の上で、痛みも感じずすぐ再生する体を切り刻みあった。その穢れた血と肉に触れ、ナナの死体はどんどんと腐っていく。それにも気づかずに二人は延々と包丁を振り続けた。
「気が付いたのねナナ。本当にごめんなさい。私どうかしていたわ。痛かったわよね」
「ううんいいの。ママもつらいよね。ごめんね。ナナのせいでつらいおもいさせてるね」
「そんなこと言わないで。ママが悪いのよ」
二人で抱き合ってしばらくの間泣いた。
ディナーの支度をしていると父が帰ってきた。とても機嫌がよさそうだった。
「どうしたのあなた。浮足立っちゃって」
「いやあ実は今日ウェハント氏がうちに来て」
「ウェハント氏?!あの?!」
「そうとも。しかも俺の料理を絶賛してくれたんだ。こりゃあこれから忙しくなるぞ」
「それはよかったじゃない!」
父はナナの目を見ない。ナナはこちらを向いてくれない父に寂しさを感じた。
それでも幸せそうな両親をみてほっと安心した。最近は自分のせいで気まずい雰囲気がただよっていたからだ。
その日から、昼は母がナナの腕を食べ、夜中にこっそり父がナナの太ももを切り落とした。切れば切るほど痛みは増し、生え変わりに時間がかかるようになっていた。それでも二人は止められなかった。
1年後、功績を称えて父はそのレストランのオーナーシェフとなっていた。母はその美しさに街から羨望の眼差しを受けていた。幸せだった。この時間がずっとつづけばいいと二人は思った。
ある夜、いつもどおり父はナナの脚を切り落とし、肉を冷凍庫に隠し、夫婦の部屋へもどり何事もなかったかのように美しい妻の隣で眠った。
朝、妻の叫び声で目が覚めた。
「どうしたんだ?!」
「ナナが・・・ナナが・・・!!」
妻が指さす先には血の池に浮かぶナナの姿があった。脚は再生していない。
夫は娘にかけより口元に耳を当てた。息をしていない。真っ青な顔で妻を見る。妻は鬼のような形相で夫を睨んでいた。
「おかしいと思っていたのよ。あなたがウェハント氏の目にかなう料理を出せるなんて。ナナの脚をこっそり切り落としてそれを料理に使ってたのね?!ナナの肉を他人に食べさせるために痛い目に合わせていたの?!なんて人!」
「君だって僕がいないときにナナの腕を切って食べているだろう?!ナナの腕の痕を見たらそれくらい分かる。君にだけは僕のことを非難されたくないね!それよりも娘が死んでいるんだ!なんとかしてくれ!」
「死んでるですって?!」
妻はナナにかけより脈を確かめた。確かに死んでいる。彼女は思わず残りの肉を奪おうと包丁を手に持った。しかし夫も同じことを考えていたようだ。妻が包丁を握るのを見ておもわずその腕を切り落とした。
「な?!」
「この肉は俺のものだ」
「わたしのものよ」
二人は娘の死体の上で、痛みも感じずすぐ再生する体を切り刻みあった。その穢れた血と肉に触れ、ナナの死体はどんどんと腐っていく。それにも気づかずに二人は延々と包丁を振り続けた。
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